マイクロノベル集 108
811
懐かしい道を歩いている。「ここで捨てたのよ」道にはなにも落ちていない。ぼくの知らない流行歌を口ずさむ。「ここからはあなた一人で行くのよ」そうかな。ぼくには連れがいるんだよ。あの曲がり角の向こうに。一緒に行かない? 母はただ微笑む。バイバイ。
812
猫はかわいいなあ。頭の上に耳があって、ひげが生えてて、時々にゃあって鳴く。「わん」チッ。どおりでよくしっぽを振ると思ったんだよ。
813
悪魔にはプライドがある。だからこそ人間に裏切られると腹が立つ。くそっ、またハズレ