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マイクロノベル集 135

946
子どもが虫取り網を持って走っている。なにが採れるんだい? 「草!」ははは。虫取り網で草取りをしているのか。原っぱを見れば、追いかけられる雑草たちが右往左往している。とんでもねぇ土地に引っ越してきちゃった。


947
雨が降る、雨が降る。買い物をすませて。洗濯物は生乾きだけど取り込んで。なんとか雨が落ちてくる前に片付いたぞ。でも、午後は暇になっちゃったな。「にゃーん」お前も退屈か。雨に濡れた毛を洗濯物で拭いてくつろぐとは、大胆不敵だね。


948
美が走っている。目が爛々と輝いて、足が燃えている。アスファルトが焼け、草花が生い茂る。きみは本当に猫なのか? 「猫だよ。ぼくらは元来こういう生き物なのさ」一緒に暮らすようになってからも、時々後光が差す。不思議な生き物だな。感心しながらなでる。


949
我々は家畜ではない。エサを与えられる謂れなどない。たとえるならば、大いなる海原を旅するトビウオ……兎……なんか違うな。うん、まあ、いいか。とにかく原っぱをぴょんぴょんしてるんだよ。つまり自由なんだ。人間なんかに食べられないぞ。


950
ニンゲンには悩みってものがあるらしい。自分の力ではどうにもならないことを解決したいんだってさ。どれ、ぼくらが解決してやるかな。「このカラスが! またゴミを漁って!!」チクショウ。あのクソババアは他人の悩みが解決されるのがそんなに嫌なのか。

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