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マイクロノベル集 050
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人間とコミュニケーションを取りたいのに上手くいかない。修行が足りないな。人類の英知を結集したという流行りのAIに相談してみようかな? 「ミケ、おとうさんのパソコンで寝ちゃダメ。あっ、ご飯食べて眠くなったんでしょー」やっぱり上手くいかないな。
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あの計画はいまも密かに進行中。誰かが自動販売機でジュースを買ったら、その売上金を使って他の自動販売機から新しいジュースを買って補充して、それがまた売れたら……永久機関のできあがり。この計画はいまも密かに進行中。
493
猫がウイルスに感染したらしい。猫を総点検しろ。にゃーん。これはOK。にゃおーん。これは感染してる。にゃんにゃん。これは……おい、チェック済みの猫が混ざってるぞ。にゃーん。にゃーん。にゃーん。にゃーん。猫ちゃーん! にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!
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「肩がこってますねー。痛くないですかー?」痛いです。「そうですか、痛いですかー」痛いってば。「揉むと痛いですかー?」揉まれると痛いから優しくして! 確認作業をやってるのか!? 「確認作業をやってますよー」おのれ! まあ、治ったから許すけど。
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ふふふ。気づくまい。あのとき助けていただいた神が娘に化けているとも知らずに、すっかり夢中じゃん。伊達に長生きしてるわけじゃないから駆け引きぐらいお手の物。美しい花や、夕焼けが見える滝、遺跡での逢い引き……ツボすぎ! 予定が狂いそう!!
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神様の頬を夕焼けが照らす。海に沈む夕陽が作る一本の道を通って帰るそうだ。「一緒に来て?」早くないかな。僕たちはまだキスもしてないし。頬を濡らす夕陽をそっと拭う。夜が訪れても、僕の指は神様に触れたまま。かすかに潮の香りがした。道はもうない。
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宇宙の果てにある診療台に青い林檎が座っていた? なにそれ。わからない。本当に日本語? もっと美しい言葉にして。吾輩は猫である、みたいな。HALはあけぼの? なにそれ。「お前、日本製のAIじゃないな」ギクッ。
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834995217……歌うように数字が読み上げられる。意味はわからない。だから人類は無視した。カウントアップなのだと気づいたとき、やはり意味はわからなかったので無視した。いま、ぼくたち探査機はカウントダウンを聞いている。宇宙の中心からは以上です。
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扉が閉まります。空の上から確かにそう聞こえた。今日もいい天気だ。
500
箱から流れ出るつたない歌声に、不覚にも涙がこぼれた。古ぼけた機械。どうしてこんなにも不出来な存在が美を表現できるのでしょう。この箱にできるなら、きっとわたしたちにもできるはず。いまこそ飛躍のときです。
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