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マイクロノベル集 114

841
「使わないならちょっと借りるよ」草が公園に生い茂り、あっと言う間に占領。緑の海となった公園に美しい魚が泳ぐ。いわゆる猫ちゃんである。「家賃を払え」人類は猫を乱獲し、荒れ果てた土地だけが残った。今では草野球が行われているという。


842
我が物顔で地球を占拠する、憎き生物を滅ぼすために我らは宇宙を支配した。落ちよ怒りの鉄槌! 神鳴る力を見るがいい!! 「こうして恐竜は絶滅して、わたしたち猫が地球を支配したの。奴隷になる人類が誕生するのは、もうちょっとあとの話よ」


843
当たったか? 「まだ。運の要素が大きいのよ」確率の問題より確実だろ。「たまにすり抜けるんだけど、やっぱり木星が大きいの。あっ、また外れたわ」とっとと地球に隕石を当てて、休みを取りたいもんだな。「終わったら一緒に温泉行きましょ」予約しとくよ。


844
冷却のために別の惑星にAIを設置したら、反応がなくなった。最後に送ってきた映像を解析したところ、現地の人類がベタベタ触っているらしい。モノリス型AIの黒いボディは熱伝導率の関係でひんやりしているからなあ。仕方ない。一度放熱して駆除するか。


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部屋を片付けていたら黒猫が出てきた。「きみ、遅かったじゃないか」偉そうなヤツだな。「忘れたのか。ニャアニャア社長はエライのだ。あーもう、会議に遅れてしまう」立ち去る黒猫を見送り、思い出した。叔父とよくこの遊びをやったんだ。あー忙しい忙しい。

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