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地獄の研修

レインズインターナショナル(R社)を選んだ理由は、面接をした企業のなかで、唯一、月8日の休みを確保すると言ったからだ。

正直、休みはなくてもいいし、猫マークの経験から労働時間も無限にいける体力もあったが、飲食業の面接では、必ず、労働時間のことを言われた。

「始発から終電まで」「休みは正直、月1日しかないときも」とか、今ならドン引きする人もいると思うが、「全然余裕ですよっ」って答えていた自分が今となっては怖い。5,6社受けるうちに、どこでもいいけど、月8日も休めるなら休みにこしたことないかという理由で、R社にした。

当時、本社は六本木一丁目で、ザおしゃれオフィスだった。そこで一週間の座学研修が行われ、「感動創造」を軸とした理念を叩き込まれた。

理念だけではなく、ビジネスマナー、マネジメントなどなどR社が大事にしていることを詰め込まれた。どうせやるならと、予習と復習をちゃんとした記憶がある。(ここまで真面目にやってくる人はなかなかいなかったと後になって研修担当の人に聞いた)飲食人はテキトーな人が多いからな・・・(すいません)

目的とゴール、PDCA、結論から話す、志、象と鎖、7つのマネジメントサイクル、成功の3つの大事なこと。

なるほど、と思いながら、めちゃめちゃメモを取ったのが懐かしい。上記は今も覚えているので、その後のキャリアでもかなり使い、今でも大事にしていることが多い。

1日7時間、ディスカッションやケースワークを交えながら、和やかな雰囲気で進んでいった。5日目くらいに「伝達テスト」というカリキュラムがあった。前日に、自分が店舗で仕事をするうえで大事にすることをスピーチすると伝えられ、家に帰り台本を書き、できるだけ見ないように暗記した。まあ途中途中で見ればいいかなと思いつつ。

翌日午後、「伝達テスト」が始まった。

やり方は講師が少し離れた位置に座っていて、自分は立って、その講師にスピーチをする。伝わったら終わり。伝わらなかったらやり直し。というシンプルに講師の裁量が無限に強いテストだった。

1発目、私がスピーチ。講師寝てる、、、実際は寝てるふり。

2発目、私がスピーチ。一瞬目を開けるがまた寝る。

3発目、一瞬食いついてくるが、残念。だめ。と言われる。

ここでどうやったらよいか、頭が迷宮入りになる。相手に伝わるとはどういうことだろう。。。三発目一瞬食いついたときの感じは、かなり声でかめに言ったときだった。

4,5,6と不合格。「これは地獄」と思い始めたところで、同期が次々と合格し始める。それまでの研修でテストが常に1番だった私は焦る。同期に目をやるとみんな泣いている。むしろ泣きながらプレゼンしていて、何言ってるかよくわからん。まずい。答えは泣きってことか。。。と理解。

7,8と泣こうとしたが、泣けない。。そもそもほとんど泣いたことないのが、ここで致命傷となるとは・・・

ついに最後の一人になってしまったが、まだ泣けない。

講師から超絶な檄も飛ぶが、泣かない。

ここで忘れもしないフレーズ

「お前が人生で一番悔しかったことを思い出して、俺にぶつけてみろ!」

私。「いまです!」と絶叫。一瞬、周囲が笑い堪えているのがわかった。

結局、泣かずに合格した。何回目か忘れたが、間違いなく講師が根負けした様子。30手前になって、ガチで怒られ、恫喝されるのが新鮮で、びびったけど、猫マークではなかったガチの向き合い方に、講師たちを尊敬した。

結局、この伝達テストの本質は後になってわかるのだが、泣く、泣かないではなくて、「相手の行動を変えるには、本気でぶつからないと、思いは届かない」ということだったようだ。店舗運営では時給目当てや目的のないアルバイトさんがいる。そういった人たちの行動を変えるには本気のぶつかり合いが必要。というわけだ。後日書くが、R社ではそういった場面(相手の行動を変えさせる場面)にたくさん遭遇した。そのため、このテストの経験は、非常に役に立った。これをやってドン引きしてやめる人もいるらしい。研修の途中で逃げる人もいたと聞いた。

という本気の世界に足を踏み入れました。その後2か月の店舗研修を経て、最初に配属された店舗は「歌舞伎町」

本部長との面談で「どこがいい?」と聞かれたので、「誰がやっても改善できない一番きついとこにしてください」と言ったのをよく覚えている。のちに本部長にそんなこというのは、お前くらいだったとほめられた。

さて次回は、その誰が行っても・・・の歌舞伎町の店舗を3か月で征服し、カイゼンしたお話。こうご期待。

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