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中村天風さんと、音(地の声・天の声)

大谷翔平選手が中村天風の本を読んでいるということをニュースで知った。さすが大したものですね。私はただのおじさんですが、やはり20代後半に中村天風さんの口述書を4冊熟読していました。中村天風さんは、戦争にも行かれ、帰国されてからは金儲けもされ、遊びも豪快、有名人のお弟子さんが多数ということで修行を学んでも大丈夫だろうと思ったのです。

当時の私は、身も心も追い込まれていて、何とかセルフメンテナンスなるものをひとつでも身に付けたかった。

中村天風さんの口述書の中に山奥での修行が細かく書かれています。朝から日暮れまでの修行の中で天風さんに始めに出された課題が「地の声を聴く」です。

詳しくは口述書を読まれることを勧めますが、「地の声」とは、風の音や川の流れや鳥や虫のさえずりなどの自然な音のことです。現代の首都圏なら人工の音でも、私の経験では大丈夫です。「地の声」は常にそこにあるのですが、意外と人間は聴いていません。当時の私も、日々の仕事上のトラブル対応で頭がいっぱいで、心に余裕が無く、肉体に悪影響も出始めていました。「地の声」を意識出来るだけでも心は癒されます。これは体験しないと頭では理解できないかも知れませんね。

その次に天風さんに出された課題は「天の声を聴く」です。

中村天風述,盛大な人生,1990,日本経営合理化協会,p220-225.

「天の声」とは、音の無い世界、「しじま」とか「無心」とかいう言葉に置き換えられます。(詳しくは上記引用先参照)

「天の声」を聴かせ続けていくと、天風さんの病が回復に向かい始めたそうなのですから、当時の私もその境地に憧れて挑戦したわけです。

天風さんですら数ヶ月を要した境地、私は何年もかかりました。とおじさんが言っても証明は出来ませんし、同じ境地かどうかは本当のところは分かりません。

ただ、その境地に居ると、とても元気になることは間違いありません。そして、余談ですが、武道の合気もかかりやすくなります。これは私にとって驚くべき体験でした。


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