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心地よい体内時計を育むための、照明術。ーサーカディアンリズムを考えるー

もうまもなく、来週には秋分の日がやって来ますね。

日に日に日が落ちるのが早くなり、夜の時間が長くなりつつあります。
秋から冬にかけてのこの季節は、1日のうち照明を灯す時間もぐっと増える時期でもあります。

そんなタイミングなので、今回は照明(光)とわたしたちの体内リズムの関係性について書いてみたいと思います。

「サーカディアンリズム」とは。

「サーカディアンリズム」という言葉を耳にしたことがありますか??

医療やヘルスケアの文脈で比較的使われている印象ですが、サーカディアンリズム(circadian rhythm)は日本語では「概日リズム」とも呼ばれる、人間の持つ体内時計のひとつです。

人はある時間になると自然と眠くなり、ある時間になると自然と目が覚めます。また一定の間隔で空腹感を感じたり、一定の周期で月経がやってきたりします。

人間に限らず、地球上の生物すべてが、生まれながらにこのような身体リズム、いわゆる「体内時計」を持っています。

その中でも、おおよそ24時間周期のものを「サーカディアンリズム」と言います。
「サーカ」「ディアン」はともにラテン語で、サーカ=「おおよそ」、ディアン=「1日」を意味するので、そのまま「おおよそ1日のリズム」という意味になります。

この体内時計の存在は知っていても、日常的に意識することは少ないかも知れません。時差ボケしたときくらいでしょうか。

ところで、人間のサーカディアンリズムは、「おおよそ1日」というように、厳密には24時間ちょうどではなく、約25時間の周期になっていると言われています。そのままだと少しずつ夜型になってしまうのだとか。

でもそれにも関わらずうまく24時間のリズムで過ごせているのは、それを補正している「光」の存在があるからなんです。


体内時計の補正担当。

人の身体には、外界の24時間周期の明暗の周期に、体内時計の周期を補正して合わせるシステム(同調機構)が備わっています。このシステムによって、1日(24時間)周期のリズムだけではなく、1年周期で変化する日長時間の季節変化や、時差ボケにも対応し、補正することができます。

「明暗の周期」ということはつまり、「光」がその補正を担当し、リズムを整えているということ。

自然界の明るさや光の色、光の高さによって、
体内時計が反応し、人間の行動や心理を決定していきます。


ちなみに人間では、朝の強い光は体内時計を早め、夜の光は遅らせる方向に作用します。

寝起きが悪い場合に、カーテンを開けて朝日を積極的に室内に取り込むとスッキリとしたり、PCやスマホを寝る直前まで見ていると寝つきが悪くなったりするのも、光と体内時計の関係に理由があります。


光の設計とサーカディアンリズム。

体内時計を整えて、無理なく心地よい身体リズムを刻むと、心理的にも心地のよい状態が自然と立ち上がってきます。

そのため、照明の設計・デザインを行うときは、自然界の光(太陽光)の在り方に寄り添うことをとても重視します。

例えば…

日中の頭上から注ぐ白く強い光は、活発でアクティブな状態に活性化させるので、
オフィスや昼間のリビングでは、

天井からの白い光でしっかりと空間全体を明るくすることで、
シャキッと活動的な気分になり、
仕事や家事などの作業がはかどります。


夕方や夜明け時の低い位置から柔らかくあたるオレンジ色の光は、安心感や休息、リラックスの効果を高めるので
雰囲気のあるホテルやバー、夜のリビング・寝室などでは

フロアライトや間接照明など、低い位置に控えめな明るさで、
白熱電球のようなオレンジ色の光をポイントで置くことで、
ゆったりとリラックスしたり、安心感のある気分になることで、
良質な休息・睡眠につながります。

などなど…。

こちらはほんの一例ですが、この他にも光には人の心理や行動に直接働きかける様々な作用があります。

また、ここ近年照明の制御技術もずいぶんと上がって来たので、時間帯やシーンなどに合わせて自在に明るさや色味なども気軽&安価にコントロールできるようになってきました。

おすすめなLEDランプ。

東日本大震災が起こるまでは、蛍光灯や白熱灯などがまだ一般的で、LEDはとっても高価で種類も少なく、高嶺の花的存在でした。

それが、大震災の影響によって節電を余儀なくされることになり、一気にLEDに切り替わった。照明業界にとっては未だかつて無い程の大きなムーブメントでした。

今までのアナログな光から、デジタルなLEDの光の普及によって、以前より気軽に、幅広いコントロールが可能になりました。

そんなLED成長期真っ只中だった9年程前から、私が自宅で愛用しているLEDランプがあります。

それがこちら。


こちらのLEDランプ、スマホの専用アプリを使用することで、ひとつひとつのランプを個別に操ることができます。

また今まで使用していた白熱電球や蛍光灯電球の器具にも使用できるので、気軽に導入できる点も◎
(使用できるか否かは、器具や口金の仕様により異なりますので、ご検討される場合は事前に詳細をご確認ください。)

明るさを変えたり、色味を変えることも簡単にできるので、集中して仕事したい時、友人を招いてまったり話し込む時、ゆっくりと映画を見る時、などなど、その時の気分に心地よくフィットする雰囲気を、光でつくっています。

他のアプリと連動させることで、お部屋のBGMに合わせてリズミカルなライティングにしたり、日の出や日の入りの時間に合わせて点灯・消灯したりなど、上手に活用すれば驚くほど自在に光を操り、楽しむことができます。

また、デザインの仕事をしていると、その時の光の色味によってモニターや制作物の色の見え方が大きく変わってしまうので、忠実な色味が確認できる光環境をつくるのにもとても役立っています。

使い始めた当初は結構高価で、種類も1種類しかありませんでしたが、
今は随分気軽に購入できる、安価なタイプもラインナップされていたり、ブリッジが不要でスマホから直接Bluetooth接続してコントロールできるものがあったりと、更に使いやすくなっています。私も最近引っ越したこともあり、何個か買い足しました。


心地よい住まい気持ちいい身体のリズムづくりを、照明から気軽に始めてみてはいかがでしょうか。

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