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「読んで美味しい」を食む

家庭教師のバイトしてるんですよ。小学生ってのは怖いですね、教えた瞬間自分の体に流れる水分まで持っていくのかと思うくらい吸収が早い。

ちょっと前に足し算の練習をしていたらもう筆算の繰り下がりまでマスターしやがった。

自分が教えるのが上手いと思い込んでおこう。お母さん、彼は天才です。今すぐ私をクビにしてもっとエリートたちが集まる塾にお子さんをぶち込んでください。

そんなこんなで今日先月のお給料をいただき、さっき使い果たした。どうしてこうなった。

違うんです。ご飯は美味しかったしコーヒーも飲んだ。低音調理された鶏のレバ刺しに酒盗と和えた長ネギ、スパイスの効いたチョップドサラダ、どれもが最高に美味しかった。近々「俺ここ知ってますよ?店」として友達にイキりたいところでした。

全てお店が悪い。食べに行ったご飯のお店の中に本が山ほど売られていたのが悪いんです。

買っちまったよ岡田先生の『世界の食べもの起源辞典』に魯山人先生のエッセイ『魯山人の食卓』、合わせて3000円ちょっと!!

ちが、違うんです聞いてください。岡田先生の凄さをご存知じゃない人に説明するならば、日本が誇る食文化史の研究家の方。

多分岡田先生によって日本における「食」そのものの定義がされたと言っても過言ではない。いわば世界の食材の2%を発見したとされるトリコみたいな人なんです。

その岡田先生の書かれていたレア本が定価で!定価で売っていた!!

買うやろ。買った。もうどこ開いても楽しい。763ページの中から適当に開いてみましょう。はい出ました464ページ、何が載っていたでしょうか?

・乳酒
・ニョクマム
・ニョッキ

これらがさらりと説明されているの、すごくない?

もう一回やってみましょう。336ページ。セロリについての説明が1ページ強かけてされているの意味わからん。最高。

そしてなんと言っても驚くべきは参考文献の数ですよ、288個書かれてました。出典明示度が高すぎる!

これはもうね、買わない方が失礼。そうだ、そうに違いない。その通りだ。むしろこれを買わずに帰ったことは何らかの罪に問われるべきものだろう。

もうページをめくればめくるほど楽しさが襲いかかってくる。

眠れない夜には小難しい本を読んでいるけれど、これからしばらくは眠れない夜に腹の減る夜が追加されることになりそう。

そして魯山人先生のエッセイですよ。インスタにアホみたいにハッシュタグつけて投稿するグルメ(笑)だとかグルマン(笑)を一笑に付しても礼賛されるあの魯山人先生によるエッセイ、面白くないわけがない。

ご飯に関係する人のエッセイで外したことがない。あの玉村豊男先生もそうだ。そもそも「毎日食べる晩餐を最後の食事と思え」だとか思いつかんて。

食べ物を漫然と口に運ぶ行為そのものの否定と構築、美しいとすら思わせられる。

何が美しいかってね、この人たち別に「いいものを食え!」とか「ただ『美味しい〜』だけで終わらせるな!」みたいなアウトプットの強要をしてこないんですよね。いやされたことある気がする。なんかそんなこと書かれてたかも。そもそも魯山人先生って旨さを言語化してた人やん。してるわ。

早速今日寝る前から読み始めよう。明日はちゃんと起きてきっちり60℃くらいで引いた出汁で味噌汁なりお吸い物なりを作って飲もうじゃないか。

食べ物のエッセイはな、ええぞ。読め。それではさようなら。おやすみなさい、また明日。

明日から怒涛の特殊講義受けるんで多分干からびた投稿になると思います、ご了承くださいまし。

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