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呑めば、少しだけヘミングウェイ。

酒を飲み、体のアルコール度数を0.05%に保ち続けると人生はうまくいくらしい。

そんな仮説に対して真摯に向き合った男たちがいた。

映画『アナザーラウンド』はそんな映画。

主演のマッツ・ミケルセンが昔から好きだ。

北欧の至宝とも呼ばれているあの美しさ。横顔だけでもう眼福、動くところを見れば毎回失明するのではないかと恐れ慄いてしまう。

ちょうど今週20歳の酒が解禁されてから1年を迎え、それなりに酒に向き合えている今日この頃。

自分は酔うと饒舌になるらしい。

自分でもそれについては思う節がある。

ここで書いたか書いていないか定かではないけれど、私は他人ハピエン厨だと思っている。

ハピエン厨とはなんぞやというと、物事はハッピーエンドがいいし、登場人物もハッピーエンドがいい。そう願うオタクだ。

王子様とお姫様は(数々の受難があろうとなかろうと)幸せに過ごしましたとさ。でいいんだ。これでいい。そんなオタクだ。

友達と飲みに行けば大抵その友達を褒めちぎって解散することになる。

友達とその恋人と飲みに行けば末長く幸せに過ごせと口汚く罵る。

適度に気のおける友人と飲めば哲学のプロレスが始まる。

年上の方に飲みに連れて行ってもらうときは最大限のホスト精神を発揮しようとする。

悲しいことにそこそこ酒が強いらしく、楽しむための飲酒が下手くそだ。

この前ゼミのバーベキューに行った。周囲がそこそこ上機嫌になるところ、結局自分はそのノリに持っていくまでに人の倍ほどの瓶を空けていた。らしい。

おそらく血中アルコール度数は0.05には届かないくらいだったのではなかろうか。

それを踏まえて、この映画ではうだつのあがらないどこかを諦めた教師たちがこの仮説に向き合うことになった。

これまでぼそぼそと教科書を読むだけだった教師はウォッカを煽って教室がどかんどかんとウケる名教師に。

普通のコーチは生徒の頑張りと結果に対して全力で喜ぶアツい名コーチに。

その他にも4人全員がこれまでの自分の殻を破った急激な進化を遂げる。

しかしまぁ、そう上手くいき続けるもんじゃない。色々あるんですよ。

おすすめです。2022年映画俺ベスト10にはランクインするんじゃないですかね。面白かったです。

で、本題に戻ろう。成人してから1年が経った。

乾杯はコーラやウーロン茶からビールに変わり、嫌悪刺激でしかなかった苦いビールもいつの間にか「っあぁ〜っっ!!」とため息を漏らしてしまうほどの黄金の炭酸に成り果てた。

酒がなければシリアスな話ができないと、誰からもそんなことを教わった覚えがないのに今やロックのウイスキーがないと「愛とは何か」を語れない。

酒を飲んで酔っている大人がダサかったのに、どうして酒に酔ったことにしておかないとどうにもできなくなってしまったのだろうか。

そんなことをふと考えることがある。

酔った勢いで…みたいなことは今のところそこまでない。

先月酔いすぎた勢いで死ぬほど泥酔したくらいだろう。あれはダメです。あらゆる酒をちゃんぽんしたのではなかろうか。二度とやらん。自戒。

酔わないとどうにもならないことがある。そんなことはない。

酒なんて、所詮ドーパミンとセロトニンの分泌を促進する液体だし、グルタミン酸受容体の阻害によって神経活動の興奮が低下するだけのことだ。

だけのこと。ではないな。ドーパミンとセロトニンがあれば脳はリラックスするに決まっている。

〜中略〜

ご飯を食べた。あんな映画を観た後だったからビールを飲んだ。長浜IPAというビールで、適度な苦味に続いてグレープフルーツの酸味がやってくる美味しいビール。

今の自分の血中アルコール度数は0.02くらいだろうか。

本調子とされている0.05%には少し遠い。

ヘミングウェイも飲んでから執筆していたらしいし、むしろ飲まないと執筆ができなかったそうだ。

少しだけヘミングウェイな今、特にこれといって気の利いたことが書けているのだろうか。

モヒートの季節になってきた。

ミントとラム酒、それと多めのお砂糖。

ダイキリの季節になってきた。

ライムとラム酒、それと多めのお砂糖。

半袖シャツに短パン、そしてイカした帽子に煙草。

王道で殿堂の出で立ちのテンプレ的な夏は目の前まで来ている。

うだる暑さ、炎天下の帰り道。キリッと冷えた酒が待っている夏が来る。

そうなれば、ヘミングウェイになれるのだろうか。

あと0.03%で最もパフォーマンスが上がるらしい。それはまだもう少しとっておこう。

じゃあ、ぼちぼち今日も終わります。

ではまた明日。これを読んでドーパミンとセロトニンを分泌できるかは置いておいて、少しいい気分にでもなってもらえたら幸いです。

では。


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