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晴れの日も雨の日も#227 【おでん屋シリーズvol.13】涙

サラリーマン現役の人と酒を飲むとなると、18:30開始が多い。一方、フラフラしている私の方は、そんな時間までシラフを貫き通すのは至難の業だ。となると、いつものおでん屋で小一時間ほど(こら、過少申告すな!😂)事前自主練習をさせて頂くことになる。先々週は2度もそういうことがあった。ヒマやねえ、よう来るねえ、という感じである。


このおでん屋、「じ」ちゃんと「み」ちゃんという二人のスタッフが主に私の話し相手になってくれているのだが、最近新たに「ゆ」ちゃんが加わった。
20歳の大学生。なんかコロコロした感じのよく笑う子だ。
おいおいじーさん、そんな若い子にちょっかい出したらあかんで、なんて思ってる読者諸兄諸姉。ご安心めされい。ハタチなんてのは娘#5と同い年であり、いわば「仲良しゾーン」だ。こう見えても(どう見える?)私の守備範囲は結構広いのだ。


「ゆ」は、現在見習い中みたいなものだ。先輩「じ」「み」からいろいろ手ほどきを受けている。
ま、このへんのことから会話に入るのが王道鉄板だろう。
「どう?だいぶ慣れた?」が突破口だ。  で、
「じちゃんもみちゃんもキツイから大変やろ」
と「じ」や「み」を巻き込み、ちゃかしながら会話を進める。
「いえいえ〜、お二人ともとってもやさしいです〜」
なんて答えるあたりはこちらも当然折込済みで、返す刀で
「もうあかん、いう時は泣いたらええねんで」とビーンボールを投げ込む。
さらに「女の涙は真珠やからな」とかぶせる。

もうこうなると3対1で
「え〜、そうなん?」とか
「あたしの涙は真珠どころじゃないで」などなどわーわーしてくる。
ゆちゃんも
「私の友達はバイト先とかですぐ泣くんですけど、私は泣かないんです〜」なんて言っている。
お、おもろいこと言うやん。待ってましたとばかりに早速飛びつく。
「一番最近泣いたんっていつ?」と話をふる。
「あたし、泣いた記憶ってないわ」
「あたしはドラマ見ててもすぐ泣くで」
「泣くのも号泣とかホロリとかいろいろあるよな」などなどいろんな答えが返ってくる。
「子供のことでは泣いたことあるけど、自分のことでは泣かへんなあ」
「だいたい、女の涙は真珠、なんて媚びてるみたいでイヤやねん」
ふむふむ。なるほど〜。
「そういや、オレも数ヶ月前に若い子泣かしたわ」
「うわー、ながいさん、ジゴロなん?」
ご冗談を😂。

前職のメンバー大勢と飲んだ時に一人20代の女の子が混じっていた。彼女が職場でいろいろ苦労してるということは仄聞していたので、近づかないようにしていたのだが、トイレに行った帰りか何かで席がかわった。私は彼女の正面に座る羽目になってしまった。もちろん説教なんかする気はない。「そうなんだ」とただ彼女の話を聞いていただけだ。が、どうやら、そんなふうに自分の話を聞いてもらうことがあまりないらしい。感極まって泣き出したという始末記だ。

泣くのって、ツラい時や悲しい時だけじゃなくて、嬉し涙もあるし、ドラマで感動するのもあるし、誰かとの会話で想いがほとばしって、っていうのもあるよねー、とか、そういう感情が動く瞬間って大事だよねー、そうそう変にフタしないほうがいいよねー、などという話が出たところで、お客さんが増え、店は立て込み始めた。雑談会をしている場合ではない。お名残惜しいが、私ももう一杯最後に頂いて失礼することにした。あー、オモロ♬

夕空を背に丸裸になった桜の木。また春にはいっぱい咲かせておくれ

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之

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<予定(但し、臨時差し替え頻発😂)> 
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#230 あしたのためにその1 今日とは違う明日を創りたい

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