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人とつながることで様々な感情が芽生えていく<傑作はまだ>

傑作はまだ 著者:瀬尾まいこ

瀬尾まいこさんは、「そして、バトンは渡された」で大変有名ですが
私は「図書館の神様」が大好きでずっと読み続けている作家さんです。

日常生活の中でちょっとした会話、登場人物の感情の変化などが
興味深く、ちょっと立ち止まってじっくり味わいたくなるのです😉。

本作は小説家の加賀野と25歳の青年である智が約1か月の共同生活を
することになるのですが、実は智は自分の息子で・・・

この2人の最初の出会いからグイグイ引き込まれ、
加賀野が執筆している小説、そして小さな智と母の美月の
エピソードが混ざり合って物語が展開していきます。

加賀野が<からあげクン>という商品名を知らないで
「君は関西に住んでいるのかい?」と聞く件も面白いし、
ずっと1人で生活していて気がつかなかったことに
智が一緒に連れていき、加賀野の生活が今までと知らなかった世界に
触れるところも楽しめます。

現在、コロナ禍で人との距離を取りながら、
1人の生活をずっと続けている方も多いかと思います。
それが楽と言えば確かにそうかもしれませんが、加賀野は智との共同生活が
終わりが見えた時に次のように感じます。

1人で過ごしていれば、そういう醜いものすべてを切り捨てられる。
ストレスも嫌らしい感情も生まれない心は、きれいで穏やかだ。
しかし、こんなふうにうれしい気持ちになることは一人では起こらない。

人は衣食住の生活は何とか1人で過ごすことができるかもしれませんが、人は人とつながることで様々な感情が芽生えていくことができる、と感じた1冊です!📕

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