テレビドキュメンタリーは限界なのか。
最近、考えていたことを書いてみる。
テレビ局で働き始めて丸6年となり、テレビについて色々と考えるようになった。
その一つが「テレビドキュメンタリーが若者に見られていない…」ということである。
ドキュメンタリーというと、どんな番組を想像するだろうか?
NHKだと「NHKスペシャル」をはじめ、「ETV特集」「BS1スペシャル」「プロフェッショナル」「ドキュメント72時間」など多岐にわたる。
日テレ系は、「NNNドキュメント」。
テレ朝系は、「テレメンタリー」。
TBS系は、「情熱大陸」「ドキュメンタリー『解放区』」。
フジ系は、「セブンルール」「FNSドキュメンタリー大賞」。
テレ東系は、「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」。
※太字は報道系
各局満遍なくドキュメンタリーを作っており、取り上げられる対象が芸能人や話題の人なら視聴率も良くなるが、いわゆる「報道ドキュメンタリー」に関しては視聴率がすこぶる悪い。
特に30歳以下の若者に関しては、ほとんど見ていないと言っても過言ではない。
では、どうしてそうなってしまったのか??
私が思うに、「テレビが"真面目なメディア"として世間から見られるようになってしまったから」だと思う。
インターネットの黎明期までは、どの家も新聞を購読しており、新聞が”真面目なメディア”の象徴だった。
一方、テレビは新聞に比べてバラエティや音楽番組などのエンタメ要素も多く、”不真面目なメディア”として見られていたわけだ。
そのため、エンタメ目的でテレビを点けている若者がたまたまドキュメンタリーを目にするということが起きえたし、「テレビは楽しいメディアだ」というイメージがあるため、若者がドキュメンタリーを目にしても「この番組も面白いかもしれない」と期待をもってくれていた。
しかし、近年はインターネットが台頭し、Youtubeやニコニコ動画、Tiktokなどコンプライアンスのゆるいプラットフォームで映像を楽しむ人たちが増えた。
その結果、インターネットが”不真面目なメディア”の座を欲しいままにし、テレビはオールドメディアとして新聞と一括りにされ”真面目なメディア”というイメージに変わってしまった。
その結果、テレビの楽しいメディアだというイメージが薄れ、ドキュメンタリーをより堅苦しく感じる人が増えてしまったのではないだろうか。
実際、ドキュメンタリーはバラエティに比べて堅苦しいものが多い。
政治や経済、社会問題など小難しい問題を番組にするとき、しっかりと現状と課題を伝えるために、どうしてもドキュメンタリーという手法がとられがちだからだ。
その結果、「ドキュメンタリー=小難しいことを扱っている番組」というイメージが拭いきれない。
かといってバラエティのようなポップなテイストの番組にしてしまうと、真剣さが伝わらなくなってしまうから難しい…
"真面目"と"不真面目"のバランスを保った報道ドキュメンタリーがあれば、若者もテレビで見てくれるのではないかと思うわけだが、それならテレビというデバイスではなく、"不真面目なメディア"であるYoutubeやTiktokというプラットフォームで配信した方が手っ取り早いのではないかと思う今日この頃でした。
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