ハグしてくれるひきこもりの方の場所へ全国出張します
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ハグしてくれるひきこもりの方の場所へ全国出張します

渡辺 篤


改訂版1214A小のコピー


アートプロジェクト「私はフリーハグが嫌い」では
ひきこもり経験を持つ美術家 渡辺篤と
フリーハグしてくれる ひきこもりの方を募集!
全国どこへでも伺います!!


自身も過去にひきこもり経験を持つ私(現代美術家・渡辺篤)はこれまで、ひきこもりやコロナ禍に孤立感を抱く人々とアートプロジェクトを行ってきました。今回はアフターコロナに向け、新たなプロジェクトをスタートさせます。
 コロナが収束した世界では、人々は集い、スキンシップが再開するでしょう。けれどもコロナ以前も以後も孤立せざるを得ない存在が、この世界には一定数居ます。例えばそれは「ひきこもり(※1)」と呼ばれる人々。私はそこに行き、対話やハグをしたい。
 「フリーハグ」と呼ばれるアクションを知っていますか?私はこれまでそれが嫌いでした。本当に必要な人には全く届いてない気がしたからです。ひきこもりの彼・彼女たちの多くもきっとフリーハグをしたことない人ばかりでしょう。
 私はフリーハグが苦手ですが、だからこそ既存のフリーハグを更新し、それを求める人々と共に行いたいのです。

※1「ひきこもり」とは…日本に110万人以上居ると言われており、厚生労働省は「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人と交流をほとんどせず、6か月以上自宅にひきこもった状態」と規定してます。このプロジェクトでのひきこもりの定義は、それに当てはまらなくて構いません。参加希望者の判断にお任せします。外出可能・ひきこもりがちの方でも構いません。

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<ハグが必要な人とは誰か>

フリーハグとは「FREE HUGS」などと書かれたプレートを掲げ、見知らぬ誰かとハグをするアクション(※2)。日本では2000年代後半にブームとなり、特に東京・渋谷駅前でそれを見ない日はありませんでした。
 私はフリーハグが嫌いです。見知らぬ誰かに抱きつきたいとも思いません。「リア充」に「リア充」が抱きついたところで、何を得られるのだろう、と感じてました。一方で、それだけでないことも知っています。意思を持って継続的にそれを行う人や、日韓友好を願う趣旨のものが話題になったことも知っています。しかし私には、本当にハグが必要な人には届けられもしないで、一体世界の何を変えられるのだろう、と映ったのです。

※2…フリーハグは、2001年頃、アメリカのジェイソン・ハンターが始めた活動とされ、その後オーストラリアでホアン・マンが2006年に現在の形のフリーハグをYouTube等で発信し大きな話題となった。

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<終わる孤立/継続する孤立>

コロナ禍では孤立にまつわる社会課題に注目が集まりました。外出禁止令や自主隔離によって、人々は一時的ながら深い孤立感に触れましたが、コロナが収束した近い将来、ウイルスが作った深い爪痕を過去のものとし、孤立に浸った時間のことなどすっかり忘れ、きっとまた前へ進んでいくでしょう。
 しかし社会には、コロナ以前も以後も継続的孤立の立場にある人も居て、その背景には、高齢者・路上生活者・依存症・心身の障害、そしてひきこもりなどの事情があります。
 私は孤立の身にある人に対話やハグをしに行きたい。もちろん、ひきこもりの多くもフリーハグ経験者は少ないでしょう。けれども、この企画になら参加してみたいと思う人が挙手してくれる予感があるのです

<私のひきこもり>

私は過去に足かけ3年、深刻なひきこもりを経験した元当事者です。ひきこもったのは、大学を出た半年後。理由は、結婚を考えていた人からの裏切り、全力で望んでいた社会運動からの排除、10年患っていた鬱、駆け出しの美術家としての不安、共感能力に難ある父との対立。それらは、どれも居場所や対話の喪失と言えます。ひきこもった最初の7ヶ月半は一度も靴を履かず、空を見ることも無く、そして誕生日も大晦日ベッドの上でインターネットに浸かり過ごしました。
 私のひきこもり期間は、徐々にひきこもりがちになっていく「初期」と、その後、日々代わり映えしない永い時間を過ごす「安定期」とがありました。心の痛みが深い底付きをした後には、混沌とした気持ちに整理がつく部分もありましたが、「ひきこもり安定期」は、底なし沼のように身動きが取れない時間でもありました。抜け出たい気持ちと、日常化してしまった連続性から抜けられない気持ち。そして、簡単に終えてしまっては、永くひきこもった時間が無意味なものになってしまう、というアンビバレントな気持ちも湧いたのです。そして安定期はあっという間に時が過ぎていきました。
 父とは関係不全でした。母は夫との不仲やひきこもる息子の状況に心折れ、どう動いていいかすらわからなくなりました。結果、私の部屋の扉は誰にもノックされることなく、半年が過ぎました。
 私はその頃、ひきこもる原因となった人たちや、家族や社会に対し、爆発的に怒りを募らせていました。しかし実を言うと、肘をついてフテ寝している指の隙間から、家族や社会の、私に対する出方をチラチラと確認しているような気持ちも僅かながらあったのです。心許せる誰かにドアをノックして欲しい、そしてここに来て私の納得いくまで議論や対話を行って欲しい、とらわれを打ち壊して欲しい、という思いもありました(※3)

※3…母からの介入に期待をし過ぎたため、悪循環となったが、最後には反対に母の弱さに気づいた事で、認識を改め、母に寄り添う必要性に気がついた。独り狭い部屋で過ごす時間には気づかなかった、他者の痛みの存在に触れたことが私がひきこもりを終えた理由の一つ

<「まれびと」について>

このプロジェクトを発案する際に、折口信夫という民俗学者が提唱した「まれびと」という概念について考えました。共同体の内側にいる人に対し、共同体の外側からやってきて共同体に揺さぶりをかける異界からの存在を、折口はまれびとと呼びました。まれびと出現の儀式は厄災を祓う意味があり、それは芸能の成り立ちであり、異質な世界の力と言えます。
 私がひきこもった期間は、外界からの作用や対話が無く、あっという間に時間ばかり過ぎていきました。
 そこで私は今、ひきこもり当事者にとっての「まれびと」になれないかと考えています。例えば、家族には話しづらいけれど、“元ひきこもりのアーティスト”になら話してみてもいいかなと思うことはありませんか?

 私は今回のプロジェクトを通じ、日本全国どこへでも伺います。対話とハグをしてもらえませんか?もしかしたらその時あなたの日常に少しだけ、いつもとは違う風が吹き込むかもしれません。

改訂版125B小のコピー2

<プロジェクト概要>

ひきこもり経験を持つ現代美術家・渡辺篤が中心となり、応募をくれたひきこもり当事者と行うアフターコロナに向けたアートプロジェクト。渡辺が全国どこへでも出張して、対話しハグをする。その際当事者の背中側から写真を撮らせて頂く。コロナ禍以前・以後も孤立せざるを得ない人々に対し、社会が意識を向ける働きかけを目指す。また、当事者にとって、他者との体温を感じる接触経験が、認知更新のきっかけを生み出すことも期待する(※4)。

※4…私は、当事者の現状を否定したり、無理矢理引きずり出す一部の暴力的支援団体を批判する。強引に状態を変えさせるのではなく、周囲の認識や環境を変えていくことも必要と考える。また、まず当事者のひきこもる権利が肯定されること、そしてその先に自己選択権の回復があると考える。リカバリーには、安心できる対話や交流、居場所、合意形成を丁寧に図った介入(お節介ともいうだろうか)が必要と考える。私は、自身の当事者経験や、これまでのプロジェクトで養った経験値・ネットワークを生かし丁寧に企画実施をする。目的は、ひきこもりをやめさせることではない。出会い、対話し、ハグをする。それ以上でも以下でもない。

<プロジェクトの流れと安全対策>

1【お申し込み】
ひきこもり(※5)の方で、渡辺篤と対話とハグをしてもいいという方は、このページの一番下にある参加希望フォームURLから、お申し込み下さい。

※5…ひきこもりの定義は問いません。ジェンダー/セクシャリティー/年齢/障害の有無/居住地/経済力/見た目/人種/国籍/思想/宗教等も問いません。

2【事前の対話】
応募者全てと連絡を取り、条件のすり合わせ(規約の合意、ジェンダーバランス、旅の行程、双方のスケジュールなど)を行い、実現可能性が高い方の元へ伺います(応募者全ての方へ訪問できるわけではありません)。事前にメールや通話による対話の機会を作り、安心して実施できるようにします。

3【同行スタッフと安全対策】
訪問は、渡辺篤の他に同行者が1名居ます。介護もしくは福祉の経験を持つ人を中心としたスタッフ(2名在籍、増員予定。男性以外とする)。渡辺は体の大きな男性です。応募者の性別や年齢が何であれ、訪問時に二人きりの状態は極力作らないようにし、閉鎖性を減らし、安全な実施を目指すためです。(※6)。

※6…当事者運動やソーシャルグッドな活動を行う界隈で、昨今、性暴力や搾取的な事件が複数、明るみになった。社会的に良い事をしている活動の現場では、暴力的な問題は起きないだろう、というおごりが背景にあったのかと思う。このプロジェクトでは、そうした暴力を批判し、また、搾取性を極力減らして協働性を高め、合意形成を重ねることで、安全対策を行うことを誓います。実施においては、事前の合意以外に過剰な要求があった場合や迷惑行為が行われた場合、実施を中断できる権利を双方が持つこととする。

4【場所】
お会いするのは応募者のお家、カフェ、公園どこでも構いません。最大3時間程対話し、最後にハグをして背中側から写真を撮らせてもらいます。この際、個人や居住地が特定されないようプライバシー保護を重視します。

5【作品化】
ハグの写真は、布に印刷して複数を縫い合わせ、旗を作る予定。その旗を用いて、別の映像作品を制作したり、美術館に展示する想定。
その他、応募者の居場所まで向かう旅路の映像を撮る予定。その際、県名までは公開しますが、それ以上具体的な場所情報は開示しません。

6【コロナ感染対策】
アフターコロナ期(ポストコロナ期)のコロナ収束前後を、主な活動時期として想定。実際には一旦まず、2022年1月〜12月頃に全国出張予定。プロジェクト関係者は、マスク着用と手指アルコール消毒をして頂きます。なお、渡辺篤はワクチン接種済み。
コロナ感染拡大状況などを踏まえ、実施方法を臨機応変に行います。

7【その他】
参加希望者に対しては、規約や詳細について、
随時合意確認をとらせていただきます。
参加希望者や参加を迷う方でご質問等ある場合、
お気軽にご連絡下さい。

<渡辺 篤 プロフィール>

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渡辺 篤(わたなべ あつし)|現代美術家。近年は、不可視の社会課題であり、自身も元当事者でもある「ひきこもり」にまつわるテーマについて、心の傷を持った者たちと協働するインターネットを介したプロジェクトを多数実施。社会問題に対してアートが物理的・精神的に介入し、解決に向けた直接的な作用を及ぼす可能性を追求している。
 2020年度「横浜文化賞 文化・芸術奨励賞」受賞。 福祉番組「ブレイクスルー」や「ハートネットTV」(ともにNHK Eテレ)等の多数のTV出演や執筆も行う。武蔵野美術大学非常勤講師。
 最近の趣味は、Youtubeで格闘技を観ること。好きな食べ物は餃子とお刺身。
(プロフィール写真撮影:水谷浩士)

《経歴》
・1978 神奈川県 横浜市生まれ
・2009 東京芸術大学大学院 美術研究科 修了
・2010 東京芸術大学大学院 美術研究科 研究生 修了
・2010 7ヶ月半、自室で寝たきり生活を送る
・2013 ひきこもりを足掛け3年行った後、現代美術家として社会復帰。以後精力的に活動を続けている

《主な活動歴》
〈個展/プロジェクト展〉
・2021 「同じ月を見た日」R16 studio、神奈川
・2020 「修復のモニュメント」BankART SILK、神奈川
〈グループ展〉
・2021 「TURN フェス6」東京都美術館、東京
・2020 「Looking for Another Family」国立現代美術館、韓国
〈イベント〉
・2021 『渡辺篤×斎藤環「ひきこもりと表現」』(対談|TURNプロジェクト)
〈掲載〉
・2020 『朝日新聞』「ひと|月を介し、孤立した人同士をつなぐ現代美術家」

渡辺 篤|ウェブサイト
Twitter  ■Instagram
アイムヒア プロジェクト|ウェブサイト …アイムヒア プロジェクトは、ひきこもりをはじめとする孤立感を抱く人々の声や当事者事情を、当事者と協働する形で社会に向け発信し、アートが社会に直接的な作用をもたらす可能性を模索する活動体。本企画もアイムヒア プロジェクト名義で実施する。

<同行スタッフ プロフィール>

神原さん正方形

神原由佳(かんばらゆか)|兵庫県生まれ。アルビノ当事者。2017年から、見た目に症状があることで日常生活に支障をきたす「見た目問題」に関する当事者発信を行う。横浜市精神障害者生活支援センター勤務。食べることが好き。主なメディア出演は「ハートネットTV」、「BuzzFeed」、「withnews #アルビノ女子日記」。

鳥居さん_写真2

鳥居 萌(とりい めぐみ)|千葉県船橋市生まれ。14〜18才まで起立性調節障害を患い闘病生活を送る。高認取得後、多摩美術大学で彫刻を学んだ。卒業後は高齢者介護の現場で働いてきた。現在は製麺所で麺の販売・デザインなどの仕事を行う。ラーメン好きでほぼ毎日食べる。好きな麺の茹で加減は柔め。

<これまでのプロジェクト>

C1のコピー

《同じ月を見た日》2020年〜
ひきこもりを含むコロナ禍に孤立感を抱く人々をメンバー募集し、それぞれの場所から月の写真を撮影し、ここにいない誰かの存在にも想像力を向けるプロジェクト。写真はこれまで1500枚ほど集まった。映像やインスタレーションとしても作品化され、オンライン交流会も定期開催した。
(撮影:井上桂祐)

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《I'm here project》2018年〜
渡辺自身の経験をきっかけに、ひきこもり当事者たち自らが撮影した部屋写真を募集。集まった約160枚を編集し、写真集を出版。
また、インスタレーション作品として国内外で展示。マスコミや美術/福祉/医療関係者、 さらに当事者や支援者からも多くの注目が集まった。
(Photo: Kristof Vrancken)
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<助成>
一般財団法人川村文化芸術振興財団「ソーシャリー・エンゲイジド・アート支援助成」
公益財団法人 小笠原敏晶記念財団「第2次新型コロナウイルス特別助成」
アーツコミッション・ヨコハマ「ヨコハマ創造産業振興助成」

助成ロゴ3団体

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<規約/参加希望フォーム>

https://www.iamhere-project.org/new-freehugs/post-form/




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渡辺 篤
現代美術家|同じ月を見た日http://moon-alone.online/onaji-tsuki|新刊作品集https://bit.ly/3kA7ZnB