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記事一覧
【有栖川櫻子SS-8】 桜を守るは黒の番犬
『所詮犬ですね 有栖川さんに犬は似合いません
でも私の目にはなれる あなたは盲導犬です』
鷹臣はスマホに届いたメッセージを見る。
最後まで読んだ所で間を置かず、そのメッセージを消去した。
「誰に何と言われようが、俺のやるべきことは曲げるつもりはない」
スマホをポケットに仕舞い込み、陰に身を潜め目前の彼女を見る。
鷹臣が守るべき相手、命を賭す価値のある存在。
生涯を捧げるに値する主。
世界で
【有栖川櫻子SS-7】 とある新聞部の航行
飛行機の機内においても私は新聞部として活動する。
新聞部たるもの、学内の出来事には常にアンテナを張っておくべき、というのは私の持論だ。
だから今注目の的となっている解決部の掲示板にも目を通す。
その最中、後輩……恐らく、後輩の卜部の投稿を見て私は手を止めた。
そして隣の席に座っている志帆の顔をじっと見る。
彼女は手元の有栖川櫻子の写真を整理していた手を止めて顔に疑問符を浮かべたような顔をした。
【有栖川櫻子SS-6】 とある新聞部の日常
「満開の 桜に勝る 櫻子様」
「ん〜微妙じゃない?」
「ショックです!でも確かに櫻子様の美を表現し切れてないのも事実……!」
ここは新聞部の部室。
新聞部では定期的に黄昏新聞と称して校内新聞を発行している。
その内容は学内のイベント事だとか、生徒や教師のゴシップだとかが主となる。
のだが、最近……いやここ数年の黄昏新聞の様相は変わっている。
「ねぇ、前々から言おうと思ってたんだけど」
「ん
【有栖川櫻子SS-5.5】 #6'迷宮 side櫻子&ベネット
To:ベネット・ラングマン
From:有栖川 櫻子
わたくし、此度の迷宮に挑戦しようと思いますの。
共に来てくださるかしら?
───────
From:ベネット
すでに支度は整っています櫻子様。
どこへでも参りましょう。
まやかしの幸せなど幸福に非ず。
櫻子様の行く手を阻む者、すべて叩き潰してさしあげます。
───────
【依頼受諾】
From:有栖川 櫻子
わたくし、迷宮と
【有栖川櫻子SS-5】 夢見し桜と菊の花
つい、とスマホのディスプレイを撫でる。
瞳に映るは解決部の掲示板。
【解決済】の記述を見て、彼女はほう、と溜息をついた。
「(人を上手く使う、難しいものですわね)」
「(わたくし、この結果にあたってもっと上手く動くことが出来たのではなくて?)」
“卒業式をしたい”
その思いに答えるがため、櫻子は警備を増やすことで物理的な卒業式の開催を可能とした。
しかし、それは謎の根本的解決とは程遠い、
【有栖川櫻子SS-4】 バレンタイン前夜
「櫻子はマメだね」
口にチョコレートを放り込み、わたくしの長兄の紫苑お兄様は言葉を発した。
「わざわざ学校の人にそんなにチョコレートを準備するなんて」
そう言い、小さなチョコレートの箱の山へ視線を向ける。
「ふふ、日頃の感謝を伝える良い機会ですもの」
わたくしは用意させた箱を1つ1つ紙袋へ入れていく。
明日はバレンタインデー。
日本においては異性へチョコレートを渡し、思いを伝える日。
し
【有栖川櫻子SS-3】 桜と杏
「『有栖川家の若い世代間での交流を深めましょう!』ですって」
「はぁ〜!バッカらしい!寝言は寝て言えっての!」
手元の招待状を適当な所に投げ、足を組み悪態をつく。
「お姉ぇ、口悪いよ」
「ね、お姫様らしくていいじゃん」
双子の弟の言葉にアタシのイラつきは膨らんでいく。
「アンタらの櫻子贔屓もマジでムカつく!!アンタらはウチの弟でしょ!?アタシの味方しなさいよ!!」
「……杏子様」
本
【有栖川櫻子SS-2】 冬に咲く
今日は有栖川邸で櫻子が主催したパーティーの日。
会場では訪れた招待客達が料理を囲み、楽しげに談笑している。榎本に至っては全ての料理を制覇する勢いで皿に食べ物を乗せている様子が伺える。
プレゼントを持参すれば誰でも、という触れ込みで招待状を出したのもあってか、解決部以外にも沢山の生徒達がパーティーに訪れていた。
「ふふ!わたくしの主催したパーティーですもの、当然の盛り上がりですわ!」
櫻子は
【有栖川櫻子SS-1】 花盛りの君
「櫻子、お前は人の上に立つ人間になるのです」
それは幾度となく言われた言葉。
お祖母様に最初にそう言われたのは、幾つの事だったかしら。
わたくしはそれを言われたその日から……
いえ、きっとこの世界に生まれ落ちた日から、そのために生きている。
───────
有栖川家は女系家系である。
代々、長女が家を継ぐ。
現当主は有栖川 櫻子の祖母、有栖川 菊子。
強く、厳格で、有栖川家において絶対