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【有栖川櫻子SS-2】 冬に咲く

今日は有栖川邸で櫻子が主催したパーティーの日。

会場では訪れた招待客達が料理を囲み、楽しげに談笑している。榎本に至っては全ての料理を制覇する勢いで皿に食べ物を乗せている様子が伺える。

プレゼントを持参すれば誰でも、という触れ込みで招待状を出したのもあってか、解決部以外にも沢山の生徒達がパーティーに訪れていた。

「ふふ!わたくしの主催したパーティーですもの、当然の盛り上がりですわ!」

櫻子はパーティーの盛況を見て高らかに笑う。

ベネットはそんな櫻子を一歩下がり見つめていた。

「貴方もそう思うでしょう!ベネット!」

くるりと振り返り、櫻子はベネットへ声をかける。

「はい、流石有栖川さんです」

そうでしょう!とベネットの返答を聞き、桜子はうんうんと頷く。

櫻子は飲み物を手に取り、会場の隅のベネットの隣へ歩いた。

「ねぇ、ベネット」

いつも自信に満ち溢れた言動をしている櫻子が珍しく相手の様子を伺うように声をかける。

何かあるのではないか、ベネットはそう思い少し構えて返答する。

「どうされましたか?」

一瞬、言い淀むような素振りを見せたが、直後全く迷いなどないように、櫻子はベネットの目を真っ直ぐ見て口を開いた。

「ベネット、わたくしは今お祖母様と賭け事をしていますの。」

「貴方は有栖川家に雇われの身だから、これは命令でなくてお願いなのだけれども……」

「貴方はわたくしの味方でいてくれるかしら?」

射抜くような強い視線。

「……私は、何があっても有栖川さんを守ります」

ベネットは否定とも肯定とも取れない発言をする。

しかし櫻子はそれを聞き、満足げに微笑んだ。

「さぁ、主催としてクリスマスの贈り物にピアノでも演奏して差し上げようかしら!」

手に持ったグラスを置き、いつもと変わらぬ笑顔で会場の中心へ歩みを進める。

「───皆様!宴は楽しまれているかしら?夜は長いのだから、まだまだ楽しんでいってくださいませ!」

椅子を引いて座り、鍵盤上に白く細い指を滑らせる。

宴はまだまだ続いていく。

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