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マーケッターとデザイナー&クリエーターを重ね合わすとは?

マーケプランの成果を高める最高の表現を得る・創るための複眼思考

■まず、久しぶりのご挨拶
久しぶりにnoteにアップします。
唐突なタイトルで、何?言い始めたのって感じた方も
多いのではないでしょうか?
ご興味を感じた方は、是非読み進めて下さい。
 
私の経歴は、以前のnoteにも書いていますが、美術大学を卒業後、
味の素㈱の広告制作部門で38年間、パッケージデザインと広告の企画・
制作を担い、初海外赴任しアセアンからインドのデザイン・広告を
現地メンバーと制作し、最後は味の素㈱のコーポレートブランドロゴタイプ
を開発した、企業内デザイナー&クリエーターです。
今では珍しい会社人生だと思われます。会社は卒業しましたが、フリー
ランスで現役を続けているおじさんです。よろしくお願いいたします。

経歴で分るように、いわゆる事業会社と呼ばれる企業の中で、
多くのマーケッターに揉まれたデザイナー・クリエーターです。
一般的に言われるデザイナー・クリエーターとは異なる経験と頭脳を
持ち合わせているようで、例えばパッケージデザインなどを説明する際も
意図していませんが、時としてマーケッターみたいなこと言いますね?
などと言われることがあり、それは商品開発のスタートから最終の販売まで
ごく普通に関与してきたからかもしれません。
そんな経験を基に書き進めたマーケティングと、最終表現を作る
デザイン&クリエイティブの新しい在り方を考えて見たいと思います。

■タイトルに書いた新しいご提案の内容とその訳
今回の提案は、マーケッターとデザイナー&クリエーターの間に
トランスレーター(翻訳者)? コーデネーター(纏め役)?が居たら
どう思いますか?という新しい発想です。
つまり、マーケティングが理解出来き、デザイナー・クリエーターの
思考も理解し、両者の思いを深く重ね合わせ、最高の成果物(作品)を
導き出す新しい職種ということですが・・・現在、偶発的にそのような仕事
の仕方をしていて、思いのほか、良い結果を生み出しているからです。
特に、商品開発におけるデザインを開発するプロセスの変化(今回は主に
パッケージデザインを核に書き進めます)にともない、過去に比べてマーケ
ッターとデザイナー&クリエーターとの交わりが薄くなってしまったコトを
憂いてきたからです。
社会に役に立つ良い素晴らしい商品・サービスを創り上げようとする行為
でありながら、お互いが納得出来る結果に容易にたどり着けない状況がずっ
と存在し続けるからです。
でも、その役割は、既に制作会社であれば営業とかベテランデザイナー、
広告会社だとストプラがその役割を担っているから大丈夫と言われる方が
いらっしゃるかもしれません。
本当にそうでしょうか?
優秀なマーケッターと優秀なデザイナー(両者ともに、有名と置き換えて
も良いと思います。)が毎回タッグを組めればいいのですが、それは予算が
ふんだんにある大型企画やプロジェクトであればのことですよね。
常に最高の成果を生み出すためには、あらゆる知恵を寄せ集め、纏め上げる
経験と頭脳を活用する方が最短の方法ではないかと考えますが・・・、
いかがでしょうか?

■マーケッターとデザイナー&クリエーターの分離の始まり
では、本題に入りますが・・・、
先ほど、「マーケッターとデザイナー&クリエーターとの交わりが
薄くなってしまった」と書きましたが、これはデザイン開発で、もう見る
コトの出来ない“手書きのラフスケッチ”からマッキントッシュのMACと
いう道具に変わった時からの長年に渡って感じてきたことなのです。
基本的にデザイン開発のプロセスは、オリエンテーションに始まり、
ラフスケッチを提案されて、絞り込みをして、ブラッシュアップする過去
の流れから全く変わっていません。
しかし、変わったのはオリエン後の最初にマーケッターが見るラフスケッチ
は、手書きのラフでは無くなったことです。

手書きのスケッチイメージ 

今では当たり前になっていますので誰も疑問に思わないと思われますが、MACによって隅々まで表現されプリンターで印刷されたラフスケッチは、
既にクリアな最終スケッチのレベルです。
マーケッターにとって、最初から完成されたかの様なデザイン案を見る
ということは、そのデザインが、目的・テーマに合っているのかどうか、
最初から良いか悪いかの選別が始まってしまいます。
しかし、始めが手書きのラフスケッチだった時代は、選別に至りません。
むしろ、どの様な考え方・方向性を持つデザインなのかをマーケッターと
デザイナーが話し合える場が生まれます。完成していない手書きのデザイン
案だからこそ、お互いがその案に対して創造性を巡らすことが出来、意味
ある話し合いが行なわれていました。
さらにマーケッターは、手書きのラフスケッチから、清書したロゴタイプ
をクロマチックでシール化して貼り付け、料理のプリント写真を薄剥ぎして
組み合わせたダミーと呼ばれる半完成を確認するといったプロセスなどで、
デザインが進化していく様をその都度、実感することできました。
そこには、マーケッターにとって、デザイナーと一緒にデザインを創り上げ
る意識の醸成があったように思います。
 
でも・・・、現在それを求めることは出来ません。
現在あるのは、マーケティングの進化と共に、精緻化されたオリエン
テーションに対して的確なデザイン案を提出する、まさにビジネスになって
いると思います。依頼主マーケッターと受け主デザイナー&クリエーターの
関係は昔から変わりませんが、デザインを依頼して購入するという
売り買いのドライな関係が強まったなと感じています。

■デザイナー&クリエーターとマーケッターの齟齬
オリエン後の最初のデザイン案を説明する場で、マーケッターからこの案
は無い! この案は~あれが足りないなどと、デザインの可能性の話では
無く今見えているデザイン表現とマーケティングの目的との融和性・親和性
から瞬間に選別されていきます。その様をデザイナーサイドは、それなりに
依頼は考慮したつもりと思っていながら聞いているのが、大方の状況かと
思われます。
マーケッターにとって、最初のクリアデザイン案はラフなスケッチだと
説明されたとしても、完成された提案デザインであると受け取るのです。
そこにデザイナー&クリエーターが、マーケッターの創造力に期待しても
無駄なことなのです。
さらに何故そうなるかと言うと、ちゃんと言葉でデザインを説明しきれ
ないことが拍車をかけてしまいます。残念ながらデザイン作成時に考えた
思いを言語化していないのです。ましてや、ロジックで理路整然と話す
なんて訓練していません。(ベテランデザイナーなら出来るか・・・?)
元々、学校教育で行なわれていなかったので、上手ではないのです。
*自分も若い頃は「名久井が何を言っているのか理解出来ない」と何度も
マーケッターに言われました。
参考本読んだり、話す前に書き出したり・・・努力を重ねるしかなく
会社に在住中は鍛え上げられました。
現在のデザイナーは、ますます作ることに集中してしまっていますし、
むしろ集中したいとさえ望んでいるようにも感じています。
私は、この現象をデザイナーの職人化と呼んだりしています。
デザインが産業革命を境に、芸術・アートから、生活の豊かさ・美しさを
表現するようになり、あくまでも産業・ビジネスとセットになり進化して
きたわけで、さらに、英英辞典でDesignを調べると「計画・設計を・・・
意図的にする」と記載されDraw・Drawing、Patternなどは表現の手段
とされていて、「意」の「匠」と書いて「意匠」という言葉が、どこまで
Designの意味をちゃんと意図的に日本の中に伝えられてきたのか?
自分も英英辞典で初めて気が付き、驚きながら恥ずかしくなりました。
 マーケッターもデザインの重要性に気が付きながらも、どの様に話したら
思いを伝えられるのか?悩んでいるし、かたやデザイナー&クリエーターは
説明しきれないもどかしさと、分ってくれない空回りが続いているにも
関わらず藻掻いているだけに見えてなりません。

■宣伝会議さんから頂いたチャンスと気づき
会社を卒業し、知り合いから手伝ってと言われフリーランスになり、様々
なデザインの支援をしていると、突然!宣伝会議さんからクリエイティブ
ライブラリーに講座を持って欲しいと言われ、私の講座が開設されました。
このライブラリーは著名なデザイナー・クリエーターの方々ばかりで、
事業会社側のデザイナー&クリエーターが参列することに戸惑いが有り
ましたがちゃんと訳がありました。

宣伝会議の講座の紹介部分

もともとデザイナー・クリエーター向けの講座でしたが、広告主が想定
以上に多数参加されたということで、調べたら、なんと広告主がデザイン・
クリエイティブを学ぼうとしている行動の表れでの様ですとのことでした。
私はそれはそれで良い傾向だと思いましたが、広告主が、デザイナー・クリ
エーター向けの講座で、その考え方・思考を学んだとしても、自分の行動に
置き換えることが出来ないという意見があったことから、私の講座を開く
切っ掛けになったと言うことです。 
そのためか?宣伝会議の担当者が特にこだわった講座のタイトルは、
「販売への貢献とクリエイティブディレクション!? 広告主が身に着けたい
5つの力」というもので、まさに広告主であるマーケッターとデザイン&
クリエイティブを取り持つ約170分にもなる講座になりました。
この講座の内容を作りながら、このようなニーズがあると改めて感じ、
さらにJAA(日本アドバタイザーズ協会)のクリエイティブ委員会委員長
の時に始めたクリエイティブ塾も同様のニーズで盛況で、この可能性を
さらに強く感じることになりました。

■最高の表現を得るための歩み寄り方
現代のマーケッターからデザイナー・クリエーターへの仕事の依頼は、
キャッチボールかの様に、投げて、投げ返すだけに見えます。
皆さんよく「投げる」という言葉を使いますが、デザイン・クリエイティブ
は投げるものではなく、「相談するモノ」です。
オリエンテーションを重要視するマーケッターのプロセスは尊重します
が、説明し依頼すればいいのではありません。デザイナー&クリエーターが
どこまでマーケッターの依頼を自分事化することが出来たかですよね?
 
ある美系大学で、マーケッターだった方々が、デザイン・デザイン思考を
学び始めていると聞いたことがあります。私に宣伝会議さんから依頼された
案件と同じテーマなのだと思います。マーケッター側からデザインとクリエ
イティブのデレクション・マネジメントを理解し行なっていこうとする
まさに潮流ですね。
マーケッターがデザインを学ぶのも良いと思います。
(かなり厳しいが、頑張れば出来る!?)
デザイナー&クリエーターがマーケッターの思考の道筋を理解するのも
良いと思います。私は、事業会社に所属していたので覚えました。
しかし、マーケッター、デザイナー&クリエーターの全員が両方を学び
切れるほど簡単なものではありません。
マーケッターはマーケッターの道でプロフェッショナルになること本筋だと
思いますしデザイナー&クリエーターもまたその道でプロフェッショナル
になることが目標だと思います。
一番可能性の高いのは、事業会社のデザイナー&クリエーターだと思って
います。
マーケッティングが本流の事業会社だからこそ、社内の言語はマーケッティング用語が飛び交っているわけで、そこでパッケージデザイン脳×マーケッティング脳や広告の企画・制作脳×マーケティング脳が出来やすい。
(ちなみにMBAをお持ちで広告の企画・制作脳の方もいらっしゃいます。
貴重な存在です。)いわゆる二刀流?の人材が生み出されやすいと考えて
います。
しかし残念なことは、何故かよく分らないのですが、事業会社で活躍され
たデザイナー&クリエーターは、退職後この世界から足を洗ってしまう方が
多く、貴重な存在だと私は思いますが、もったいないと感じています。
 
そろそろ終わりにしたいと思います。
本当に両者が、昔のように話し合いながら、開発を進められればいいと思い
ます。しかし、以前の様なノンビリした時代では無く、速度が早く複雑で
多様であるが故に、上手く繋ぎ合せる工夫が必要になっていると感じます。
積み重なった経験をネットワークして活かす時代なのではないかな?と
思います。
今までは無かった職種なので仕方がないですが、可能性を理解していた
だける方をもっともっと増やしていきたいと考えています。

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