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161105 錦秋文楽@大阪

4日の夕方から第2部、5日の午前中から第1部という順番で秋の文楽みてきました。

私は文楽通ってるわりにツウではないので、行ったことない人には世話物のことを「江戸時代版だめんずウォーカー」と説明してるんだけど、今回のだめんずものは「艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)」。今回は心中に至る二人がメインではなく、半七の家族や妻の実家の親まで含めた関係者それぞれの想いが交錯する酒屋の段

今回は文字久太夫さんが素晴らしかったなぁー。個人的MVP。文字久太夫さんは、素朴な町人の親が一途に子を想う、不器用だけど真っ直ぐな切ない愛、みたいなのを語らせるとピカイチだと思う。「人が笑おうが俺ゃ娘が可愛い、不憫にござる、可愛うござる…」というお園の父親の慟哭はグッときた。

ストーリー的には例によって「ヘイ彼女!あなたこんな奴とは速攻で別れるべき!」って感じで男がダメ男なんですけど、基本的に私的に世話物は男のダメさ加減についてぶうぶう文句言いながら帰るまでがワンセットのお楽しみなのでよいのです。楽しみ方として邪道なのかも知れないけど、ドラマや映画だってツッコミながら見て楽しむ見方もあるじゃない?と思って、自分的にはいいことにしてる。

にしてもダメ男だったぞ半七!散々奥さんのこと拒否っといてなーにが「未来は夫婦に」だ。ズルい上にこれから心中する愛人に対して、未来は別の女と夫婦とかいうセリフ聞かせちゃってんのもーーーダメじゃん!あんた一人悪者になりたくないだけじゃん!こういう腹くくれない男はしねばいいのに!…と思ってからはたと「あ、心中ものだからこれから死ぬんだった」と思い出し、半分ぐらい溜飲を下げました。

ちなみに私がこれまでに見た文楽世話物の中でのベスト(ワースト?)ダメ男は「天網島時雨炬燵」の治兵衛です。女々しいの極み。「冥途の飛脚」の忠兵衛も大概なんですけど、転落へ向かう封印切のシーンのハラハラ感とか生々しさがたまらなく好きなのでゆるす。

勧進帳」は演目としてはそんなに好きじゃないんだけど、今回は花道を使った派手な引っ込みとか、普段見られない演出があって面白かったです。玉男さんの立役は気品があって好きだな。

咲太夫さんが少しお痩せになった気がしてちょっと心配。一人横綱ならぬ一人切り場語りなので…。次に切り場語りになるのは、誰がいつ頃なのかなぁ。

2日目は午前中から一部を鑑賞。わりと地味目の演目が続き、ななめ前の外人さんが退屈気味でハラハラしてましたが、最後の清姫の変化のとこでワーオ的な反応で喜んでたのでホッとしました。大迫力の川の表現なども、楽しんでくれてたらいいな。

東京公演はいつも満席御礼なのに、肝心のお膝元の大阪はなかなか埋まらないんですよね…でもいろいろ頑張って営業してるんだと思います。若い外国人のお客さん増えてきた気が。

話的には地味めだったけど「花上野誉碑」は和生さんのお辻が良かったなー。やつれ果てた姿から水垢離のシーンでの激しさへの切り替えで思いの強さを感じさせる。

恋娘昔八丈」は文楽には珍しいハッピーエンドものだったんだけど、パンフの解説に掲載されていた、元になってる実際の「白子屋おくま事件」のほうが話としてはおもしろすぎて、このストーリーそのまま誰か現代文楽にしてくれないものか…と思ってしまった。

不倫、夫殺し、心中を偽装した殺人だとか、もうてんこ盛りのスキャンダラスな事件で、南町奉行所の大岡越前が裁いている。ラストシーンに出てくる鈴ヶ森の刑場は品川区にあって、跡地は心霊スポットとしても知られているらしい。

帰りの新幹線まで2時間ほど時間があったので、中之島で途中下車して、府立中之島図書館を見てきた。

夕方の中之島。

素敵な近代建築です。重要文化財。

ホールだけは写真とってOK。

見上げるとこんな感じ。

館内に北欧風サンドイッチのおされカフェがあって、新幹線乗る前に腹ごしらえしてきた。

お任せ三種のオープンサンドにドリンクつきで1500円だったかな。こう見ると小さく見えますが、具もてんこ盛りで女性なら十分お腹ふくれると思う。

これはポテトサラダどサバの塩漬けの上にリンゴのジュレがかかってる。どれも期待以上に美味しかったです。

スモーブロー キッチン ナカノシマ

https://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27091150/

帰りは、ぷらっとこだまでのんびり戻ってきた。年内の大阪はこれで最後。12月は東京で、忠臣蔵の通し公演です。どうにかチケットはゲットできたので楽しみ。

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