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【読書感想文#3-2】人生を豊かにしたい人のための世界遺産を読んで~中編~

皆様いかがお過ごしでしょうか?
世界遺産についての面白い本を見つけたので皆様に紹介します。

NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員宮澤光さんが書いた『人生を豊かにしたい人のための世界遺産』という本です。

前編では過去の世界遺産には我々に向けたメッセージがあることを書きました。

今回は本で取り上げてきた「多様性・お金・脅威」について感じたことを書いていこうと思います。


【世界遺産は多様性である】ということ

著者の宮澤光さんがこの本で何度も言われていることとして「世界遺産は多様性」ということを指摘しております。
様々な国の大都市では全世界中で事業展開しているチェーン店やブランドがいたるところで見られ、効率化を追求した建物やシステムにあふれている…近未来は効率重視・画一化されたモノにあふれていることに気づくでしょう。
世界遺産はこうした均一化した価値観に逆行するように、様々な価値観を包含して、世界中の公平・平等を目指すことを理念として有しています。
それは画一化された社会で起きた問題(本ではアイルランドの飢饉を例を引き合いに出しております)に苦労した過去の人類の経験を出しております。ただ私はこうした価値観を社会が包含できるほうが生きやすいのではと思うです。

もちろん大切しているものは人それぞれ違いますし、その度合いをほかの人と比べることは難しいです。なのですべての価値観を包含することは難しいかもしれません。それが自分にとって価値があるのか?なんて思うような不便なことや無駄なことであったとしても、世界遺産として保護することに私は意味があるのだと思います。

 こうしたときに今ユネスコにまつわる問題の一つとして「世界遺産は多すぎるのはよくない」という考え方があります。ただ私はその考えに疑問を抱いてしまうのです。それはなぜかというと、主観的な判断をしてしまう我々が世界遺産(世界遺産になるかもしれない暫定のものも含めて)の中でも優劣をつけて、数を制限しようとする動きが世界遺産の持つ本来の意味から外れてしまうからです。
前編でも書いておりましたが、世界遺産が語り掛けるメッセージ、世界遺産にかかわりがあった人々や社会が持つその遺産への思い・価値観を重視すべきではと思うのです。

【保護を続けるにはお金がつらいよ】ということ

先ほど世界遺産は多様性の塊といいましたが、今の世の中は「資本主義」、やはり世界遺産にもお金の話が必ずついて回るという事実です。

本でも触れておりましたが、2020・2021年でユネスコに充てられる予算総額は約1435億円です。1年あたりにすると約718億円となり、今世界中に1157件の世界遺産が登録されておりますから、世界遺産1件当たりに換算すると約6200万円になります。金額だけ聞くと大きいかと思いますが、ユネスコ自体を運営するお金を差し引くと、さらに少ないものです。その中で新たに登録しようとしている世界遺産の評価を行うときも、災害や紛争で修理・復興は必要な場合で多くのお金が必要になるとすると世界遺産を保護・保全するにはお金が足りないなと多くの人は気づくはずです。
最近では世界遺産登録の手順を見直して、事前評価の際にかかる費用を申請した国に求める動きがあります。これではお金を持っている先進国が登録を優位に進めてしまうことが想像できるでしょう。今まで登録がなかったジャンルや地域、世界遺産がない国を優先にするグローバルストラテジーがあるといえでも、現実問題はやりお金がすべてであることは今の我々の生活でも世界遺産の世界でも変わらないのです。

だからこそこれからの時代はより一層、遺産保護のためにもマネタイズするための方法は欠かせなくなるのだと思います。
そして世界遺産を保護しながらも、世界遺産を使って地域経済を回すアプローチは重要で、最近訪問客が減っていた富岡製糸場のツアーが好評を博している記事を見るともっと推進してほしいなと思うのです。

今回はこの辺にして、次回は世界遺産に降りかかる様々な脅威について短めですが書いてみようと思います。

今回も読んでいただきありがとうございました!



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