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『ゲームシナリオ入門』【学びの記録】

 斜読(ヨミ)です。
 TRPGシナリオを書こうと思っていると、『ゲームシナリオ入門』という本が目に留まり、斜め読みしてみると面白そうで為になりそうだと感じたため購入してよく読みました。
 学びを保存するため、自分なりの解釈をここに書き記そうと思います。


第1章 ゲームシナリオライターの資質

 ゲームシナリオを書くことに適正があるかを2つの面から述べる。
 精神面の資質は「やる気」・「根気」・「好き」があるかで判断できる。アイデアや構造を他から借りてでも執筆を進めることが重要である。
 能力面の条件は「選択する力」があること。必要に応じて、より面白い物語はどちらか、より自然な文脈はどちらか、より魅力的なキャラクターはどちらかなどを選択できる能力を要する。

第2章 ドラマのあるゲームシナリオ

 ゲームでは、プレイヤーが選んだ行動の結果が次の展開を変化させる。この特性により、プレイヤーはゲーム内の出来事に影響できると感じ、疑似的な「体験」を得る。ゲーム特有の魅力はこの「体験」であり、ゲームにおけるシナリオの役割は「体験」の魅力を最大限に引き出すことである。そのためには「人の感情が動く出来事」、すなわち「ドラマ」のあるシナリオを作る必要がある。
 ドラマを生み出す条件は葛藤があることである。葛藤とは対立について悩むこと。さらに対立が起こる原因には必ず目的が存在し、物語を進めるために葛藤の結果となる決断も描かれるべきである。つまり、「目的、対立、悩み、決断」という要素を繋げることでドラマを生むことができる。以降、これを「もたなけ」と呼ぶ。
 
ドラマによって人の感情を動かすために必要なのは、視点を持つ主人公への「共感」である。さらに、そのためにはリアリティのある因果関係を徹底することで主人公を理解してもらう必要がある。また、対立するものに対して反感を刺激する要素や手強さを持たせることも有効である。

「アイデア」の作り方

 アイデア作りには「置く」「掘る」「つなぐ」という3つの工程がある。
 まず、目的と条件をよく整理して具体的な言葉で「置く」。
 次に、置かれた条件に含まれるキーワードからひたすら連想ゲームをして情報量を増やすことで、アイデアの鉱山を「掘る」。探しているアイデアはどこに埋まっているのかも分からないので、ひたすら多くの量を掘ることで強引に掘り当てるのだ。
 最後に、書き出した情報を使えるアイデアに磨くために「つなぐ」。この工程ではアイデアを閃くまでひたすら待つ。
 人間の脳は、意識したものに関する情報が目に留まるように出来ているという(カラーバス効果)。これを意識的に使うことで、アイデアを掘る作業を日常生活で行うことができる。
 また、オズボーンのチェックリストと呼ばれる「転用、応用、変更、拡大、縮小、代用、置換、逆転、結合」の考え方に当てはめることも有効。

第3章 独自性のある舞台

 舞台をシナリオ作りの起点とする場合、もたなけの「目的」が自然に導かれるような舞台設定が良い。例えば特殊なルールを設定することで、そのルールを守る(あるいは破る)ことがそのまま目的となる。続いてその目的を邪魔する「対立」を作れば、「悩み」と「決断」も導かれ、ドラマが完成する。
 舞台設定に「物語」「特殊性」「際立ったシチュエーション」を採用することで独自性が生まれる。

第4章 よく動くキャラクター

 キャラクター設定の目的は「よく動くキャラクター」を作ること。つまり、「このキャラクターが○○な状況にいたらどう動くだろうか」といった思考実験に明確な答えが出る設定が要求される。その手がかりは「欲求」である。さらにリアリティのある筋道を作るために欲求の理由となる「動機」も重要だ。この欲求と動機が導かれるような設定を考えていくのが良い。
 主人公を設定する場合は、もたなけの「目的」を持たせることになる。

第5章 結末を知りたくなるプロット

 プロットはつかみと結末を繋ぐ地図といえる。出発地点から積み上げて作るやり方や、パズルのように中継地点を結んでいくことで作るやり方がある。
 「ベタ」とは予想通りの展開であるが、「王道」とは願望が混ざった予想に応える展開である。「王道」を作れるようになることで、意外性のある展開も作れるようになるため、これを練習するのが良い。受け手に願望・期待を持たせる条件は、キャラクターへ感情移入させ、キャラクターの目的に共感させ、物語の展開を理解させることである。これらを全て満たした王の道を通ることは難しい。そのために「勇者が魔王を倒す」などの定型が生まれ、ベタな展開となっているのかもしれない。
 プロットの面白さを底上げする方法として、よく使われる「起承転結」「三幕構成」「序破急」といった構成を取り入れるというやり方がある。ここでは、「つかみ、発展、危機、結末」という構成を例に挙げる。つかみでは舞台の説明する要素や主人公への感情移入を誘うような要素が求められる。さらに主人公に確かな目的を与える「プロットポイント1」を描く。発展では物語の輪郭を明確にする要素や主人公が目的を達成する動機を強める要素が求められる。さらに状況を一変させて真の目的を明らかにさせる「ミッドポイント」を描く。危機では主人公の感情を大きく揺さぶる要素が求められる。目的を阻む最大の障害と対決する「プロットポイント2」が含まれる。結末では感情が頂点となるように演出し、必然性のある結果を描くことが求められる。
 構成を取り入れる練習として、面白いシナリオの要素を置き換えて独自性を出すという方法も良い。

第6章 自然で読みやすいテキスト

 ゲームの演出の核である「良いセリフ」を作る技術は重要である。「良いセリフ」の条件とは、物語を前進させ、キャラクター性が出ていて、情報を上手く伝えているものである。文章量や分かりやすさなど様々な問題を調整して細部をこだわることが良い。物語を前進させる方法が記されたプロットとよく動くキャラクターが設定されているならばこれらの条件を満たしやすい。

あとがき

 TRPG慣れしている方は「よく動くキャラクター」を作るのが上手いように感じます。
 ここに書いていない内容で、筆者がゲームシナリオライターとして現場事情などを綴っている部分も面白かったです。
 まだ上手く考えがまとめられていない部分もあるので、書き直していくことになると思います。

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