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「ハズレ本」がなくなる"自分ごと"読書術 参考:伊藤羊一「0秒で動け」

本を読むと、「この本は自分には当てはまらなかったな」や「著者がすごいだけで、自分には無理だな」と思うことがあると思います。
いわゆる「ハズレ本」をひいてしまった、と思う時です。

たくさんの本が出版され、Kindleなどで自費出版されるものも含めると、世の中には選びきれない程の本があります。
その中でせっかく選んで読んだ本が「ハズレ本」だと、時間を無駄にした気になりますよね。


しかし、あなたの読んだ本は本当に「ハズレ本」だったのでしょうか?
もしかしたら、勝手にハズレだと思っていただけで、実際には学びがあったのかもしれません。

今回は、読んだ本を「ハズレ」にしない"自分ごと"読書術をご紹介します。


読んだ内容を「自分のこと」として考える

読んだ本が「ハズレ本」だと感じてしまう理由は、自分には関係ないこととして書かれていると思うから、という理由が大きいと思います。

ということは、自分に関係のあることとして読むことができれば、「ハズレ」にはならないのではないでしょうか。
「読んだ本の内容を自分のこととして考える」ということです。

少し具体的に、ビジネス書と小説に分けて考えてみましょう。


ビジネス書は都度ツッコミで、たくさんのメモを残す

ビジネス書の場合は、読んでいる途中で立ち止まり、その都度ツッコミを入れていくスタイルがおすすめです。

本を読んでいて、著者の経験談が出てきたり、「〜〜すべし」のような記述があった時、すかさず付箋をとりだします。

そして、「もし自分がその立場だったらどうするか?」や、「今の自分の取り入れられるものはなにか?」を付箋に書き、本に貼っていきます。

具体的に、今回の参考文献の記述を使ってご説明します。
伊藤羊一氏が若い頃を振り返っている記述です。

面白そうな誘いを受けても、なんとなく先延ばしにしてやらない。やることによって得られるメリットより、やらないことによって面倒を避けたり、変わらない生活を維持するほうがいい。そう考えていました。

伊藤羊一「0秒で動け」

著者は若い頃、あまり周囲の面白いと言われるものに興味を示さず、変化を好まなかったようです。
それが周囲の人間関係が変化してきた影響で、発言や考え方変わっていきます。

「この新しいiPhoneすごくない?」「すげー!」「やべー!」といった具合です。ひたすらそういう会話をしているのです。

伊藤羊一「0秒で動け」

とりあえず、「すげー!」とか「やべー!」とか言うことで、自らの好奇心を高めていったそうです。
そしてその好奇心が、今の仕事にも役立っている、ということでした。

このことを、自分に引きつけて考えてみました。
私自身も、自分のことを好奇心がない人間だと思っていました。
人からマンガやドラマをおすすめされても、時間がないからとスルーしていました。

しかし、最近は友人の勧めで小説も読み始め、物語の楽しさを知りました。
数は多くありませんが、映画も観ることもあり、好奇心が持てているように感じています。

伊藤氏とは少し違う視点ですが、周囲の人間の影響で自分の考え方が変化していったことは同じです。
このことから、私の好奇心の変化は、伊藤氏のように仕事に活きることもあるのではないか、とポジティブに捉えることができました。


ビジネス書は、読みながら「自分の場合はどうだろうか?」を考えることで、学びを得やすくなります。


小説は登場人物との感性の違いを楽しむ

では、小説の場合はどのように読めばいいでしょうか。
私のおすすめは、登場人物の感性を自分と比べてみる、ということです。

小説は心理描写が細かく書かれているので、視点人物(主人公)の考えていること・感じていることを、微細につかむことができます。

以下では、私が最近読んだ小説、大山誠一郎「赤い博物館」を例にとってご説明します。
本作の主人公:寺田聡は、警視庁捜査一課に所属していましたが、失態を犯し左遷させられてしまいます。
その左遷先に、元同僚の香坂が捜査資料を取りにやってきた際に、寺田は事件の詳細を教えてくれないかと頼むシーンです。

「悪いが、一課長が言われたこと以上は教えられない。お前は部外者だからな」
「ー部外者だと?」
「そうだ、部外者だ。お前からマスコミに重要な情報が漏らされたら困るんだよ。お前には強盗傷害事件の捜査書類を置き忘れてネットにアップされた前科がある。これ以上、捜査一課に迷惑をかけないでくれ」
 頭が熱くなった。気がつくと、香坂の腕をつかんだ。香坂がバランスを崩し、抱えていたケースが床に転がった。大きな音が助手室に響き渡る。

大山誠一郎「赤い博物館」

寺田は捜査一課から部外者扱いされたことに対し、プライドが傷つけられたと感じ手をあげてしまいます。
寺田にとっては、捜査一課に所属していたことがそれだけ重要なことだったのです。


翻って、私自身のことを考えてみます。
私はNPOで働いていますが、自分の仕事をそこまで誇りに思っているかというと、そこまでの思い入れはないかもしれません。
確かに、それなりに使命感をもって業務に取り組んでいるつもりですが、馬鹿にされても仕方ないかと納得してしまうと思います。

これは警察という仕事が特殊性なのか、組織の大小なのか、はたまた個人の感覚の問題なのか・・・色々考えてしまいます。

このように、自分とは全く違う立場に置かれた登場人物であっても、その時の考え方の違いを見ることで、さまざま学びが得られます。
小説であっても、物語を楽しむだけでなく、学びを得る姿勢が役に立ちます。


「ハズレ本」かどうかは、読み手次第。

以上、読んだ本を「ハズレ」にしない読書術をご紹介しました。

もちろん、本によって学ぶことが多い少ないはあると思います。
しかし、読み手としては本を見下す姿勢ではなく、1ミリでも多く学びとってやろうというスタンスが大事なのではないでしょうか。


先日、YouTubeで「有隣堂しか知らない世界」というチャンネルの動画で、芸人で作家の又吉直樹氏が、以下のような発言をしていました。

どんな本であったとしても、俺がもう誰よりもこの本を面白く読んでやるんだって、それがかっこいいって思ってる。

有隣堂しかしらない世界「【芸人・作家】又吉直樹の世界〜有隣堂しか知らない世界118〜」

私も、「誰よりもこの本から学んでやる!」という姿勢で読書していきたいと、改めて思いました。

みなさんも、ぜひ学びある読書体験を楽しみましょう。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献①:伊藤羊一「0秒で動け」
※引用だけでなく、今回紹介した読書術についても参考にさせていただきました。

参考文献②:大山誠一郎「赤い博物館」

参考動画:有隣堂しかしらない世界「【芸人・作家】又吉直樹の世界〜有隣堂しか知らない世界118〜」

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