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私と東村さん

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高校時代、仲良かった事務室の東村さん。その人との日々を思い出したので残したいと思います。いつかの自分に向けて、忘れてしまわないように。
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#オリジナル小説

Ep.1-4

学校生活は毎日忙しかった。

文化祭が終わると、じゃんけんで負けた私は委員会の三役になった(書記)。

今度は配電室だけではなく

生徒会室や放送室の鍵なんかを借りるようになった。

東村さんがいるときは東村さんが対応してくれた。

いつもニコニコしてて

「おつかれさま」

と言ってくれてた、、、気がする。

でも、鍵を借りたり返したり

そのやりとりだけだった。

文化祭実行委員会は来年度まで

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Ep.1-3

通っていた高校は私立だったけれど、

校舎が全体的に古い。そしてしきたりも古かった。

ノックをしないでドアを開けたら最初からやり直し、先生の機嫌が悪かったらその場で怒鳴られる。

私は、先生から怒られることは見放されることだ、と思っていたので、そういったシキタリを忠実に守った。

けれど、事務室のドアを私はノックしないで入る。事務室の扉は自動ドアになっていたからだ。

「こんにちは。」

「こん

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Ep.1-1

東村さんは私が通う高校の事務さんだった。

高身長の細身で、顔は小さいのに高い鼻が特徴的の中年男性。

いつもA棟1階の事務室にいた。席は受付に近かった。

私は高校に入学してすぐに両親が離婚したため、中間テストが始まる5月には入学前に提出した住所を変更する必要があった。

そのときに始めて事務室にいった。

その時に対応してくれたのは、確か女性だった。

何かを察したのか

「あなたも大変ね。」

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