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【自己啓発本以外】教養を身につけるオススメ本10選 【小説、ビジネス系も除外】

いや、いい本だよ「夢をかなえるゾウ」は。でも、もうお腹いっぱいだ。こういう必読書10選みたいなまとめ記事は自己啓発系・ビジネス系の本で溢れている。アドラー選手をこれ以上酷使するのはやめてくれ。
というわけで、ここでは自己啓発本、ビジネスに役立つ本、ついでに小説以外のオススメ本をまとめてみた。一応、大学の新入生以上を対象としている。

読書のススメ的なサイトの前書きでは、いかに読書が役立つか、本が素晴らしいかという御高説をのたまっているが、そういうのもいいでしょ。別に私は崇高な理由があって本読んでるわけでもねーですし。
「読書は一生の宝もの」なんて言うけど、天寿を全うしてない私が言っても説得力がない。老後に突然読書アンチと化して逆啓蒙活動する可能性すらある。
まあ、「知らないこと知れて楽しーねー」「知ってること書いてあって嬉しーねー」みたいな? 本を読むモチベーションはそんなものだ。かったるいときは読まないでゲームしてる。

ついでに、現時点での私はAmazonの手先ではないので、以下のリンクをクリックしても私には一銭も入ってこない。わざわざタイトル名をコピーして検索する必要はないので安心してクリックしてほしい。


それでは別に必読というわけでもないし、年収が増えるわけでもない本10選だ。

《改訂版》田村のやさしく語る現代文

田村秀行 代々木ライブラリー

高校時代に「現代文の試験は才能」「本を読めば現代文の点数は取れる」なんてことを聞いたことはないだろうか? それは嘘だ。現代文を解く能力が存在する。というか、そもそも本を読むために必要な能力が現代文なのであって、やみくもに本を読んでも成績は上がらない。まずはこの本で勉強し、共通テストの現代文を8割くらいは取れるようになりたい(制限時間は無視していい)。そうすると書いてある文章の意味がある程度理解できるようになる。
(もちろん読解力がない状態で本を読むなとは言わない。わからないまま読む本も魔性を放つことがある)


ソドムの百二十冊 -エロティシズムの図書館-

樋口ヒロユキ 青土社

君はエロ本を読んだことはあるだろうか? 私はある。もちろんエロティシズムについての本のことだ。生殖行為は人間以外の動物も行うが、人間のみがそれをエロティックなものとした。本書は、ギリシア神話から村上春樹まで、洋の東西を問わずエロスにまつわる書物120冊を取り上げた書評集だ。後醍醐天皇が行ったとされる無礼講や、小説「火垂るの墓」作者のデビュー作が「エロ事師 ごとしたち」という凄まじい作品だったということは非常にインパクトがある。
エロティックなものは思索の対象になりうることを教えてくれる。優れた本を読むと読書のモチベーションが上がるが、本書はその中でもより多くの本へと繋いでくれるありがたい一冊だ。


1から始める詰将棋

週刊将棋 マイナビ将棋文庫SP

藤井聡太先生の活躍を中心に、将棋界が盛り上がっている。私は将棋に詳しくないが、駒の動かし方くらいは知っている。この本は詰将棋と呼ばれる将棋のミニゲームのようなものを題材として将棋のルールや考え方を学べる。
1手詰めの詰将棋は、プレイヤーが1回だけ駒を動かして相手を詰ませることを目的としている。「何だ簡単じゃん」と思うなかれ、ちゃんと考えないと足元をすくわれる問題もある。それが3手詰めになると更に手応えが増す。
この本を読むと暗号のように見える新聞の将棋欄を解読することができ、堂々と「駒の動かし方くらいは知っている」と言えるようになる。


コーヒー哲学序説

寺田寅彦 寺田寅彦随筆集第四巻 岩波文庫
青空文庫ならブラウザのまま読める

無料で本を読めるサービスを知っていますか? 大丈夫です、完全に合法です。とりあえずこのリンクをクリックしていただければ、無料で名著がいっぱい読めるサイトに行けます。安心してください。
とまあ、怪しい青空文庫の紹介はほどほどにして、教養のある人が書いた文章を読みたいのなら、寺田寅彦のコーヒー哲学序説がオススメだ。ただコーヒーについて書いただけ。専門的な解説というより筆者の過去体験からコーヒーを語る、わずか5000字。ここまで美しい文章を描けるだろうか?

科学哲学への招待

野家啓一 ちくま学芸文庫

物理の問題で「この時の速度を求めよ。ただし摩擦はないものとする」なんて書かれるとイキリ中学生マインドの私は「オイイィィィィィ!!!現実世界摩擦あるんですがアアアァァァァァ!!」と叫びたくなるが、歴史上初めて摩擦を無視したのがガリレオだ。渾然一体としたこの世界に通底するルールを見つけるのは難しい。どう考えても摩擦はある。ただ、一旦ないものとしてみると、綺麗な物理法則が見えてくる。摩擦がない世界を考えることは、逆説的に摩擦のある現実世界の理解を助けてくれる。
人類が科学を進歩させていく科学史を中心に語るのがこちらの本だ。科学は便利なツールだが、その歴史は非常に長い。科学を歴史的、哲学的、社会的な側面から見るこの本によって科学とはなにかを知ることが出来る。


別冊NHK100分de名著 メディアと私たち

堤未果、中島岳志、大澤真幸、高橋源一郎 NHK出版

NHK100分de名著シリーズは良書が多い。その中でも会心の一冊がこちらだ。「この報道おかしくない?」「なんか偏ってるな」と、メディアへの不信感や違和感を持っている人も多かれ少なかれいるだろう。メディアとはなんぞや、報道が偏るってそもそもどういうことだ、ということを4つの本から紐解く。
この世は複雑怪奇にて、事実なるものは果てしてどこにあるのやら。そんな明かりの見えない世界で人は自分に都合の良いものを見てしまいがちになる。後になって冷静に考えてみれば馬鹿なことをしたものだ、なんて思うかもしれない。一歩引いて自身の認識を確かめるきっかけを与えてくれる本だ。


善の研究

西田幾多郎(著)、小坂国継(全注釈) 講談社学術文庫

大学生のうちにこの本を読むと「学生時代、わかんねぇ哲学書に目を通した!」という実績を解除できる。
こういう本は出来ればスターバックスではなくドトールで読みたい。個人経営の喫茶店でもいいが、やはりドトールがいいだろう。満席なのに居座り続けるのは良くないので、空いている時間帯を見つけることが大切だ。家から一番近いドトールで妥協するのではなく、いろんな店舗を比べて最適なドトールを見つけてほしい。それにしても最近のドトールは価格体系が1円単位になって大変だ。小銭がかさばって仕方がない。昔堅気な私だが、そろそろ電子マネーを導入してみるかと考えてしまう。


青木裕司世界史B講義の実況中継

青木裕司 語学春秋社

本を読んでいると当たり前のように世界史の知識を要求されることがしばしば。高校で世界史を学んでいるはずだが、アウストラロピテクス以降の知識が全く無いので再履修してみる。学び直し用の本もあるけど、本家本元の受験参考書にあたってみると意外と面白い。もちろんこれを一通り読んだだけで理解できるほど私の頭は上等ではない。ただ、本書を通読して以降は、読書中に世界史用語が出てきたら「なんか聞いたことあるっぽい……かも……」となる。人はこの状態を「学び」と呼ぶ。


心と他者

野矢茂樹 中公文庫

テレパシーなんてものが存在するとしよう。日本人で日本語しかわからない私が、中国語しか話せない中国人とテレパシーでつながった時、相互理解はできるだろうか? 私は出来ないんじゃないかなと思っていた。そういうことがこの本に書いてあってビビった。
本を読んでいて面白い瞬間の一つは、自分が朧気ながらに考えていたことがより美しい形で誰かに語られていた時である。私は天才ではない。私が考えることなど他の誰かも考えつくだろう。それを思い知らされる時に、読書してよかったと感じる。
さて、中国語話者と日本語話者はテレパシーで通じ合えないとして、日本語話者と日本語話者ならどうだろうか? という本である。結論を要約してしまうのはもったいない。実際に読んでみて、一緒に考えてみようじゃないか。


批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義

廣野由美子 中公新書

批評とはなんぞや。
フランケンシュタインといえば、キャラクターのイメージはなんとなく知ってるけど、原作小説は読んだことがない人がほとんどだろう。そんな小説フランケンシュタインについて、小説技法と批評理論の双方向から迫る。単に
こういった理論があると提示するだけではなく、実際に分析してくれるので非常にわかりやすい。というかあまりにも詳しすぎて、これほど深く物語を探索できている文章にはなかなか巡り会えない。批評理論についての本だが、これ自体が優れた批評でもある。
本書を読むにあたって予めフランケンシュタインを履修しておく必要はない。裸一貫で挑むべし。
ちなみに本書の原題は「新・小説神髄」だったらしい(あとがきより)。いやはや、恐れ入りました。


以上10冊。
ここで同人誌を上げるとか、週刊アスキーを紹介するとか、ライザのアトリエ2の攻略本を紹介するとか、「かまし」を入れるテクニックはいくつか考えられる。しかし、あまり奇をてらい過ぎるのも良くないだろうと思いとどまり、無難なラインナップになったと思う。

タイトルで教養だのなんだの書いたが、これはSEO対策サイトに対する意趣返し的な試みなわけで、別に私は教養人ではない。
では私は一体どういう人か? それはこの本のラインナップを見ればおわかりいただけただろう。読書まとめサイトあるある最後の一つ、胡散臭い自己紹介はこの記事全体が担っている。

胡散臭いついでに、もう一つの自己紹介がこちらの記事。ある作品の解釈記事だが、これらの本で学んだ知識を有機的につなげた。キーワードは「生命の定義・エロティシズム・生命の意義」冗長な文章だが、気になった方はご一読願う。

なるほど、読書をするとnoteが捗るようだ。これも読書の効果であるかもしれない。

画像はAmazonの商品ページから

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