思い出を破り捨てて、
気が向いたので、部屋の整理をした。
五月五日、ゴールデンウィーク最終日。
断捨離は好きだ。過去の自分と訣別したい思いが強いからかもしれない。"思い出"という言葉が嫌い。忘れられなくて苦しむことばかり。そんな言葉に囚われ続けている自分にも嫌気。
高校を卒業してから、一度も「高校生に戻りたいなぁ」と思ったことはない。未練や後悔がないからではないと思う。ただ、私には高校生という職業が向いていなかったとしか言えない。私の周りにいた子達は、みんなキラキラしていた。"華のJK" という言葉が彼女たちの周りに散らばっていた。目を逸らしたくなった。私と彼女たちの格差が生じていることは、誰がどう見ても分かることだった。
受験を控えてる子達が多い中、"高校生活最後"と称して、放課後を楽しむ子達が多かった。と思う。その中、私は夜遅くまで学校に残って、先生と話していた。真っ暗の廊下の中、歩いた。先生に「気をつけて帰るんだよ。」って言われたけど、顔がよく見えなかった。今にも雪が降り出しそうな、冬の夜を一人で歩いた。受験が怖くて、泣きそうになりながら。角を曲がると、私を励ましてくれるかのように一本の木にイルミネーションが輝いていた。
あーあ、結局、私も思い出に励まされているんだ。どこまでも矛盾している人間だな、私は。
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