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こういう手段もありますよ

はじめに

いじめ問題がよく話題になることが多いです。しかし、学校の隠ぺい体質が取り上げられるだけで、法律的な話をすることはあまり多くありません。いじめの被害者は泣き寝入りし、加害者は何事もなかったかのように過ごしていることが多いでしょう。学校や会社を相手取り、裁判を起こす話をよく耳にしますが、刑事裁判ではなく、民事裁判で争われるケースが大半です。実は学校や会社を刑事裁判で裁くことも可能です。さらに加害者も裁くことも可能です。詳しい手続きについては弁護士に相談となりますが、法学部出身ということもあり、どのような罪に該当し、どのような行動をすればいいかであれば、書くことができます。


裁判の種類

裁判には主に3種類あります。民事裁判、刑事裁判、行政裁判があります。
民事裁判は民法の内容について争い、訴訟手続きについては民事訴訟法に従います。よく聞くのは、損害賠償、契約違反、離婚裁判、遺産相続だと思います。個々人の争いごとを解決する裁判です。
それに対して、刑事裁判は刑法に違反したであろう者が本当に罪を犯しているか争う裁判です。訴訟手続きは刑事訴訟法に規定されています。有罪、無罪は刑事裁判です。刑事裁判では有罪の場合、刑の言い渡しがあります。ドラマで取り上げられる裁判はこちらです。検察が起訴をすれば、99.9%は有罪です。不起訴と検察が判断した場合は有罪にすることができないと諦めたと思うといいでしょう。
ちなみに行政裁判は交通違反の処分に対して不服の場合に起こす裁判で、ほとんど勝つことはありません。


いじめはどんな犯罪になるのか?

学校でのいじめ
学校でのいじめは暴力、金銭の要求、暴露を迫る脅迫、モノを壊す・奪うなどがあげられます。書いた順番から該当するであろう犯罪は、暴行罪もしくは傷害罪、恐喝罪、脅迫罪と名誉棄損罪、器物損壊罪・窃盗罪です。
まずは暴力について、説明していきます。暴力は殴る蹴るの物理的なものと、陰口のような精神的なものがあります。被害者がケガや病気がなければ、暴行罪です。精神病やケガを負わせた場合は傷害罪になります。被害者が自殺した場合は傷害致死罪もしくは殺人罪が適用されると考えられます。被害者に危害を加える意図があるため、故意的に行っていて、過失致死傷の罪を適用することは難しいと考えられます。過失はうっかりして意図していないという意味で、故意はしっかりと意思をもって行うという意味です。もちろん、故意のある犯罪行為の方が罪は重いです。ちなみにこのようなケースは集団でいじめを行うことが多いので、いじめに関与した人も共同正犯者(共犯者)として刑を受けることになります。過人の生死にかかわる犯罪は、ほとんどが罰金刑ではなく懲役刑です。ちなみに交通違反で払うお金は反則金で、罰金ではありません。罰金は前科としてカウントされます。反則金の場合は、前科持ちにはなりません。いじめているときに「死ね」や「殺してやる」ということを言うと、殺意が認められ、殺人罪の適用が考えられ、死に至らなくとも殺人未遂罪の適用も考えらます。ラインなどのチャットアプリを使って、ハブったり、いじめの計画をしている場合は悪質性を示す証拠になり、刑が重くなったり、罪が重くなったりします。ちなみにハブる行為は内容にもよりますが、相手を精神的に追い込む目的であれば、暴行罪や傷害罪の適用も考えられ、恥ずかしい内容をさらされてハブられた場合は名誉毀損罪になります。そこから、不登校になった場合は傷害罪が追加されます。
次に金銭の要求と暴露を迫る脅迫です。金銭の要求は恐喝罪の適用が考えられますが、被害者に暴力を振るってお金を要求する場合は恐喝罪と暴行罪もしくは傷害罪の適用も考えられます。暴行罪と傷害罪は相手にケガを負わせたかどうかになります。さらにあまりにも悪質な場合は強盗罪が適用されるかもしれませんが、多いケースではないと思われます。ちなみに強盗罪は殺人罪や放火の罪と同じ凶悪犯罪に分類されます。秘密の暴露を理由に相手に何かを迫るのは脅迫罪です。例えば、相手が好きな人をバラすぞと脅すことで脅迫罪が適用されます。さらに脅迫を無視して、秘密を暴露して、相手に大きな不利益が生じる場合は、名誉棄損罪が適用されます。例えば「Aくんって、Bちゃんのこと好きだって、キモっ」と言うと、これだけで名誉毀損罪になります。それが原因で不登校になれば、傷害罪の適用も考えられます。
最後にモノを壊す・奪うですが、モノを壊した場合は器物損壊罪になります。モノを奪った場合は窃盗罪になります。しかし、誰のものかわからずに、そのものを拾って自分のものとして使っている場合は、占有離脱物横領罪になりますが、大半の場合は「それ、俺のやし、返して」と言って返してもらえるはずです。それで返さない場合は、占有離脱物横領罪から窃盗罪になり、罪は重くなります。この場合はモノを見て所有権者が誰かわかるかがポイントになります。所有権者がわかる場合は窃盗罪になります。ちなみにモノを隠す行為も窃盗罪もしくは器物損壊罪が適用されます。その線引きは盗ったものを自分のものにしようかどうかの意思です。モノを盗って、「返せ」と要求されて返さずに、暴力を振るえば、強盗罪ですし、打ちどころが悪く、ケガをさせたり、死なせたりした場合は強盗傷害罪や強盗殺人罪が適用され、最高刑が死刑の罪になる可能性があります。


会社でのいじめ
上記のいじめに加えて、パワハラやアルハラなど様々あります。パワハラは侮辱罪や名誉毀損罪が適用されます。その事実を会社側が知りながら、対応しない場合は会社側に証拠隠滅罪や犯人蔵匿罪が適用されるか、もしくは名誉毀損罪の共犯になります。パワハラが行き過ぎて、うつ病になれば傷害罪で、自殺をすれば傷害致死罪が適用されます。ちなみに会社側がパワハラなどのハラスメント行為をしている人に対して注意をしても、注意を聞かない場合、ハラスメント行為を行った本人は悪質な意図をもって行っているとして罪が重くなります。酒を強要するアルハラは強要罪になり、酒を飲まないからといって暴力を振るった場合は強要罪に暴行罪もしくは傷害罪が追加されることになるでしょう。急性アルコール中毒になって、救急車を呼ばずに放置した場合は保護責任者遺棄罪、死なせた場合は遺棄等致死罪になります。会社の場合は、刑法だけでなく、労働基準法でも処罰されるため、このような問題がある場合は労働基準監督署への相談も可能です。もちろん警察や弁護士に相談することも可能です。会社が把握して、対処しても本人の改善が見られない場合は会社も処罰されます。もし、会社が動いていて、ハラスメント行為を行っている人が止めない場合は会社に相談して刑事告訴も視野に入れていることを伝えてみてください。


どういう対策をすればいいのか?

学校でのいじめの場合は学校に対して、いじめの調査依頼を依頼します。このときは口頭でも構いませんが、書類に回答期限と調査内容・調査結果の詳細までを記すように記載してください。学校の場合は未成年者の方が当事者であるため、署名に未成年者の名前と保護者の名前を書くようにしてください。未成年者の名前だけでは契約書として成立しません。「回答期限までに回答できない場合は暴行および傷害に関する証拠を隠滅したとして刑事告訴をします」と一言付け加えてください。刑事告訴をすると事件として扱われます。しかし、警察で刑事告訴状を受理してもらわなければ、事件として扱ってもらえませんし、告訴状の内容に虚偽があると偽証告訴罪になりますので、告訴状を作成するときは慎重に作成しましょう。受理してもらえる刑事告訴状を作成する場合は弁護士に相談することをお薦めします。被害届より刑事告訴のほうが受理されると早いと思われます。民事裁判は弁護士費用や裁判費用が発生するため、時間と手間がかかりますが、刑事告訴の場合は起訴されれば、刑事裁判とおなじになるため、費用面の負担は民事裁判に比べると小さいと思います。
会社の場合は、未成年でない場合は会社に調査依頼の書類も本人の名前で提出します。手続きとしては学校の場合と同様です。さらに上記の文言に追加するとすれば、「改善が見られない場合は、労働基準監督署にこの事実を伝えます」と付け加えると会社も必死になります。うつ病のような精神病の場合は、医師から診断書をもらい、原因が会社にある旨を書いてもらってください。診断書の虚偽記載も犯罪ですが、精神病に関してはカウンセリングでの対応になるため、患者と話から診断書を作成することが多いです。これで会社側にうつ病の原因があるとわかり、傷害罪の適用がしやすくなります。よく記録を残すと言いますが、ボイスレコーダーがベストですが、メモや家で書いている日記も証拠として扱うこともできます。さらに友達や家族に送ったラインやメールの内容も証拠になるので、そのような証拠を残してください。これらの証拠は誰にも加害者にばれない場所に保管してください。
会社は労働基準監督署が非常に怖く、営業停止など重い処分を下すことができます。ブラック企業は世の中にはびこっていますが、労働基準監督署が動くとどの企業も震え上がります。ブラック企業が取り締まられていない理由は労働基準監督署の職員が異常なまでに少ないからです。適度な人員がいれば、労働基準法違反ももっと厳しく取り締まれます。


最後に

いじめ問題や会社の人間関係で苦しんでいる方は非常に多いはずです。会社に迷惑かけたくないといった気持ちから本人が我慢するケースもあります。しかし、被害者が我慢しなければならない生き続ける意味がありません。犯罪を放置したいとは思いません。犯罪者が目の前にいて裁かれることなく生きているのは非常に不思議なことです。しっかりと裁かれる必要があると思います。自分を守る手段として法律の知識を入れておくだけで、泣き寝入りをせずに済みます。さらに加害者に適切な処罰が下されます。民事で争う場合は非常にしんどいですが、刑事裁判や労働問題として扱い場合は民事に比べてハードルが少し低くなります。一人で困っている人がいれば、これらのことを教えて、手伝ってあげてください。このことを知るだけ救われる人が必ずいます。参考になれば幸いです。もしかしたら、これはまずいのではと思う場合は、一度、警察や弁護士や労働基準監督署に相談をしてみてください。

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