#7 好き嫌いと善悪の話は論点が違う。

【声優 佐原誠って?】

●アルビン!&しまっピーズ「サイモン」役
●カードファイト!! ヴァンガードoverDress「コイデ」役
●ぷよぷよテトリス2「スクエアス」役
●アサシンクリードヴァルハラ「オズワルド」役
●CallofDuty:ModernWarfare:Warzone「アズール」役
●ロシャオヘイ戦記「冠萱」役
●真心が届く「チェユンヒョク」役
等のボイスを担当しております。
宜しくお願いいたします!

*この動画のトークを「だいたいの形」で書き起こしました。
*動画を観る時間取れないよー!という超絶お忙しい方向け。
*あるいはテロップがわりとしてどうぞ。

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どうも、佐原です。
【声優 佐原誠のサハラジ!!】にお越しくださいましてありがとうございます!
ではさっそくサハラジオ、始めて行きますよ、というわけで今回のテーマはこちら

「好き嫌いと善悪の話は論点が違う。」

はい、続く事今回7回目です!!いつも聴いて下さってありがとうございます!!!あまりに長く続きすぎて佐原さん内心焦ってます!!どうしよう、ごめんなさい!!!なのでとっとと話し始めますね!!

あ、今回は7回目という事は、1回目~6回目もあるという事です。よろしければそちらもぜひ!お願いいたしますー---!!!

という事でですね、前回の最後には「どのような事情があれど、力による一方的な現状変更は認められない」というお話をしました。何故ならば「力による一方的な現状変更」を肯定してしまうと、秩序が保てないからです。

この「力による一方的な現状変更」は、言い換えると過去6回で度々出てきた「力押し一辺倒な叱り」になります。この「力押し一辺倒な叱り」をする人の中には、とある重大な誤解をしている方がいらっしゃるのではないか、というのが今回のお話です。

それが何かというと「自分が好きなもの=善」「自分が嫌いなもの=悪」。こういう誤解をしている人が一定数いるのではないかと。

例えば……佐原さんはお酒が好きなんですね。そんな佐原さんが上記の理屈でそれを語ると「僕はお酒が好きだ。であるから飲酒は善行である」になるわけですが……これって理屈として通ってると思います?? ちょっと…というかだいぶ無理がある感じする。

そもそもアルコールなんてものは体にとってシンプルに「毒」なので、毒を体内に入れる飲酒という行為が善行なわけがない。「蒸留酒は大丈夫」だとか「少量のお酒はむしろ健康にいい」とか色々諸説出回っておりますが、はたして本当にそうなのでしょうかと。

というのも、アルコールは脳に強い影響を与える物質で、特に海馬や小脳、前頭葉に強い影響を与えると言われておるわけでしてね。

●海馬は、短期記憶をつかさどる場所。飲酒後に記憶をなくすタイプの人は、ここに強い影響が出てるということです。
●小脳は、運動をつかさどる場所。飲酒して千鳥足になる人は、小脳に強くアルコールの影響が出ているという事です。飲酒運転がダメとされる根拠もこれ。
●前頭葉は、理性や思考力や社会性をつかさどる場所。飲酒で人格が変わる人は、ここに強いアルコールの影響が出てると言う事です。

ここでちょっと話が脱線するのですが…。近年に行われたとある研究でとても面白い研究があったのでご紹介します。どういう研究かと言いますと「アルコールとモラルの関係性」について調べた研究でして…ちなみにモラルというのは日本語で言うと「道徳」の事です。

結論から申しますと「アルコールはモラルには影響しない」という研究結果が出たそうなんですね。つまりどういう事かというと「しらふだと善人な人が、お酒飲んで酔っ払った事により悪人になる事はない」そういう事です。

アルコールが前頭葉に影響を与えるというのは先ほど述べた通りですが、あくまで「思考力」や「理性」が鈍るだけ、つまり「ストッパー」が弱くなるだけなんです。アルコールは、その人がもともと持っている【倫理観】や【価値観】にはなんら影響を及ぼさない、そういうお話です。

「ストッパーが弱くなる事は、価値観が変わる事ではない」。これはつまり「ストッパーが弱まった時に出てくる人格というのがその人の本来の性格である」そういう事を立証した研究になります。

…なんて恐ろしい研究なのでしょう…!!今まで「お酒を言い訳にして許してもらっていた人たち」が真っ青になる研究結果です(
なので「お酒さえ飲まなければいい人なのに」という人が近くにいたとしたら…………うん、これ以上は言いません(

すみません話が大幅に脱線しましたが…とにかくですね、このように脳に強い影響を与える飲酒という行為が善行なわけがない気がしてきますよね、理論上(

でも佐原さんはお酒が好きなので、何だかんだで飲んでしまう。健康の事を考えると飲まない方がいいのに、それでも飲んでしまう。いやむしろ、体に悪いんだよなぁなんて思えば思うほど、ここぞという時に飲むお酒がおいしかったりしたりもして。このように「やっちゃいけないと認識すればするほどやりたくなったり、そういう行為ほど楽しく感じちゃう事」を心理学では「カリギュラ効果」といいます。

まぁそんなわけで、佐原さん的に飲酒は「大好きなんだけど善行ではないよね」の代表例、「自分が好きと感じる≠善」そういうお話でした。

また、佐原さんは「豆腐よう」が苦手なんです。豆腐ようって何かというと、沖縄発祥の発酵食品です。お酒好きにはたまらない「ツウなおつまみ」だそうですが、酒飲みのはずの佐原さんはあの独特なお味がどうにも苦手で、ずいぶん前に1度食べたっきり食べておりません。基本的に何でもおいしそうにむしゃむしゃ食べる佐原さんですが、唯一といっていいくらい苦手なものが、この豆腐ようなわけですね。

これを先ほどの理屈に当てはめると「佐原さんは豆腐ようが苦手=豆腐ようは悪」となる。うん、こんなバカげた話はないですよね(
言うまでもなく豆腐ように罪などあるはずもなく、シンプルに「佐原さんの味覚にそれが合わなかった」というマッチングの話。つまり個人的な趣味嗜好の話であるわけです。

自分が苦手だからって「豆腐ようはこの世から抹消すべきだ」とか言って工場を破壊したり、食品製造業者さんに「何でこんなものをつくるんだ!」と電話かけたりメールしたりしたとしたら、それは説明不要なほどにどう見てもおかしい。
「世の中は佐原さんの趣味嗜好をベースに作られてるわけじゃないぞ」って話です。そんなわけで、「自分が苦手≠悪である」というお話でした。

佐原さんは今「お酒」と「豆腐よう」を例題に出しましたけど、これはほかの何を当てはめても同じです。「好きか嫌いか」と「善か悪か」はそもそも論点が違う事にはかわりはないんです。

あ、ちなみに豆腐ようって癖になるとほんと最高のおつまみらしいので、もしこの話を聞いて興味をもたれた酒飲みの方がいらしたら、是非食べてみてください。佐原さんも「今ならいけるかもしれない」って今思ったので、今度みつけたら買って食べてみようと思います。あの頃から少しは大人になれたかしら…わたし(

…とにかくですね、このように、「好き=善」「嫌い=悪」などと決めつけるのは大変おかしな話なのですが、まこと不思議な事に、ごく自然にこのような考えをもってらっしゃる方が、確かに一定数存在する感じがするんですね。

論点が違うものを一緒にしてしまうと、先に述べた佐原さんの例のように、おかしいっちゃおかしいが「笑えない方のおかしい感じ」になるわけです。ですからまずはエビデンスというものが何なのかをしっかり理解し、使いこなせるようになるまで、エビデンスベースの思考法をしみ込ませることが大切だと思います。

今回佐原さんの、わかりやすいんだかそうでないんだかよくわからない例え話をして「自分が好き≠善」「自分が嫌い≠悪」としましたが…「いやいやそれ、あくまで佐原さんの感覚の話でしょ?根拠はあるの?」って思わなくもないですよね。これまで一応それっぽいエビデンスをまじえて話してきたのに、突然どうしちゃったのよと(

実はこの話、脳科学者の中野信子先生も同じことをおっしゃっているんですね。

中野先生は、ご自身の著書「人は、なぜ他人を許せないのか?」の中で、「正義中毒」という言葉を使っております。詳しくはぜひそちらの本を読んでいただきたいのですが……ざっくりと説明いたしますと。

「人間は、正義の制裁を加えると脳の快楽中枢が刺激されて、快楽物質であるドーパミンが出る。この快楽は強烈で、一度ハマると抜け出すのが容易ではないほど強力である。そのため、正義の制裁を加えてドーパミンを出したいがために、攻撃する対象を探すようになってしまう。この状態は、認知構造がいわゆる依存症と同じであるため、いわば正義中毒とも呼べる状態である。」

とした上で…

「この正義中毒に陥ると、自分と異なるモノをすべて悪だと捉えるようになってしまう」と、そう説明されているんですね。

ここのくだりとかめっちゃ面白いので、ぜひ本を購入して読んでみてほしい……!!難しい題材を取り扱っているわりに、説明が物凄く丁寧でわかりやすくておすすめです!!

でですね…

この説明は「自分と異なるモノは悪」という話のみですが、これは転じて、このように考える人は「自分とひとしいモノは善である」と考えていると言える、と佐原さんは考えます。

(専門家である)中野先生の著書に書かれている事が、「自分が好きなこと=善・自分が嫌いな事=悪」と考えている人が存在する証明であり、また「そのような価値観はいびつであると言える根拠」にもなっている、そういうお話でした。

これに加えて、この中野先生のお話は、これまでの6回で出てきた「とある事」の証明にもなっております。何かというと「叱る依存」です。

1回目の時からたびたび出てきておりますこの「叱る依存」という言葉。これは心理士・村中直人先生が作られた造語…なのかな?たぶん造語なのですが、そもそも何故「叱る」が「依存」になるのか、この問いに実はまだ答えておりませんでした。

この問いの答えの一つは、この脳科学者・中野信子先生が仰っている事があげられると思います。それは「叱る」の中には「正義の制裁的な側面が含まれている」から。だって、少なからず自分の気持ちや理屈に正当性を感じていなければ、叱るなんてそもそもできないからです。そしてその結果は先ほど述べた通り。

➡【人間は、正義の制裁を加えると脳の快楽中枢が刺激されて、快楽物質であるドーパミンが出る。この快楽は強烈で、一度ハマると抜け出すのが容易ではないほど強力である。そのため、正義の制裁を加えてドーパミンを出したいがために、攻撃する対象を探すようになってしまう。この状態は、認知構造がいわゆる依存症と同じであるため、いわば正義中毒とも呼べる状態である。】

気が付けば依存症の出来上がりと、そういう事です。

そうならないように、エビデンスと言うものを理解して、使えるようになることが大切なのではないか、佐原さんはそう思うわけですね。

そして、エビデンスに基づいて考えるという事がどういう事かわかってくると……「怒ったり叱ったりする必要がない」事がわかってきます。なんなら、相手に受け取ってもらえるようにしっかり丁寧に、真摯に誠実に、順を追ってエビデンスに基づいた説明をしようとすると、怒りの感情が「邪魔」だとすら感じます。

何故ならばエビデンスベースで話をするという事は、論理的に話をするという事であり、論理的に話をするという事は、前頭葉を酷使するという事だからです。この「前頭葉を使って論理的な思考をすること」と「怒る事」と言うのは、相性が最悪なんですね。

何故かと言うと……

この先のお話も長くなりそうなので、次回にまわします!!!
今回も最後まで聴いて下さってありがとうございました!!!
それでは、またねー!



【了】



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