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文学賞に落選。心機一転再スタートを切る① チェック(検証)&アクション(改善)を繰り返す

情報サイト「プレジデントオンライン」に、日本で最も権威のある美術展の日展と、上下関係が厳しく、金銭体質と言われている書道界の実態を追ったレポートを書きました。お時間のあるときに読んでみてください。

「週刊文春」の取材を受け、宝塚歌劇団を傘下に持つ阪急阪神ホールディングスのコーポレートガバナンス(企業統治)についてコメントさせていただきました(2024年1月4・11日号)。タイトルは「宝塚『闇の金』」です。お時間のあるときに読んでみてください。

「プレジデントオンライン」という総合情報サイトで、宝塚歌劇団と阪急阪神ホールディングスが改革すべきこと、急務の問題について記事(第2弾)を書かせていただきました。お時間のあるときに読んでみてください。

「プレジデントオンライン」という総合情報サイトで、女性の社外取締役や女性のアナウンサー、アスリート、タレントとの関わりについて記事を書かせていただきました。お時間のあるときに読んでみてください。

「プレジデントオンライン」という総合情報サイトで、宝塚歌劇団の劇団員の死や宝塚歌劇団の記者会見、阪急阪神ホールディングスの会長や社長の減給処分について記事を書かせていただきました。お時間のあるときに読んでみてください。

エンターテインメント(ノンジャンル)の文学賞に応募する際に、何度も推敲し、文章も圧縮したのだが、ビギナーズラックは訪れることなく、選に漏れてしまった。そう簡単に事が運ばない、と分かっていたので悲嘆に暮れることはなかった。

落選後も、読み返しながら加筆して、小説の最後まで見直したら、いったん執筆を止めて原稿を寝かせた。意欲がみなぎるのを待って、再び冒頭から原稿をチェックする。

別の作品を書いて、再度文学賞に挑もうという考えはなく、現在の小説をいかに磨き上げるかに集中した。


小説講座でダメ出しを受けよう

「こうなると、小説は完成」という判断を、未熟者の私が下すことは難しく、小説講座を頼ることにした。「すでに書いている小説をチェック・校正して、アドバイスをする」コースを選択し、小説のプロ、添削のプロの意見を聞こうと考えたのだ。

原稿をメールで送り、数週間して赤字が入った原稿が戻ってきた。

文学賞に応募するときは、指定通り、縦書きのレイアウトにして添付ファイルで送ったのだが、講座への応募では、いつも利用している横書きで、A4判の用紙いっぱいに文字が詰まったファイルを送っていた。

小説のプロからの最初のアドバイスは「縦書きにして、文字の大きさ、行間や字間を読みやすい形にして書いたほうがいい」「誉め言葉に有頂天にならず、辛口の批評にめげずに、書き続けてください」というものだった。

何十年も横書きで原稿を書いてきたので、縦書きでは書きにくいと思い込んでいた。だが、縦書きに慣れると、小説の場合、視線が上下に動き、違和感なく執筆できると感じた。

そして、講師の辛口の指摘に沿って、再度書き直した。「展開がゆっくりし過ぎて、読者が、あるいは文学賞の下読みのスタッフが投げ出してしまう」「早く事件を起こせ」という忠告には大手術が必要だった。

プリントアウトした原稿用紙に、赤字でさまざまなアドバイスが書き添えられている。その中で、特に参考になったのが、「ここまで読んでの感想」だった。

詳細は、別紙の講評で解説してあり、原稿と講評を付き合わせながら読んでいくスタイルとなっている。

「読者はこの時点で、こう感じている」「主人公の考えが上手く読者に伝わっていない」「情報や知識を詰め込み過ぎていて、読者が疲れてしまっている」といった事実に気付かされ、「この小説で何を訴えたいのか。座標軸をしっかり持って、その一点に向かって書き進めるように」とハッパを掛けられた。

今もアドバイスに従って推敲を進めている。その一方で、作品をどのように読者に届けるか、模索を続けている。読者に小説を読んでもらう手段は格段に増えてきた。

1億総表現者時代が到来した

以前、誰もが表現者になれる世の中が到来したというテーマで取材し、特集を作ったことがある。自主制作の映画で100万人を超える観客を動員し、小説、動画、音楽を配信し、自費出版で手軽に本を出せる「1億総表現者時代が始まっている」という内容だった。

ケータイ小説が話題を呼び、電子書籍の市場が急拡大していた。その特集の後も、小説投稿サイトが次々と誕生している。

そして、「どの文学賞を受賞すると作家になれるの?④ 賞金に幅があるライトノベルの文学賞」で紹介したように、ライトノベル・新文芸の文学賞が続々と新設される事態になった。

小説を公表する場として、小説投稿サイトの現状がどうなっているのか、新たに調べることにした。小説投稿サイトが産声を上げた前後に、ケータイ小説が注目され、出版界に大きな変革をもたらしていた。

何がどう変わったのか、当時の状況を振り返っておこう。

出版界を席巻したケータイ小説

ケータイ小説のパイオニアは、個人サイト「ザブン」上で2000年10月から『Deep Love』という作品を公開し始めたYoshiだ。

女子高生を中心に口コミで話題になり、Yoshiは自費出版で書籍版を出して10万部を売り上げた。さらに2002年にはスターツ出版から商業出版として単行本が上梓され、シリーズ累計で300万部を超える大ヒットとなった。

これに続いたのが、簡単に小説を公開できるウェブサイトに2002年から書いていたChacoである。2005年に『天使がくれたもの』がスターツ出版から発行され、映画化もされた。

2005年から執筆を始めた美嘉のケータイ小説『恋空』は、2006年10月にスターツ出版で書籍化されている。

ケータイ小説サイトに2006年に登場し、翌2007年、ゴマブックスから単行本が発売されたのが、メイが書いた恋愛小説『赤い糸』だ。

2006年発売の美嘉の『恋空』は1か月で100万部を売り上げ、2007年発売のメイの『赤い糸』は発売1週間で100万部を突破した。

ケータイ小説を投稿できるウェブサイトの運営会社、「魔法のiらんど」の草野亜紀夫編集部長(当時)はケータイ小説の登場について、以下のように語っていた。

「文学の世界に地殻変動が起きている。ひょっとすると、平安時代に女流文学が生まれて以来の革命かもしれません」

それを裏付けるかのように、2007年の単行本(文芸書)のベストセラートップ10のうち、5冊がケータイ小説だった。順位、ケータイ小説のタイトル、著者、出版社を以下に示した(トーハンの調査)。

単行本(文芸書)ベストセラーの上位を独占


1位 恋空 切ナイ恋物語  美嘉     スターツ出版
2位 赤い糸        メイ     ゴマブックス
3位 君空         美嘉     スターツ出版
5位 もしもキミが。    りん      ゴマブックス
7位 純愛         稲森遥香   スターツ出版

誰もが作品をサイト上に無料で掲載でき、手軽に発表する場を持てるようになった。読みたい人は携帯電話さえあれば、好きな時にどんな場所でも、無料で小説が読める時代になった。

2003年からは通信料金の定額制が定着し、反応や感想をサイトに書き込む読者が増えた。そうした声が書き手にフィードバックされて、ストーリーを変えていく。双方向性のコミュニケーションを上手く活用し、共感を呼ぶ作品が産み出された。

ケータイ小説が出版業界に革命を起こす

ケータイ小説の作家は無名の書き手が多かった。匿名の著者が生々しい場面、むき出しの感情を綴っていて、読者は自分の体験を重ね合わせたり、主人公を身近に感じて物語に引き込まれていく。

魔法のiらんどが運営する「魔法の図書館」からケータイ小説のヒット作が次々と生まれた。それをスターツ出版、ゴマブックスなどが書籍化し、双葉社がコミックスを出すというパターンができ上がっていた。2007年はケータイ小説の絶頂期だった。

ベストセラーが相次ぐ一方で、新たな動きが始まっていた。「表現力に乏しく、描写が稚拙である」「扱っているテーマは、売春、レイプ、妊娠、薬物、不治の病、自殺、真実の愛が多く、パターンが似ている」といった批判もあり、ケータイ小説は次第に勢いを失っていく。(敬称略)


アマゾンのキンドル出版で、2023年8月、ペーパーバックと電子書籍の小説が発売されました。「権力は腐敗する」「権力の横暴や不正を許さない」をテーマにしており、お時間のある方はお読みください。
『黒い糸とマンティスの斧』 前原進之介著

2023年9月25日発売の「週刊現代」で『黒い糸とマンティスの斧』が紹介され、9月27日にネットで配信されました。「現代ビジネス 黒い糸とマンティスの斧」で検索すると、記事が出てきます。時間があるときにお読みいただければ幸いです。


この連載記事は、以下のような流れになっています。
1 小説を書きたいと思い立った「いきさつ」
2 どうしたら小説が書けるようになるの?
3 小説を上手く書くために小説講座を探そう 
4 どの文学賞を受賞すると作家になれるの?
5 文学賞に落選。心機一転再スタートを切る



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