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小説を書きたいと思い立った「いきさつ」③ 不満のない記者生活の中で直面した見過ごせない「事件」

情報サイト「プレジデントオンライン」に、日本で最も権威のある美術展の日展と、上下関係が厳しく、金銭体質と言われている書道界の実態を追ったレポートを書きました。お時間のあるときに読んでみてください。

「週刊文春」の取材を受け、宝塚歌劇団を傘下に持つ阪急阪神ホールディングスのコーポレートガバナンス(企業統治)についてコメントさせていただきました(2024年1月4・11日号)。タイトルは「宝塚『闇の金』」です。お時間のあるときに読んでみてください。

「プレジデントオンライン」という総合情報サイトで、宝塚歌劇団と阪急阪神ホールディングスが改革すべきこと、急務の問題について記事(第2弾)を書かせていただきました。お時間のあるときに読んでみてください。

「プレジデントオンライン」という総合情報サイトで、女性の社外取締役や女性のアナウンサー、アスリート、タレントとの関わりについて記事を書かせていただきました。お時間のあるときに読んでみてください。

「プレジデントオンライン」という総合情報サイトで、宝塚歌劇団の劇団員の死や宝塚歌劇団の記者会見、阪急阪神ホールディングスの会長や社長の減給処分について記事を書かせていお時間のあるときに読んでみてください。

不満のない記者生活を送っていた。その中で直面した見過ごせない「事件」がある。ここからは出版社のD社での話になる。

経済誌や情報誌などの雑誌を発行し、経営書、実用書、エッセイなどの書籍を刊行するD社に入社した私は、最初の2年を宣伝部で過ごした。その後、週刊D編集部に異動になった。

業界を担当する記者になり、自動車とゴム業界を皮切りに、商社、銀行、流通、建設、不動産、鉄鋼、金属、重工業、電機、食品、サービス、エンターテインメント、その他製造業などの産業に記者として接することになった。

業界を代表する企業を数多く取材できたのは、いま思えばラッキーなことである。

編集体制にも恵まれた。編集会議で通りさえすれば、自由に特集を企画できた。管理職ではない平の記者であった私が、特集のまとめ役、アンカーになることもあった。

業界を中心にした特集では「急拡大したそごうの凋落」「建設・不動産会社が抱える不良不動産の実態」「絶体絶命のゼネコン業界」「激変するエンターテインメントビジネス」など、時勢に応じたテーマで企画を進めた。「まるごと一冊 営業入門」「企業イメージを上げた会社・下げた会社」など、ビジネスマンのノウハウ物や業界横断的な特集を組んだこともある。

これらの企画には、業界の動向をヴィヴィッドに捉えようとしながらも、事実の選択や問題認識をどう持つか、主観が入ることも辞さない歴史家の視点を意識していたように思う。 

「自分には関わりのない」と、放置できない


 
記者をワクワクさせるのは、統計資料が少ない、産声を上げたような業界の取材や、新しい潮流、知られていない社会問題を追いかけているときだ。速報性が求められるテレビや新聞と違って、雑誌では取材対象を新たな切り口、視点で俯瞰的・多面的に捉え、深層を探るものでなければいけない。 

新聞記者は短い記事を書くケースが多いが、雑誌記者は通常の企業記事なら2~4ページ、一つの企業にフォーカスした特集であれば6~8ページほどの記事を書く。

数名の特集チームを組み20ページを超える分量になったり、50ページほどの読み応えのある大型特集を作ることもある。

もともと、私は新聞社の社会部のような感覚で、世の中を捉えたいという志向が強かったが、雑誌記者も悪くない。身近な現象や生活の中で感じる異変に着目して掘り下げられるし、テーマも幅広いからだ。

経済誌としての視点を意識しながら、これまで手を付けてこなかったテーマにこだわった。「1億総表現者時代がやって来た」「役に立つ心理学」「美術・アートビジネスを解剖する」「新型インフルエンザがもたらす経済・社会への脅威」「危ない婚活ブーム・婚活ビジネス」など、好奇心がおもむくままの取材姿勢で仕事に取り組んだ。

また、週刊Dの経済小説やコラムの連載を通じて、作家やコラムニストと接したことも、いい経験であった。

このように仕事の面では、不満のない記者人生を送ってきたが、あるとき「事件」が起こる。当時、D社の社内では不公正な人事、不正の隠蔽、権力の暴走、恐怖とアメによる社員支配が起きていた。「どうなっているのか」と、首をかしげるほどの不正義と不条理が横行していたのだ。

「自分には関わりのないこと」と黙ってやり過ごし、仕事に没頭することもできた。だが、事件、問題が続くので、このまま放置していていいのかという葛藤があった。「おかしいことにもの申す、真っ当な会社にしたい」。動機はただそれだけだった。

「どんなに不利益を被ろうとも、孤立しようとも、見過ごしてはいけない」と心に決めた。立ち上がるきっかけとなったのは、ある取締役の妻である管理職の出向に関する不公正な人事だった。

この出向人事にも関わる役員人事が、職場の会議で報告された。人事の問題について質問すると、「微妙な問題なので、人事担当のE常務に直接話を聞いてほしい」と、会議を主催していた取締役は多くを語ろうとしなかった。

質問した内容は「現在マーケティング局長である取締役Fさんが雑誌編集局に異動すると、Fさんの妻で、出向中の副編集長Gさんが職場に復帰したとき、取締役Fさんと、副編集長Gさんが同一職場で働くことになります。人事考課の評価者と被評価者が夫婦である場合、問題は起きないのでしょうか」というものだった。

直接、人事担当役員に聞くようにと言われたので、すぐにE常務に連絡を取り、面会する日時を決めた。まとめていた質問書を事前にメールで送付し、面談の日を迎えることになった。(敬称略)

アマゾンのキンドル出版で、2023年8月、ペーパーバックと電子書籍の小説が発売されました。「権力は腐敗する」「権力の横暴や不正を許さない」をテーマにしており、お時間のある方はお読みください。
『黒い糸とマンティスの斧』 前原進之介

2023年9月25日発売の「週刊現代」で『黒い糸とマンティスの斧』が紹介され、9月27日にネットで配信されました。「現代ビジネス 黒い糸とマンティスの斧」で検索すると、記事が出てきます。時間があるときにお読みいただければ幸いです。



 


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