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「学問のすすめ」を読んで

おそらくほとんどの日本人が知っているであろう「福沢諭吉」の書いたこれまたほとんどの日本人が知っているのではないだろうか「学問のすすめ」を最近読んだのでそれについての感想などなどを書いていこうかと思う。

知っている方もいるだろうが「学問のすすめ」は1872年に初編が出版され1876年に17編出版を以って一応の完成ということで初編が出版されてもうすでに150年近く経っている。というにも関わらずに今でも多くの人に読まれていて、現代語訳もいくつも出されている名著。
ただ、なんとなく私のイメージとして今の20,30代の人で読んだことがある人はこれだけ知られているにも関わらず結構少ないのではないかなと。
私も実際たまたま本屋に寄ってふと目に付き、「そう思えば読んだことなかったし一回読んでみようかなー」とまあちょっとした好奇心で手に取ったみたいな感じで、正直その時点では「まあ、タイトル通りたくさんのことを学びなさいとか知識が増えるとこんないいことがあるよー」とかこの本に対してその程度の想像をしていたわけだけれど、いざ読んでみると「学問のすすめ」がどうしてこれだけの間人々に読まれているのか理解し、同時にこれは誰もが少しでも若いうちに一度読んでおくべき本だと感じ、自分の中に新鮮な感想が残っているうちにどこかにそれを残しておかないとという気持ちと、私が書いた文章を読んで一人の人にでも「学問のすすめ」を読んでみようかと思ってもらえればと思い今それを綴っている。


まず始めに私が数章読み進めていく中で思ったことは「福沢諭吉がこの頃に感じていたことと、現状はそこまで変化していないのではないか?」ということだった。私は以前、鈴木博毅氏著「超入門 失敗の本質」という1984年に出版された「失敗の本質」という本を、著者の解釈によってわかりやすく解説した一冊(「失敗の本質」は難解で読みにくい部分があるらしい)を読んだのだがその時にも同じような感覚を抱いたのを思い出した。
確かに「学問のすすめ」が書かれた当時よりも日本は豊かにはなっただろうし、文明の発展によりかなり便利な世の中になったとは思う。それに当時と比べ職業の数も相当増えただろう。当然プログラマーやユーチューバーなどの職業は存在しない。
ただ、この本に書かれている「官」と「民」の関係性であったり、自分の状況を憂う不平家の話であったり、読み進めていくとどんどんこれは今の日本にも存在することで、同時に自分も気をつけなければいつかそういう風になってしまうのではないか、そもそも今がそういう状態なのではないだろうかと読んでいて冷や汗を書く内容だった。


個人的に私は「物に支配される人々」について書かれている部分が印象的で

「物が人を使ってものを求めさせ、人間はものの支配を受けてその奴隷になっている」


という一文がある。これは多くの人が自分自身がそうではないにしろ心当たりがあるのではないだろうか。
自分の身の回りの物に対しその人自身が価値を見出しているのではなく周囲がどう思うのかが基準となり、人が身につけているものを羨み、また別の、他人の基準に合わせ新しいものを手にいれる。物の奴隷として自分の価値を誇張している気になっているだけでそこに本質的な価値は存在せず基準すらない、そして一番私が問題視するのはそのことに本人たちは全く気づいておらず、さらに言えばそのことを得意げにすらしている人があるということだと思う。


確かに人の欲求を満たすものとして所有物を増やし、世間的な承認を得るという行為は容易で強い影響力を持ち、癖になるものでもあるだろう。私もそのことに関しては一時期周りの人よりも良い服を着て、良い家に住み、良い車に乗ることを夢見ている時期があったのでよく理解できる。
本人がそれで満足なのであればそれでいいじゃないかと意見ももちろんあるだろうしそれを否定する権利を当然私は持ち合わせていない。
ただ、やはり私は自分の生き方とし、他人が決めた物の価値、基準ではなく自分自身の考え方で取捨選択したいと思うものです。


これで最後なのですが、「学問のすすめ」は多くの人に認知され、同時に読まれてきたのでしょう、が、私の感覚があまりにもずれていなければ、前述しましたがその当時と今とでは一人の人間を比べた時にあまり変わっていないのではないかと思います。そのことは結構な大きい問題なのではないか、と思うばかりです。
この本にも大事なのはどのような行動をするかだというようなことが書かれていますが、そういった意味では多くの人は結果的にそれといった行動はしていないという捉え方ができるのではないかと。人は平等だと自信を持って全ての人が言える世の中なら良いのでしょうが、残念ながら全ての意味でこの世の人間皆が平等だなんてことはこれからもあり得ないのではないのではないか。ならば、何かしらのリスクを抱えながらでも個々人が考え行動するどんな立場の人でもそれが重要なことなのではないだろうか。
ここで大切なのは各々が自分の中に基準を持ち、何にしろ志を持ち、それに向け行動する。それに尽きる乃絵派とこの本を読んで思いました。


※よく記事の内容とは全く関係のない写真を載せていますが、あれらはただの趣味で基本的に関係はありません。
写真はインスタグラムであげているので良かったら覗いてみてください。
https://www.instagram.com/_t0909_




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