研究「潜在看護師の復職支援」 6.看護師のキャリアインタビュー 結果その2

6.看護師のキャリアインタビュー
​6-3.結果
6-3-3.潜在看護師が復職に至るまでにクリアしなければならない項目

一度仕事を辞めた看護師が復職をする際にクリアしなければならない項目は、大きく3つあることが明らかになった。(図17)


第一のステップは、「困難感の払拭」である。
実際には、『医療の知識が残っているか不安(D)、(F)、(H)』、
『採血などの技術が残っているか不安(C)、(D)、(F)、(H)』という発言があった。
多かれ少なかれ感じている、この困難感を乗り越えると、次は第2ステップ「復職のための最低条件」である。 

幼い子どもの育児をしている潜在看護師が多いため、彼女たちは育児との両立がしやすい職場を求めている。 

復職の際に最低条件として挙げており、決め手になったこととして、
実際には、『夜勤がなかった(A)、(B)、(C)、(E)、(F)』、『託児所があった(A)、(B)、(C)』、
『保育園の送り迎えもしやすい家のすぐ近く(A)、(C)、(F)』が挙げられた。
これらの条件が揃っている職場は探せばあるものの、その情報を得た方法については、『同じマンションの人にたまたま聞いて(A)』、
『新聞の折り込みでたまたま見つけて(B)、(E)』、『歩いていたら、たまたま見つけて(B)』という発言から、
「偶然、条件に合う場所の情報を得ている」ことが明らかとなった。
こうして、希望の職場を見つけることができると、最後は第3ステップ「周囲の理解」である。


看護師として再スタートすることに対して不安を払拭し、希望の職場を見つけたとしても、家族や上司、同僚の理解がないと働くことは難しい。

実際には、『就職先に同じ境遇の人(子持ち)が多いと、仕事と育児の両立に理解があるから働きやすい(A)、
(C)、(F)』、『上司が子育てとの両立に理解があった(C)、(F)』、『家族に理解があった(F)、(G)』、
『お互い様。私の時もそうだったからってみんなで支える。
でも、若い人だと(育児を)まだ経験していないから理解できないみたい(G)』という発言があった。


例えば、子どもが急に熱を出してしまった時のことを、理解の有無別に考えると、3つのパターンに分けられる。 

第1パターン「家族に理解がある場合」では、夫が仕事を休んで、子どもの面倒を見る、あるいは近くに自分の親や義理の親が住んでおり、協力的であるということが考えられる。

第2パターン「職場に理解がある場合」では、同僚たちが仕事をカバーしてくれ、自分自身が仕事を休み、子どもの面倒を見ることができる。

第3パターン「家族、職場ともに理解がない場合」では、仕事を休むこともできず、子どもの面倒を見ることのできる人も居ないという状況になってしまう。
これでは、普段は子どもを託児所などに預けられたとしても、子どもが病気になった際に対応できる人がいなくなってしまうため、復職を思い留まってしまうという結果になる。

そのため、家族または職場、あるいはその両方から、「家庭を持ちながら仕事をすること」に対して理解があると、
復職に踏み切ることができるということが明らかになった。

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(図17:潜在看護師が復職に至るまでにクリアしなければならない項目)

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