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2分で読める子育てエッセイ№853『ホンの1か月前までは、れっきとした小学生』

ある休日の夕方、家族でいつものラーメン屋さんに行った。
中1の娘も小4の息子も、もう子供用ラーメンなんて見向きもせず、ふつうに1人前を注文する。なんだったら
「私、唐揚げトッピング!」
「僕、餃子も食べたい!」
と、容赦なくガッツリと追加するので、気軽なラーメンのはずなのに、気軽に行こうよ、と言えなくなる金額になる。
ああ、「お母さんと半分にしようか」とか「取り皿くださーい」と言っていたあの頃が懐かしい。

お会計のとき、初めてみるお店のお姉さんがこう声をかけてくれた。
「小学生まではくじを引いてお菓子を持って帰ってね。お姉ちゃんは・・・小学生さんかな」

ときが止まった。
そう、娘はホンの1か月前までは、れっきとした小学生。でもいまは、まだ20日も登校していない、なりたてホヤホヤの中学生。ほんのちょっとの差なのにお姉ちゃんだけお土産がないなんてかわいそすぎる。
いつものベテラン店員さんだったら
『中学生になったの? じゃあ、今日はお祝いね。お姉ちゃんも一緒にどうぞ』くらい言ってくれるのに、と勝手に残念がっていると、ワタクシとは対照的に娘はメッチャ誇らしくたたずんでいた。
『いえ、私、もう中学生ですから。そんな子供だましの駄菓子なんて必要ありません』
そう聞こえてくるようだった。

そんなとき、こちらの心の内を見透かすような店内のはり紙が目についた。
「お菓子1個10円」

やった〜! ワタクシあの見たことない駄菓子1つか2つ、食べてみたいんだよね! お姉ちゃんを誘って一緒に買っちゃおうかな~。

しかし、娘がスンと構えている手前、いい歳の大人の母が、はしゃぐわけにはいかない。

思いっきり自分に言い聞かせた。
あれはきっと、ただの価格表ではないはず。ウッカリ10円を出したら
「あの~、あれは子供料金なんですけど・・・大人の方は100円になりまーす」なんて言い出す気じゃないでしょうね。言い出すの? スルーしてくれるの? どっち? どっち?

最後まで心が揺れに揺れて、ワタクシ店をあとにした。

結局ワタクシ買っていない。
よくわからん見栄に・・・勝った!








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