№60【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『また挑戦しようと思ったけどムリ～』

学生時代、ワタクシ、バイトでレジ打ちをしていた。
念のために申し上げておくと、今と同じくバーコードを読み込むピッピッのもの。

研修もほんの15分ほど。その後、先輩パートさんが補助についてくれて、すぐすぐレジ打ちデビューした。

ちょこちょこ失敗はあったものの、数日も経ったら、わざわざワタクシのレジに並んでくれる常連様もいらっしゃったので悪い気はしない。

「あ～、楽しいバイトだった。また挑戦したいな」
で、辞めた記憶がある。

※

ある日、小6の娘が、レジのパートをしている人の面白くグチる動画を見つけて、キャッキャ笑っていた。

「お母さん、これ見て～。レジを打つ仕事大変なんだって～」
一緒に観て、ワタクシも思わず噴き出した。

「これ分かる～。いろんなお客様がいて大変だよね～」

すると、画面の向こうからこんなグチが聞こえてきた。

「支払いの仕方がたくさんあって複雑すぎるし、ギフト券とか、なんとかポイントとか、イチイチわかんな～い」

あ～、電子決済だのプリペイドカードだのクレカだの、それは大変そうだという顔をしている娘が、ワタクシにこう訊いてきた。

「お母さんもバイトしていたとき大変だった？」

それを聴いてワタクシ、ハッとした。

「ワタクシがバイトしていたときは、支払いは現金だけ。ポイントカードすらなかったも～ん」

いまや現金だけだったら、じゃ、いいですぅ～、って言われる時代だよ？
ワタクシ、そんな難しい支払い、ムリ～。

アルバイトをしていた時代が、本当に遠く遠くに流されていることに気がついた。