№20【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『はーい!』
ある日、たまーに行くスーパーで買いものをしていたときのこと。
カレーのルーを選んでいたら、カレーのスパイスのセットを鷲掴みにして、元気よくお母さんのところに持って行く4~5歳くらいの男の子が目についた。ちょっと珍しいイントネーションでだったので気になったのかもしれない。
「おうっ、あれは葉っぱとか実が入っている超本格派のヤツ。なかなかグルメなお子様ね」
と思っていたら、お母さんにこうツッコまれていた。
「それは作らないから、戻してきて」
男の子は
「はーい」
と、カワイク返事して、元に戻してきた。
順路通りに進んでいくと、またその男の子を見かけた。
こんどは、棒寒天を手に取って、メッチャいい顔してお母さんに見せに行った。
「お母さん、これおいしそう、食べたーい」
なるほど、サクッと食べられそうな感じ。わかるわかると思っていたら
「このままでは食べられないよ。作らないから返してきてね」
とお母さんに言われた。
「はーい」
1㎜もへこたれることなく、棒寒天を返しに行った。
棒寒天ってちょうど剣になるいい感じの大きさだし、カッコイイ緑。
2~3本入っているから、両手に持てるからよさそうだったのにね。
残念。
だんだん、その男の子の「はーい」が健気でしかたなくなってきた。
ここまできたら、お母さんに、一度でいいから
「いいね。買って帰ろうか」
と言ってもらいたい。
そう思っていたら、男の子が次に持ってきたのは、枝豆の袋、冷凍食品
きたー!
これは、お父さんお母さんのビールのおつまみに最高!
お弁当にもピッタリ!
これだったら、お母さんからもOKが出るはず!
と安心したそのとき、お母さんがメッチャ困った顔してこう言った。
「せっかくだけど、アレルギーが出るといけないから、これはやめておこうね」
うそーん!
まさかの全却下?
うわ~男の子頑張ったのに~。
と、思っていたら、当の男の子、最後までな~んてことなさそうに
「は~い!」
と言って、さわやかに返しに行った。
なんか、すごくない?
返しておいでといったら返してくるし、自分のおやつ全然持ってこないし。
わが家とは違うな、見習いたい、と思っていたときワタクシハタと気がついた。
もしや、これはお母さんが
「これこれ! 探していたのよ、ありがとう」
と言ったら負けなゲームなの?
そういうこと?
それぞれの家庭にはそれぞれのルールがある。
うちはうち、よそはよそ。
メッチャ腑に落ちた。
サポートありがとうございます! 迷わずお菓子を大人買いしますよ?怒りません? ありがとうございま~~~す ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ