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2分で読める子育てエッセイ№922『ませ~、せ~』

ある日、小4の息子がスマホを見ながら笑い転げていた。
「母にも見せて~」
それは店員さんが『いらっしゃいませ』の挨拶をどこまで崩せるのかという動画。
「らっしゃいませ~」「ませ~」「せ~」
これはよく聞くよね。
でもしまいには「いらっしゃいませでなくてもよいのではないか」というのをやっていた。その中の1つにまさかの「はよ帰れ~」。
このセリフを聞いたとき、ワタクシ、大昔の記憶がうっすらとよみがえった。

もう誰と行ったのかすら覚えてもいない大昔のこと。確か初めて入った飲食店、もしかしたら旅先のことかもしれない。大勢でワイワイと入口をくぐろうとしたとき、大学生のアルバイト風の男の子が扉を押さえながらこう言った、いや、ように聞こえた。
「はよ帰れ~、ませ~、せ~、」

え? 今、はよ帰れって言った?

一緒に行った人はそのままスルーして入って行ったけど、ワタクシはそうはいかなかった。あまりのセリフに、一体どんな顔をして言ったのか気になって、思いっきりその男の子を見てしまった。白々しく下を向いている姿を見るとやっぱりアヤシイ。

誰か一人でいいから賛同が欲しかったので一緒に行った人に訊いてみた。
「今、なんか変わったセリフが聞こえなかった? ワタクシの聞き間違えかなぁ」
ところがお腹すいたご一行様、そんなことには1㎜も気がついていない。
「え? 何が? それより早く食べようよ」
もしかしたらワタクシも空腹で幻聴が聞こえ始めているのかもしれない。第一お店の人がそんなこと言うわけない、うん言うわけない。

時は過ぎて、今。
まさかのギャグ動画で同じセリフがネタになっているこの状況。
「やっぱり言ってたんだあの人!『はよ帰れ~』って!」

あの日以降、『はよ帰れ~!』のセリフを求めて、本当に『いらっしゃいませ』と言っているかどうかを欠かさず確認している執念深いワタクシ。
これにて一件落着。




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