認知症ケア 楽しい!洗濯物を一緒に畳む
こんにちは。訪問介護サービス提供責任者のスタッフkです。
「昔とった杵柄」とはよく言ったもので、認知症の症状が進行していても、若い頃から日常的に続けてきた家事ならできる、という方は多いです。
⭐️訪問介護「共に行う家事」
訪問介護サービスは、ざっくり言うと
契約
↓
情報共有・課題分析のための会議
↓
ケアプラン(介護計画)作成
↓
サービス実施
と言う流れで進みます。
(場合によっては順序が前後することもあります)
そのなかで利用者様の状態によっては、「共に行う家事」という内容がケアプランに含まれることもあります。
「共に行う家事」とは、
・認知症の進行や体の麻痺などで一人では家事が出来なくなった
・でも介助を受ければ一緒にできる
という方を主な対象とした、ADL維持を目指すケアです。
区分としては「身体介護」に含まれます。
ただし、同居のご家族がいらっしゃるなど、介護保険サービスで「家事」に関することを扱えない条件は多々あります。
そのため、もしご興味がある場合は担当のケアマネージャーさんにご相談をお願いします。
例えば、一人暮らしの方なら
・一緒に洗濯物を干す、畳む
・一緒にゴミ捨ての準備をする(認知症でゴミがわからなくなっている場合など)
・一緒に冷蔵庫の傷んだ食品をチェックする
・一緒に簡単な掃除をする
・一緒に今日食べるものを温めて準備する
などが「共に行う家事」にあたります。
⭐️一緒に洗濯物を畳むケアが好き
共に行う家事は、ご本人の「今できること」を活かすので、生活リハビリの効果も期待できます。
いろいろなケアがありますが、私は共に行う家事のなかでも「一緒に洗濯物を畳む」ケアが好きです。
・座った姿勢で行えるので安全確保がしやすい
・手先を動かすので脳の活性化も期待できる
・洗濯物は柔らかく軽いので安心して扱っていただける
などの理由もありますが、やっぱり一番はお話が楽しいからです。
どんなふうに一緒に洗濯物を畳むかですが、例えば
・立位不安定
・軽い認知症状がある
・主婦歴が長い
・お話好き
という方だとします。
立位が不安定なので立った姿勢での家事は難しいため、洗濯物は介護士が取り込みます。
そして座っている利用者様の近くに置いて、一緒に畳み始めます。
お話をしながら様子をみつつ、複雑な畳み方のものに戸惑われていれば声かけをします。ちょっとだけ先に畳んで途中からお願いすることもあります。
負担が大きそうなら仕分けだけお願いして、介護士が畳むなどその日の認知機能の状態によって対応します。
同じ方でも調子が良い日には、洗濯物を畳みながらお話することができるのに、調子が悪い日にはタオルも畳めなくなる、というようなことがあります。
認知症の症状が一気に進む時期には、数日前にできていたことが声かけをしても全くできなくなることもあります。
ただし、認知症が進んでいるわけではなく、便秘が続いていて認知機能に影響が出ている場合もあるので、出来るだけたくさんの情報を得て観察することが大切だと思います。
⭐️主婦ですもの!できるわよ!
並んで座って、お話ししながら一緒に洗濯物を畳むケアは、主婦として長く家事をしてこられた利用者様には喜んでいただけることが多いです。
(余談ですが、介護保険では話し相手・見守りのみのサービスは認められていません。介護保険制度は税金と介護保険料によって運営されているためです。)
満面の笑顔で「主婦ですもの!できるわよ!」と、どんどん家事を進めて下さったり、今までしたきた家事の工夫を話して下さったり、楽しそうに一緒に家事をしていただけると、私たちも本当に嬉しいです。
洗濯物を畳みながら、昔の洗濯機がなかった時代について教えていただいたこともあります。
その方が結婚したばかりの時代は、本当に何も家電がなく手洗いだったそうです。
洗濯板で洗濯し、次に手回しの脱水機が登場し、二層式の洗濯機が普及して、今の全自動の洗濯機になったとお聞きしました。
洗濯板は社会科の授業で使う資料集で見たことがありますが、脱水機が全く想像できず
「どんな形でしたか?」
「手で回すってどういうことですか?」
「1枚ずつ絞るんですか?」
などたくさん質問してしまいました。
身振り手ぶりも加えて何とか伝えようとして下さった結果、
・ハンドル付きの
・筒みたいなものの間に
・洗濯物を1枚ずつ挟む
・ハンドルを回すと洗濯物が間を通って出てくる
・間を通る時に水が絞られる
ものだということが分かりました。
手動のパスタマシンみたいな感じの形なのでしょうか??
「出てきた洗濯物は板みたいになっている😆」
ともおっしゃっていました。
1枚ずつ脱水するなんて、ものすごく大変だと思うのですが
「全部手で絞っとったんやで。それに比べたらどんだけ楽か😎」
と言われ、いかに今の家電で家事時間が短縮されているかが分かりました。
⭐️介護職の特権!?経験者からお話を聞ける
他にも
・阿片窟(あへんくつ)で必死で逃げた経験
・炊飯器が普及するまでのお話
・今の学校が建つまでの地理
・洪水のときどうやって助かったか
・戦後GHQが来てからの土地
などたくさんの方から、本当にいろいろなお話を聞かせていただきました。
その利用者様の生きてきた時代背景や、置かれた環境によって、お話内容には驚くほどの違いがあります。
大変なことも、楽しいことも、生き生きとお話しされる姿や雰囲気は経験者にしか醸し出せないものだと思います。
昔のことを「実際に見てきた方の声」で直接聞けるのは、介護職ならではかもしれません。とても勉強になります。
もっといろいろなお話が聞けたらいいなと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
『神戸|介護事業所の有限会社まいらいふ』
・YouTube「まいらいふ介護チャンネル」
・会社様向け介護離職防止セミナーも開催
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