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亜急性脳卒中における体重支持トレッドミル歩行の効果

こんにちは!
理学療法士のyukiです。



本日紹介する論文はこちら↓


本note作成にあたり著者らとの関係はありません。

この論文についてです!
掲載雑誌:Stroke, 2010
Impact Factor(IF):7.190
参考文献数:11本(リンクにてpubmedへ)

IFが高いStrokeの論文で、研究デザインもRCTですね。論文の質として高い方ではないかと思います。それだけ信憑性があり、バイアスに対しても比較的に考慮された論文であると思われるので、論文の内容の信頼性は高いと思います!参考にされてみてください。

このnoteで解決できる点として、
・亜急性期の治療工夫
・ロボット機器による歩行効果
・歩行に対する治療効果(対照群との比較あり)


では早速まとめていきたいと思います!

はじめに

歩行が可能かどうかは、脳卒中患者が自宅復帰できるか、老人ホーム等の施設入所になるかを決定する上で大きな要因となる。


ハーネスを用いて体重を免荷した状態でのトレッドミル歩行は、歩行困難な患者に対して有効性が十分に検討されていない介入方法である。

先行研究では
歩行者と歩行困難者の両方を対象とした研究が特徴的であり、
これまでの歩行困難者を対象とした4つのランダム化比較試験が行われている
(1-4)。

これらのデータでは、

・免荷でのトレッドミル歩行は、地上での歩行困難者に対して歩行習得の支援をする効果はない、という結果を出しているが、これらの研究の規模や質は様々であった。

トレッドミル歩行に関するCochrane Reviewでは、脳卒中後の免荷支持によるトレッドミル歩行の有効性を検討するため、歩行困難者を対象とした大規模で質の高い研究が必要であることを推奨している。

歩行困難者の脳卒中患者がより多くの歩行練習を終了するための制限として、歩行訓練のスキルが低いことが練習量に直結することがよく知られている(5)

歩行困難者にとって体重を免荷した状態でのトレッドミル歩行は、平地歩行での補助歩行よりも多くの練習ができるという利点があると仮定した。

治療者の介助があっても、数歩の平地歩行を終了するのは難しいかもしれない。

ハーネスによる体重支持は、治療者が対象者を持ち上げずに、対象者が転倒しにくい点からも、ある程度の歩行練習を行うことができる(6)

脳卒中後の機能転帰は練習量と関連している、とする系統的レビューの結果(7)もあるが、リハビリテーションではほとんど練習が行われていないという調査結果もある。

本研究の目的

無作為化比較試験にて、対照群となる平地での補助歩行(介入期間と補助量も制御)とトレッドミル歩行による改善を評価すること


対象と方法

研究デザイン:他施設共同無作為化比較試験

実験群には免荷でのトレッドミル歩行、対照群は平地歩行が行われた。
参加者が自立して歩行が可能になるまで、または退院するまで毎週測定が実施された。

対象者:脳卒中患者(発症から28日以内、50~85歳まで)
対象者属性
・脳卒中運動評価スケールの第5項目で0または1の歩行困難者

介入方法
・両群ともに30分/日、5日/週の歩行練習を行った。
・30分の介入中には、補助具の装着や機器の設置、車椅子から立位への移行、休憩などが含まれた。
・その他のリハ介入(筋力訓練、座位訓練、起立訓練など)に関しては60分/日で統一された。
・歩行に関する具体的な内容(トレッドミルの速度、体重免荷、補助具の使用量、歩行距離、必要な介助量など)は、介入毎に記録された。

介入群について
・ハーネスで支持をされながら歩行練習を行った。
・トレッドミルの最初の速度は、治療者が適度なステップの長さを維持しながら脚を振り抜くのに必要な時間を確保した。
・対象者が下記の状態になった時点で、体重支持の軽減を行った。
1) 麻痺側を介助なしで振り抜くことができる
2) 立脚相で膝を過伸展させることなく伸展保持できる
3) 介助なしで適切な歩幅を保てる
4) 0.4m/秒の速度を達成したとき

これらはガイドラインにより実現可能性が検証された内容であった(8)

対照群について
・平地での歩行を実施。
・介入の一環として、膝スプリント、足関節装具、平行棒、前腕支持歩行器、杖などの補助具の使用が認められた。
・介助をしての歩行が重度の場合、対象者は重心移動と前後のステップ練習を行なった。
・介助による歩行が可能となってからは、速度を上げるように指示をして、治療者と補助具の両方の介助量を減らすように調整を行った。

評価項目
主要評価項目は6ヶ月以内に自立歩行ができた対象者の割合とした。
自立しているかどうかは、補助具を使わずに裸足で15m連続して歩行が可能な方と定義した。

対象者は、介入前に評価を行い、自立歩行ができるまでか、退院するまで評価を受け続けた。

統計解析
・サンプルサイズを決定するために、検出力の計算を行なった結果、各群の対象者は65名、合計130名となった。
・データは、Kaplan-Meier曲線分析により行った。

結果

1. 対象者、治療者、治療施設の流れ

全対象者:126名(年齢;71±9歳、発症後;17日)
介入群:64名 対照群:62名

治療者情報:25名の卒後平均10年の治療者が本介入を実施。

対象施設:6施設のリハビリテーション施設

2. 介入による各群の歩行量や有害事象について

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