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脳卒中者の歩行を3次元運動学的に捉える ~歩行速度との関係性~

こんにちは!
理学療法士をしているyukiです。
このnoteをご覧頂きありがとうございます!

本日の論文はこちら↓。


この論文についてです!
掲載雑誌:Gait and Posture, 2004
Impact Factor:2.349
本noteの参考文献数:15本(リンクにてpubmedを確認できます)


では、目次になります。

はじめに


脳卒中患者の最大の目標は歩行の自立である(1)
歩行の特徴
・快適歩行速度の低下(2,3)
・運動学的大きさ(関節角度、最大モーメント、最大パワー)の変化(4-7)
・麻痺側の矢状面における運動学的大きさの減少(5,8,9)
・歩行パターンのばらつき

これらの特徴に対して
評価では、一般的に快適歩行速度が用いられています。

先行研究では、

Onleyら:脳卒中後の歩行には屈筋群と伸筋群の筋力トレーニングなどの治療が有効(5,10)
Kramersら:膝の運動パターンを4つに分類し、速く歩く人は正常歩行パターンと同様の結果を示し、ゆっくり歩行する人は逸脱した歩行パターンになりやすいことを報告

一方で、慢性期脳卒中において、歩行パターンのタイプがパフォーマンスと関連するかどうかは明らかとされていないのが現状です。


本研究の目的

脳卒中患者の運動学的および心理学的な歩行データを3つの面で、快適歩行速度で測定した歩行パフォーマンスに寄与するデータを特定すること



対象と方法

対象者:慢性期脳卒中患者20名(年齢:61.2±8.4歳、発症後:4±2.6年)

スクリーンショット 2021-04-23 17.52.49

*論文より引用

歩行条件:装具不使用、杖使用(7名のみ)でフォースプレート上を快適歩行速度で実施。

測定条件:
下半身(骨盤、両大腿、下腿、足)につけられた目印を追跡。3次元での関節角度、モーメント、パワーを測定した。

評価項目と統計解析
歩行速度との関係性を評価するために、
1. 遅い歩行グループ
2. 速い歩行グループ
に分けて、それぞれの関節角度、モーメント、パワーと、歩行速度との相関性をPearsonの相関係数を用いて統計学的有意差を調べた(P < 0.05)。


結果

1. 歩行パターンの種類
前額面での観察
股関節(2つのパターンを確認)

麻痺側にてTStからPSwで股関節外転モーメント増加、外転角度が最大となった。

膝関節(2つのパターンを確認)

1. 内側重心による重力により内転ストレスに対抗するため、左右立脚時に外転モーメント増加
2. PSw時に膝関節内転モーメントが生じており、推進力との関係性が観察された


水平面での観察

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3,525字

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