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装具剛性は歩行時のアキレス腱にどのような影響を与えるか?


今回参考にした論文はこちら↓



では、早速いきましょう!


短下肢装具(AFO)におけるPFRとは?


脳卒中者に対する装具療法は一般的によく行われるリハ提供の1つだと思います。

またその効果も、歩行速度の改善、エネルギー消費の減少、バランス能力改善、機能的歩行能力の向上など、多数報告がされています。

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近年のAFOの特徴の1つとして、ある一定の方向に対して制動する装具の開発がされています。

制動とは、ある動きに対して抵抗をかけながら動くように設定された装具の機能の1つです。

例えば、一般的に多いのは底屈を制動するように作られた装具などがこれに当たります。


それらの装具の特徴の1つとして、剛性いわゆる装具の硬さを調整することが可能な物が多く存在します。


この剛性を変化させることで、歩行中の足関節角度や足関節モーメントに影響を与えることは多数の研究で報告されています(4,5)↓

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以前、僕がまとめたnote記事にも類似した内容がありました↓


脳卒中者の歩行の特徴として、フットクリアランスの低下や歩行テンポがバラバラとなり、不安定性や非対称性の増大が指摘されています↓

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これらの背景には、脳卒中に伴う運動麻痺や感覚障害、痙縮、二次的障害(筋力低下等)が複雑に絡み合うことが要因であると思われます。


これらに対して、PFR付きのAFOを使用することで、遊脚期におけるフットクリアランスが改善したり、立脚期においてはロッカー機能が円滑に使えることで歩行推進力を高める効果が期待できます!


では、ここで出てきた

PFRとは何か?

ということですが、

PFRは、Plantarflexion resistanceの略で”足関節底屈抵抗”のことを言います!

近年では、GaitSolutionのような油圧によって足関節底屈に対して抵抗をかけながら足関節底屈運動を誘導することで、歩行立脚初期(I.C.)において、正常歩行と類似した歩行パターンが行えることが期待されています。

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臨床研究による報告も近年ではより多くなっている印象があります。


AFOの使用で共通することですが、

PFR付きAFOを使用することで、ドロップフット(下垂足)が改善し、そのことにより第1のロッカー機能であるHeel rocker機能が改善しやすいことが報告されています!

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余談になりますが、

特に、PFR付きの特徴の1つは初期接地時に観察されます!


どういうことかというと、

正常歩行上、初期接地(I.C)で、踵接地後は足部は一度底屈方向に動きます。

この動きに対して前脛骨筋が遠心性収縮することで、”踵を軸にした転がり運動”が生じます↓

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いわゆる、脳卒中者では前脛骨筋などの足部背屈筋群が運動麻痺により機能しにくくなります。


そのため、PFR付きAFOの使用はこの前脛骨筋のような機能性を果たしてくれるということになります。


そして、先行研究による報告では、このHeel rocker機能が働くことで、体重を受容する機能性が高まり、立脚後期まで影響するとされています。

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そのため、PFRによるAFOでHeel rockerが機能することは歩行周期全般で重要なことになります。


PFRとアキレス腱の関係、そして歩行への影響は?


では、本題はここからですが、PFR付きAFOはアキレス腱や足関節底屈筋群の働きにどのような影響を与えるか、まとめていきたいと思います!

前提の話として、

なぜ足関節底屈筋やアキレス腱に着目して考える必要があるか

ですが、

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