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酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第61回「4年ぶりの東京・八王子で昼酒満喫」

2024年も酔いどれ男のさま酔い飲み歩記をよろしくお願いします!

「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。

withコロナでようやく一人酒が再開した。が、まだまだ心置きなく飲めるようになるまでの道のりは遠い。ならば、体験談エッセイでも書くとするか。酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第61回「4年ぶりの東京・八王子で昼酒満喫」である。


はじめに

コロナ禍以前の日常が戻りつつあるなかで2024年を迎えた。毎年恒例の初詣の行先、どうしようか?と考えたが、4年ぶりに東京へ出かけよう。日帰りプランなので都心まで足を伸ばせない。そこで多摩の中心都市・八王子を選んだのだ。

それにしても前回の東京入りは2020年1月。コロナの「コ」の字も無かった時だった。関東地方初詣ひとり旅と銘打ち、錦糸町で夜飲み、池袋で昼飲みをした。あの頃、こんなに東京に来られなくなるなんて夢にも思わなかった。あれから4年・・・長かった。

最新の昼酒飲み歩記、そろそろ始めようか。

八王子「和来」~これを「わらい」と読ませる粋

昼飲みが楽しみ、といってもそれがメインではない。あくまでも初詣がメインである。昼飲み前に参拝したのは大國魂神社(府中市)と子安神社(八王子市)。子安神社では「初こんぴら」のお祭りをやっていて、お神酒を頂戴した。

空きっ腹のお神酒は少量でもキク。ならば、早く昼酒の口開けとなる店を探そう。子安神社から歩くこと数分。やってきたのは大衆酒場「和来」。ドン・キホーテの真ん前という立地は分かりやすくていい。

「和来」と書いて「わらい」と読ませる。粋だな。

カウンター席の一角に陣取り、奥にいた店員の姉さんを呼ぶ。まずは生ビールのグラスから注文。すかさず姉さんが「本日のおすすめ」ボードを見せてくれる。そこには店の名物の肉じゃがの文字。店頭にも張り紙があった。これは頼むしかないだろう。

ビールを付き出しで飲み干してしまおうかというタイミングで肉じゃがの登場。大皿に入っているのが嬉しい。すかさず追加注文をしておこう。八王子の地酒で小澤酒造所の「八王子城」。それにはカンパチとマダイの刺身を合わせよう。

平日の昼間ではあるが、カウンター席には酔客が数人。いずれも一人飲みのようだし、なかには姉さんと顔なじみの客もいる。若者向きのワイワイとしたにぎやかさではなく、どちらかといえば「大人が腰を据えて酒を楽しめる酒場」という印象だ。

徳利に入った八王子城は、やや黄色みがかかった純米酒でどっしりとしている。刺身は当然だが、肉じゃがにもよく合う。品書きにはほかにも美味そうな肴が並ぶ。まあ、しばらくは日本酒をじっくり飲もうじゃないか。

一献傾けながら、テレビのバラエティー番組に時々目をやる。高校生の料理コンテストらしきものを放送している。沖縄県石垣島の高校生たちは、海で自分たちが獲った地ダコをたっぷり刻み、イカ墨で味付けしたチャーハンを作っていた。これも美味そうだな。

日本酒で一献傾けていると、時間はゆっくりと進んでいく感じがする。昼下がりの一人飲みはこれがたまらない。追加注文をして、この店で完結させる手もあるが、せっかくなのではしご酒もしたい。飲み終えたら店を出るとするか。

八王子「とりいちず」~注文の仕方が分からないぞ!

続いては、若者が集いそうなチェーン居酒屋「とりいちず」八王子北口駅前店に入る。コロナ禍前であれば、この手の店は敬遠していたのだが、コロナ禍を経験して「外飲みのありがたさ」を知った。ゆえに店の選り好みはしないつもりだ。

店に入って壁に向かったカウンター席に座る。若い店員が「ご注文はQRコードでお願いします」と言って立ち去る。珍しいオーダーシステムだなと思い、QRコードを読み取ってみたものの、注文の仕方がさっぱりわからない。

おいおい、いったいどうすりゃいいんだよ!

マゴマゴしていると、店員がタブレット端末を持ってきて「こちらで注文してください」と置いていった。幸い、タブレット注文は経験があったので事なきを得たが、これとて端末に不慣れな年配の人だったら戸惑ってしまうだろうな。

そんなわけでようやく入れた注文は、超炭酸ハイボール、店の名物のパリパリなかわ串、それに砂肝とレバ。タブレット入力後にちょっと不安になったが、店員がハイボールを持ってきたので「正しかったんだな」と安堵した。

ハイボールをグイっと飲み、串4本を平らげてサッと店を出る。

八王子「ほていちゃん」~大バコ酒場に取り残された少女

昼酒3軒目にやって来たのは居酒屋「ほていちゃん」。屋号もどでかく書かれているが、サッポロビールのラベル、牛煮込みとレモンサワーの文字も自己主張が強い。これを見てしまえば、頼む肴は牛煮込みしかないじゃないか。

店の入り口には立ち飲みができるカウンターがあり、その奥にズラリとテーブル席が並ぶ大バコの酒場。平日昼下がりなのでお客は少ないが、週末夜なんかはスゴイことになるだろうなと想像がつく。テレビが見やすい奥の方に行こうとしたら・・・

「奥は飲み放題の席なので」と店員に制止された。

立ち飲みでもよかったかなと思いつつ、厨房近くのテーブルに腰を下ろす。肴の一つを牛煮込みに決めているので、ここは黒ホッピーセットといこう。キンキンに冷えたグラスに焼酎が半分ほど入り、そこに黒ホッピーを注ぎ込む。これは中身2杯分あるな。

牛煮込み以外には北海たこぶつを頼む。看板でうたっているだけに牛煮込みはなかなか美味い。ホッピーと合わせているが、ビールでも日本酒でもハイボールでも、なんでも合う万能のおつまみといったところだな。

少し離れたテーブルに、この手の店では珍しい父親と小学校低学年くらいの娘が座っていた。はっきり聞こえたわけじゃないが、何か忘れ物をしたらしく、娘を残して父親が店を出て行ってしまった。酒場に少女が一人ポツリ残されてしまう・・・

10分くらいして父親が戻り、なぜかホッとしたよ(笑)

久々の昼酒。以前ならここからさらにもう1軒、2軒と向かっていたところだが、すっかりアルコールも弱くなってしまった。ボチボチ引き上げるとするか。

〇〇〇
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2024年1月の忘備録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。


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