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アメリカでマネージャーに昇格する方法

アメリカで出世、昇格するってどんなイメージがあるでしょうか?日本の会社の場合には昇格試験などを受ける必要があるようですが、アメリカの会社だとどうなのか。今回はアメリカで何回か昇格を勝ち取って、マネージャー、そしてディレクターになった経験からアメリカの会社での昇格のプロセスをシェアしたいと思います。

ケース①一般社員から管理職になる

アメリカはジョブ型雇用の社会なので会社から昇格させてもらうというより、自分から就きたい仕事に手を挙げて応募するという形になります。これは他社へ転職するのも自社の空いたポジションに就くのも手順としては同じです。

流れとしては
①必要なポジションの求人票が採用する会社によって公示される
②その求人票に必要なスキル、経験などが明記されている(所謂ジョブディスクリプション)ので、それに合った履歴書を準備して応募する
③履歴書での審査後に脈ありと思われた候補者に面接の連絡がくる
④面接、適性検査、スキル検定などその仕事によって考査される過程は違うかもしれないが、ここでスクリーニングされる
⑤最適と思われる候補者にオファーが提示される⑥候補者が人事とオファーの交渉をして最終オファーを決定しサイン
となります。

ここで日本と決定的に違うと思うことは、管理職になるかならないかは社員が自分で決めるということです。もちろん面接を受けてオファーをもらわないとその仕事には就けないのですが、手を挙げて面接までこぎつけるのは自分で決めることで、会社が自動的に管理職に昇格をさせてくれるということはありません。

一般的にアメリカではキャリアは自分で作るものという意識があり、個人個人が自分がどのように働きたいかという意識をはっきりともっている人が多い印象です。管理職にならずに、いわゆるインディビジュアル・コントリビューターとして会社員生活を終える人も多くいますし、それが人よりも劣っているキャリアであるとは思われません。何故ならばそれは彼ら、彼女らが選んだ生き方だからです。

以前の記事でも書きましたが、アメリカ人は残業をしないというのはある意味誤解で、出世する人はそれこそいつ寝ているんだろうっていうくらい仕事をします。管理職になりたいと手を挙げる人には、やはり仕事人間が多く、一般社員であまりガツガツせずに働きたいといういう人は残業せずに定時で帰る働き方を選ぶ傾向があると思います。

ケース②幹部候補生として入社する

もうひとつのパターンで管理職になる方法としては、幹部候補生向けのプログラムに合格して最初からマネージャーとして働くというケースもあります。資金に余裕のある大手だと、一流の大学から新卒の学生を雇い、2年ほどローテーションと呼ばれるプログラムを経験させた後に管理職としてキャリアをスタートさせるという制度がある場合があります。私が見た例では、2年の間にアメリカの国内と国外を含む3箇所、違うビジネスの部門でプロジェクト的な仕事を与え、その間に社内ネットワークを築き仕事の成果を見せ、プログラムの終了時にどこかの部門にマネージャーとして迎えられるというものです。

正直言って、このパターンはハードルが高いケースが多いです。会社によっては地元の大学の大学生を優先採用する場合も多いので、アイビーリーグの大学を出ている必要はありませんが、やはり成績の良い学生、そして専攻も限られる場合が多いです。例えば監査会社の場合には会計学専攻、エネルギー関連だと化学系など。そして最近の傾向としては学部卒では学歴不足で、修士号がないと考慮されない場合もあります。もちろん専攻は特に関係なかったり、比較的広く門戸を開けているプログラムを提供している会社もあるかもしれません。こういったプログラムはハードルは高いかもしれませんが、面白い体験を会社の経費でいろいろと経験できるので、現役の学生の方達は是非探して挑戦してほしいと思います。

私の場合

私の昇格のプロセスは言うまでもなく①のパターンでした。最初の昇格らしい昇格はアシスタント的な仕事からファイナンシャル・アナリストへの昇格でした。

ある日同僚から「うちの部署でファイナンシャル・アナリストの空きがでたから応募しなよ」という誘いがあったのです。当時まだ私はコミュニティカレッジで一般課程を終えて2年制大学の資格しかなく学部卒ではありませんでした。しかしその仕事は2年制大学卒でも受けられるということ。早速履歴書を人事にイントラネット経由で提出し、結果を待つことになりました。ラッキーなことに面接に呼ばれ、採用マネージャーと面接。その面接で彼はいきなり紙に簡単な計算式を書いて「これを解いて」って言ってきました。それは非常に簡単な利益計算だったのですが、あまりの簡単さに「何か罠でも仕掛けてあるんじゃないか?」って思ったくらい。まあ無事にその仕事のオファーをもらい承諾してサインしてその仕事に就くことができましたが、けっこう冷や汗ものでした。採用された後で「あれ簡単で、何か罠が仕掛けてあるのかと思った」って上司に言ったら「罠なんて仕掛けてないよ。あんな簡単な数式でもできない人がいっぱいいるんだよ」って教えてくれて、算数が苦手な人の多いアメリカで数字を使う仕事を選んで良かったなと思った次第です。

その後のマネージャー、そしてディレクターの仕事もプロセスとしては全く一緒で、他の部署で空きができたポジションを自分で見つけたり同僚に勧められたりして、採用する部署の責任者や一緒に働くことになる人達と面接をして、採用のオファーをいただきました。

今回はアメリカでの昇格のプロセスについて書いてみました。アメリカで出世したいと考えている方は、是非躊躇せず手を挙げて挑戦してほしいと思います。結果の平等は約束されていないけど、機会の平等は与えられている国、アメリカです。せっかくなので挑戦してみませんか?

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