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就職する時のアメリカと日本の違い

アメリカに移住して働き始めて早くも20年以上が経ってしまいました。アメリカに来た当時は本当に右も左も分からないまま就職活動を始め、運良く秘書の仕事にありつけました。それから20年以上日本人は私だけの環境で働いて社内転職をしたりしていくつかポジションを変わり、ハワイに来てから地元の会社に転職。雇われる立場、そして雇う立場を両方実際に経験してきた私の経験からアメリカと日本の就職する際の違いについて書いてみたいと思います。

採用を決めるのは人事ではなくマネージャー
大昔、日本で就職した際には新卒であったこともありますが面接をされたのは人事部の方で、上司となる人に会ったのは会社に入ってからでした。私のアメリカでの経験は、採用を決めるのは人事部ではなく上司となるマネージャーです。じゃあ人事の仕事は何かと言うと、コーディネーターです。私が新しく社員を雇う時は人事に頼んで参考になるジョブディスクリプションを出してもらい、それを自分の採用したいポジション用にアレンジして人事に提出して求人をかけてもらいました。そして人事は応募してくる人達の履歴書を篩にかけてくれて採用マネージャーである私に回してくれます。その中で良さそうな人がいれば、人事に連絡する段取りになっており、人事部の人が面接の段取りをとってくれます。お給料の相場も市場価格はこれくらいだよって教えてくれたり、社内で同じような仕事をしている人はこれくらいお給料払っていると参考になる報酬価格帯を教えてくれます。そして私がこの人を雇いたいと連絡すると、その候補者にオファーを伝えて給与や条件交渉の仲介人になってくれたり不採用になった人への対応もしてくれました。人事部は採用に関するコーディネートはしますが、最終的に採用を決める権限があるのは採用マネージャーとなります。この制度は日頃から目をつけていた社員を部下として雇えたり、私の意に沿ぐわない人が部下としてチームに配属されたりしないので、管理職としてはありがたいシステムでした。

新卒よりも経験者の方が優遇される
日本では大学を出たての新卒が優遇される傾向があるようですが、ジョブ型のアメリカだと経験がある人を採用したがるので、大学を出たての人よりも何年か経験を積んだ人が有利になります。大学を出たての若い人が就職を探しても経験がないからという理由で不採用になることが多く、経験がないから就職できない、就職できなから経験が積めないという負のスパイラルに陥ることも。なので大学生が何をして経験を積むかというとインターンなのです。夏休みなどに会社でインターンをして職務経験を積んで、その経験を元に就職するというのが一般的です。あとは会社によっては新卒向けのローテーションプログラムを用意している会社もあります。そういったプログラムに入れるのは、たいてい成績優秀者なので、アメリカの大学生は良く勉強して良い成績を保持するのに一生懸命なのです。私はアメリカの大学で会計学を専攻したのですが、成績の良い同級生達は卒業と同時に大手の監査会社に就職していました。

個人的な背景や年齢を聞いてはいけない
私はアメリカでの面接にすっかり慣れてしまったので、日本では面接の際に「結婚の予定はあるか」とか「子供を産む予定はあるか」と聞かれることがあると聞いて、ヒョエ〜!と思いました。私も昔は日本で働いていたので頭では分かっているはずなのですが、アメリカ式の面接に慣れすぎたせいで大きな違和感があります。アメリカでの面接では結婚しているかとか子供はいるかとか聞かれることは、まずないと思います。そして年齢を聞くこともタブーです。なので求人票にも年齢制限などは書いてありませんし、年齢を制限すると年齢差別になって訴えられかねません。これは50代で転職活動をした私にとっては非常にありがたかったです。基本的に面接で聞かれることは仕事に必要なことがメインで、結婚しているかとか子供がいるかとか、世間話的に話題になることがあるとしても、それで採用が決まることはないでしょう。機会の平等を大切にするのが建前の国なので、年齢、宗教、人種、同性愛などの性的嗜好に関する差別は法律で厳しく定められています。中年アジア人女性の私にとって、アメリカは仕事を探すには非常にありがたい環境なのです。

就職してからの話だけど・・・・引き継ぎはないに等しい(こともある)
アメリカだと就職したらトレーニングもそこそこに、すぐに仕事を任されて与えられた仕事をこなすことが求められます。ジョブ型の雇用環境だと、そんなものなのかもしれません。昔、日本で就職した時は外資系の会社でしたが一ヶ月近くの研修期間がありました。今考えると夢のような待遇だったな〜って思います。アメリカに来てからは、引き継ぎを一日やったら後はよろしく、もしくは引き継ぎって何?みたいなこともあって、すっかり鍛えられました(笑)
なぜこんな事が可能かというと、会社を変わってもする仕事は同じようなことだからです。確かに使うソフトウェアなどの違いや業界に特化されたやり方などはありますが、基本的なことは同じ。私の場合はずっとFP&A、ファイナンシャル・プランニング・アンド・アナリシスという分野で仕事してきたので、この度お世話になっている会社でも会計ソフトの使い方を覚えなければいけなかった以外は、大半の業務は似たようなものでした。どの会社の財務諸表も損益計算書と貸借対照表ですからね。押さえるべきポイントは同じような事であることが多いのです。なので採用の際には引き継ぎが少なくてすむ経験者の方が何も知らない新卒の人よりも優遇されがちなのです。

以上日本とアメリカでの就職時の違いについて、思いつくままに書いてみました。これからアメリカで就職活動をされる方がいらっしゃったら参考になれば幸いです。

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