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尾道駅前からすぐの渡船に乗ってみた

尾道駅にやってきた。
たまに、遠くに行きたいと思うことがあって、西の方にできるだけ遠くに行こうと思ったとき、なぜか頭に浮かぶ場所の一つが尾道だ。
尾道という街には、行くべきと思わせる不思議な何かがあるのかもしれない。

電車で、岡山方面から尾道駅に向かうとき、左手に海が見えてくると、尾道が近いのだな、とわかる。
電車が尾道の市街地に入ると、尾道のまちを避けるようにぐるっと大回りする。左手に尾道の街を眺めながら、カーブを駆け抜け、中心地を通り過ぎると、尾道駅に着く。
この尾道の街を迂回する感じが、何か特別な街に来たのだという気にさせる。

尾道駅の駅舎は、4年前に建て替えられたそうだ。
瀬戸内海の海沿いに建つのにふさわしい、爽やかなイメージの駅舎だ。
駅舎は新しいけれど、電車は、わりと古い電車が走っていたりする。
このまだらな感じが山陽地方(あるいは日本の地方の大部分がそうかもしれない)のいいところなのかもしれない。

駅を出ると、目の前にロータリー、そしてその向こうにはプロムナード、さらにその向こうには海が見える。
海の向こうには、向島という島が見える。
やはり、向かいにあるから、向島なのだろうか。
その向島には造船所や造船所のクレーンが見える。

それにしても、いい駅前だ。
尾道らしさを感じられるような場所にわざわざ駅をつくったのだろうか、とさえ思えるほどだ。
海沿いのプロムナードではベンチに腰掛けてのんびりする人、読書をする人、様々な人が海沿いの景色を楽しんでいる。

向島に向かうには(洒落じゃないです)、駅前の船着場から出発する船を使う。

船は客を下ろすと、待っていた客を乗せて、すぐに出港する。まさしくピストン輸送である。料金は100円。シンプル価格。乗船中に船員さんが料金を集めてまわる。

ふと、こんな光景はなかなかないんじゃないかな、と思った。
昔はバスにも車掌がいたらしいのだけれど、こんな感じだったのだろうか。
乗船前に、スイカとかイコカとかは使えるのかな、とか思っていた自分がとても愚かに思えてきた。
ここは大阪や神戸ではない。
だけど、こういうことを体験できるのが、遠くに行くということの面白さのひとつだ。

30分ほどで再び尾道駅前に戻ってきた。

尾道駅前の新しさと渡船のレトロさとのギャップが、駅と電車のギャップに重なる。
新しさの中に昔のおもかげを探すというのも悪くはない。
やっぱりこんな素敵な駅前はなかなかない。








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