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肩こり解消&予防のヒント

こんにちは!
アスレティックトレーナーの川越です。

僕は機能改善(姿勢づくりや適切な体の使い方、筋肉のアンバランスの調整など)を得意としていることもあり体の痛み、違和感に対してのお悩み相談も多く受けます。その中でも今回のテーマである肩こりは多くの方が持っている悩みの一つです。

肩こりの原因は細かく見ればいくつかありますが個人的には大きく3つのタイプに分かれているか、それぞれ3つの要素が含まれて生じていることが多いと考えています。

今回扱う肩こりは「肩がだる重い」「首から肩がつらい」といった一般的な肩こりのことについての内容になるため、胸郭出口症候群やインピンジメント症候群、腱板損傷、四十肩(五十肩)などにあてはまる方には参考にならない部分があるかと思います。そのため上記の診断をされている方は無理にエクササイズを実施せずにかかりつけの病院またはコンディショニングジムで指導のもとエクササイズを行うことをおすすめします。

※今回の内容は「考えられます」「思います」という断言できていない表現が多いですが、人の体は言い切れないことが多いのでご了承ください。


そもそも肩こりとは

肩こりとは、後頭部から首にかけて、首から肩にかけて、または肩から背中にかけて張り感や凝り感、痛みや怠重い感じがするなどの症状があることをいいます。
痛みが出る原因は血行障害によるものと考えられ、さらに血行障害となる原因は筋の硬さや動かさな過ぎ、水分不足などが考えられます。
(精神的な問題も関与していると言われていますが今回の記事はそこに関しては触れていません。気になる方はトレーニングの際にご質問ください。)

他覚的(客観的)には痛みを感じている部位の圧痛や過度な緊張を確認できるものが多い印象ですが、過緊張(筋の硬さ)と肩こりは関係しないと示唆している研究もあります。
「肩こってますね〜」と言われることが多いけど自覚的にはそう思っていないという経験がある人も多いと思いますが、そういうことからも肩こりは単純な硬さが問題というわけではなさそうなことが考えられます。(腰痛は硬さと関係があるそうです。)

ちょっと難しい話をしましたが、

・肩こりは血行障害による痛み
・血行障害は筋の硬さによって起こりやすい
・ただし、筋肉の硬さがあるからといって肩こりを感じない人もいる

以上のことを一旦抑えておければ良いかと思います!
そして、筋が硬くなる原因について今回は3つのタイプに分けてお話します。3つすべて当てはまる方もいらっしゃるかと思いますが、その場合は取り組めそうなものから取り組んでみてください!

肩こりの3つの原因

▷呼吸に問題があるタイプ

一番多い原因は呼吸ではないかなと個人的に思っています。肩こりに限らず呼吸に問題がある方は多く、僕自身も呼吸がうまくできなくて長い間悩んでいました。(今もまだ完璧ではないですし、花粉が飛んでいる時期は大変です…)

さて、どんな呼吸が問題かというと、簡単にいうと肩で呼吸するタイプの方です。このタイプは呼吸が浅くて速い、緊張強い、鼻で呼吸ができないといった共通点がよく見られます。
本来であれば鼻で息を吸って口で息を吐く呼吸、筋肉でいうと横隔膜を使った呼吸が理想的なのですが、普段の姿勢や体の使い方、自律神経の乱れなどから適切な呼吸ができなくなることがあります。

適切な呼吸は横隔膜を使った呼吸。

そういったタイプの方は首や肩周りの筋肉を使って呼吸をし、口呼吸になるので口渇感も出やすいかなと思います。自分の呼吸が適切かどうかを確認する方法は以下のテストをご参考ください!

▷顔が前に出ているタイプ

一旦下図の木を見てみてください。

倒れそうな木

奥の2本は倒れてしまっていて、手前の木は斜めになっています。この手前の木に対して、どんなストレスがかかっているかをイメージしていただきたいのですが、仮にこの木が倒れないように自分で力を入れているとしたらどこに力が入っていそうだと思いますか?
恐らく、根本の部分に力が入っていて、倒れる方と逆の力が働いていると思います。このように、何かが前に出ているとそれを戻そうとする力が働くのですが、それを人にあてはめて考えてみましょう。

首後方や肩に負担がかかるイメージ

首が前に出ることによって木と同じく首の後方に伸ばされるストレスがかかり、それを抑えようとする筋収縮が常に働きます。ずっと小さな力で筋トレしている感じです。そうすると当然筋肉は疲労しますし、常に収縮状態なので首後方、周辺の筋肉は硬くなりやすいです。
頚椎にも負担がかかるので場合によっては神経症状が生じる可能性も出てきてしまいそうですね。スマホや読書、パソコン作業、勉強などが続くと顔が前に出る姿勢となりやすいのでお気をつけください。解決策は後ほど紹介します。

▷肩甲骨の動きが悪いタイプ

まずどんな動きが悪いかというと肩をすくませる動きです。この肩をすくませる動きを繰り返すことによって疲労が蓄積され、筋肉の硬さが生じ、血行障害となり肩こりを感じるというタイプです。
自分は肩をすくませていないと思っていても意外と肩をすくませている人が多いです。むしろ綺麗な肩関節、肩甲骨の動きができている人を見るのは稀です。

鞄を持つ場合、それに耐えられる筋力もないといけない。

日常的に肩をすくませてしまう動きは多く、パソコン作業中も、鞄を持っているときも、手を挙げるときも、歩行中の腕振りも、寒い日なんかも肩をすくませてしまうことが多いかと思います。

タイプ別エクササイズ処方

それではタイプ別にエクササイズ処方や日常生活で気をつけることをお伝えしていきます。
痛みや違和感を感じる動きがあればそれは控えるようにお願いします。

▷呼吸に問題があるタイプ

呼吸に問題があるタイプは、肩をすくませないように呼吸するトレーニングが必要です。人によって適切な呼吸に戻すために必要なエクササイズは異なるため、比較的よく行うエクササイズを2つ紹介します。

①    猫のポーズ
適切な呼吸ができていない方は自律神経が乱れ、交感神経が優位となっていることが多いです。そうなると全身緊張状態となりやすいためまずはゆっくりと背中を丸めすストレッチを行いましょう。ポイントは口で息をふぅーっとゆっくり吐きながら背中を丸めることです。元の姿勢に戻る際は鼻で息を吸いながら戻りましょう。

②   呼吸の練習
呼吸の練習はまずは仰向けに寝て行うことをおすすめします。やっていただきたいことは、10秒かけて口でふぅーと息を吐いて、吐いたところで10秒息を止めて、それから10秒かけてゆっくりと鼻で息を吸う呼吸の繰り返しを7~12分間です。呼吸のダメなパターンは以下をご参考ください。

▷顔が前に出ているタイプ

顔が前に出ているタイプは普段の姿勢から気をつけることも重要です。例えばスマホを持つときは空いている手を脇の下に挟む、パソコンを見るときは画面の高さを目線に合わせるなどです。その他、エクササイズ例を2つ紹介します。

①    アッパーバックエクステンション
ストレッチポールを使っていますが、丸めたタオルなどでも良いです。肩甲骨の下のラインにストレッチポールなどをあてて、腰を反らないように胸を反らします。

②    Prone Th Extension
うつ伏せになり、二重顎を作るくらいのイメージで顎を引き、胸を反らす動きです。こちらも腰を反らないように気をつけましょう。

▷肩甲骨の動きが悪いタイプ

肩をすくませないようにするために、その逆の動き(肩甲骨を下げる動き)をまずは行い、その後に肩をすくませないようにしながら肩関節を動かす練習をします。

① コブラ
うつ伏せになり、肩甲骨を寄せて、寄せたまま肩甲骨を下げる動きです。あくまで肩甲骨の動きを出すことが目的なので背骨を反らす動きは意識しなくても良いです。

② Prone Lat Fly
コブラが上手くできるようになったら肩関節を動かしてみましょう。手を挙げる際も肩甲骨を寄せたまま動かすイメージ(実際には少し離れます)で行うようにお願いします。

さいごに

仮に肩こりを解消するためのエクササイズを1時間やったとしても、残りの23時間の過ごし方が悪ければ肩こりを改善するのは難しいかと思います。さまざまな悪しき習慣を少しだけ体に良い習慣(環境)に変えてみましょう。そしたらきっと、快適な生活が送れるようになります。

自分の体に合った運動を日常生活に取り入れ、日々自分にとって良好な状態となれるようなライフスタイルを送っていきましょう!

参考文献:
兵頭正義. "肩こり." 日本鍼灸良導絡医学会誌 21.3 (1992): 4-16.

奥野浩史, et al. "肩こりと肩上部の硬さとの関係." 全日本鍼灸学会雑誌 59.1 (2009): 30-38.


川越 康平 Kawagoe Kohei


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