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採用マーケティングの3つの誤解

先日、Wantedlyが下記の資料を公開しておりました。

近年のトレンドとして「採用のマーケ化」が進んでいますが、このスライドでは、その「リクルートメント・マーケティング」について分かりやすく解説しています。初歩的なキーワードの説明から、詳細な解説、かつ具体例まで掲載しています。

マス媒体人材紹介を中心としていた日本の採用市場は、Wantedlyの登場により、大きく変わったと言っても過言ではありません。

そのWantedlyが、満を持して(?)出してきた「リクルートメントマーケティング入門」というこのスライドは、採用担当の意識も変え、今後の採用にも大きく影響を与えていくのは間違いないでしょう。

*実際に社内で面接を担当する事業側の社員に共有したところ、「非常にわかりやすく、今は採用もマーケティングのようになっているんですね」という感想もあったくらい。

今回は、その採用マーケティングに関する誤解について書きたいと思います。


■時代は採用マーケティング?

さて、Wantedlyが発表した資料を全て目を通してみましたが、今の流れを的確に捉えており、長年採用に携わってきたものとしても、デジタルマーケティングに倣った非常にまとまっている良い資料だと思いました。

時代はリクルートメントマーケティングに向かっていると言って間違いなく、以前よりFindy 山田さんが、マーケティングの重要性を提唱しているように、時代がようやく追いついてきた感じで、多くの企業が、採用を営業→マーケティングと変化してきています。

とはいえ、採用は営業と一緒だ!という人は未だにいる...。
KPIも大事ですよ。でも、今はちょっと違う。

前振りはこの辺で、3つの誤解をお伝えしていきます。


■誤解:その1 とにかく認知してもらう!

この採用マーケティング、Wantedlyのいうリクルートメントマーケティングに関しては、どちらかというと、SNSを使った 「Awareness=認知」 の領域しか進んでおらず、とにかく自分たちの想いを伝えるという旗のもと、「とにかく認知してもらう!」が先行しています。

実名の人事がTwitter内で大量に現れてきたのも特徴の一つです。

それにより、

・知名度が低かった企業が、知ってもらうきっかけとなった
・Twitterを効果的に使って採用に結びつけることができた
・応募者が安定して来るようになった

などの大きな効果が出てきているのは、数年前と比べると大きな革新です。
(以前であれば、見てもらうためにはとにかくお金を払って上位ページに載せてもらうか、大手企業だから優遇してもらうかくらいしかなかった)

本来は、そのあとのエントリーに進んでもらうプロセスをどうデザインするかが非常に大事なのですが、そこまで至っていないのが実情でしょう。


もう少し実例を挙げて補足します。

今私がいる医療介護系IT会社では、医療、介護というわかりやすいキーワードが前面に出ている、また、医療現場で働いている人は「もっとIT化が進めば医療現場はもっとよくなるのに」という強い想いを持ってるがゆえに、現在、医療に従事している人からのアクセスや応募は非常に多いです。

もっと言えば、MRの市場は大きく縮小しており、製薬での経験を活かして...というのが非常に多いです。
詳細は、下記記事にて..。


ですから、単純に認知を増やそうものなら、医療現場で働いている人をターゲットにTweetしたり、自社イベントを開催すれば、あっという間に満席となるでしょう。

しかし、現時点での採用基準としては、医療現場で働いている、働いたことがあるという経験は必要としておらず、ITの知識や経験を持った人を欲しているため、認知だけをしても大きなギャップを生んでしまいます。

わかりやすくすると下記のような状況になります。

資料を見ても、

特徴としては、「不特定多数の候補者」と接点を持つのではなく、ある程度自社とマッチしている候補者/採用したいと思っている候補者に絞り込んで接点を持つアプローチになります。

と記載している通り、むやみやたらに多くの人に知ってもらったとしても、(一部のtoC向けの企業ならまだしも)社名を知ってもらい、自社とは全然接点がなさそうな候補者ばかりが増えても、あまり意味はありません。


■誤解:その2 面接で相手のことを知る!

仮に自社と合いそうな方との接点を持つことができた場合、そこからどうやってエントリーに持っていくかが非常に大切になります。
(選考って言わずに最終的にオファーしたというのは、この場合はなしとして考えます。)

最初の「Soft Selection = 選考」において大切なのは面接です。

以前であれば、
・カジュアルに話を聞きに行く
・Meetupに参加する
などといったものがなかったので、

面接=相手のことを知る

と以前のバージョンのOSのままの人が散見されます。
しかし、今はそうではないのです。

私も読んで非常に感銘を受けた、MirrativのJunichi Akagawaさんのnoteにもあるように、「企業が人を採用する」はオワコンで、「企業は相手に"機会"を提供する」がこれからなのです。

つまり、面接もこちらから相手のことを聞くというより、自分たちの働く会社はこうだと、相手に選択肢を与え、選んでもらう形です。

特に、まだ正式に応募をしていないなら尚更。

もちろん、ある程度こちらから機会を提示した上で、相手との価値観の共通項を探求していく必要はもちろんありますが、話を聞きに来た方の満足度を高めるために色々聞いて、本質を探ろうとするのは大きな誤解です。


■誤解:その3 何かアクションしたら反応する!

こちらとしてはぜひ!と思っていても、正式な応募ではないので、当然ながら今はタイミングが合わないということで、選考に進まない方もいます。

逆も然りで、お会いした当時は経験が浅く、イマイチに見えた候補者も何年か経って、見違えるほど成長し、内定へつながるケースも出てきます。

その際に、どうkeep in touchするかが重要です。

現在はSNSも複数あり、ATSではその方のUpdateが追えるものまであり便利なツールがあります。これを有効活用することがまずは、一番です。

しかし、逆にこういうツールは、
候補者が何かアクションをする → それを見て反応する
という流れです。

当たり前と言えば当たり前なのですが、Twitterでフォローしたり、Facebookでつながっていたらそれで満足するのもいいですが、相手が何かアクションする前にこちらからいかにアクションできるかが、結果的に採用へ結びつくかの大きなポイントになります。

具体的には、下記が挙げられます。

1. 候補者の業界、会社での動き
2. 自社での動き
3. 候補者の欲求

まず、1からです。
候補者がいる業界が市場が縮小していたり、A会社の●●さんがB会社に転職した、とかマイナスな側面を持って人は動くことがありますが、慎重な方であったり、そんなことは気にしない候補者は、SNSではアクションしないことが多いです。誰かがどこに転職したとか知らないこともあるので、そのタイミングを非科学的に狙ってアプローチをするのは手。

次に2ですが、自社で新規事業が立ち上がる、ポジションが空いた等のポジション情報だけではなく、以前にあった時より○○名も増えた、面接であってもらった●●さんが役員になったとかの組織に関する話題を、その人しか知らない情報として1to1で伝えることで、急に「実は...」などとくるケースもあります。

最後に3ですが、アメリカの精神科医のウィリアム・グラッサー博士選択理論などを活用し、相手が5つの基本的欲求のうち、どれを持っているかによってアプローチを変えるのも手です。

難しい本なので、こちらの方が簡単に選択心理は学べます。


少し長くなりましたが以上です。

次回は組織関連ネタに戻ります。

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