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サイゼリヤから学ぶ採用戦略

現在チェーン店で全国に広がっている店には、長年積み重ねてきた改善や標準化が進められていて、お客様にとって「これが大事」というものが必ず存在します。

今まで人事としての複数の業種、業界に関わってきましたが、他業界でうまくいっていることは必ず横展できると信じ、自分が携わっている業界でも取り入れていこうと考えました。その中でも、過去に縁がなかった飲食業にFocusして学んでみることにしました。

私自身も子どもとよくいく、しかも、今年から全席禁煙に踏み切ってくれたサイゼリヤを材料に、人材採用と実は近似性があり、今後人事業務のブラッシュアップに役立つのかを書いてみます。


◼️3タイプの品揃え

私たちが普段使うスーパーの品揃えには特徴があり、下記の3つに分類されるらしいです。

・ほっといても売れる商品
・店が売りたい商品
・売れないけど無いと困る商品


あまり意識したことはありませんでしたが、確かに上記3つに分類される気がします。いつもスーパーにいったら必ずある商品、店が売りたいオススメや旬の食材等。POPや販売員立ててやっているところもありますね。そして、年に1回しか買わないけど、行ったときにないと困る商品...、といったところでしょうか。

ちなみに、これがサイゼリヤだとどうなるかというと、

ほっといても売れる商品とは、いわゆる定番商品で、よく売れるから宣伝する必要もないものです。ミラノ風ドリアはその最たる例で、299円という低価格帯で、圧倒的な人気No1。実際に、サイゼリヤで頼んでいる人は多い気がします。

そして、店が売りたい商品とは、この商品買うとお得ですよ、などのもの。例えば、サイゼリヤのプロシュートは、イタリアのパルマハム認定協会が認めた正真正銘の「パルマハム」。それが本場に行かずとも低価格で食べることができるという店のオススメ商品です。

そして、売れないけど無いと困る商品とは、万人ウケするわけでは無いが一部のファンが多いとか、そういう商品を並べることで品揃えが多く、専門性の高い店であるということを印象付けるために必要な商品のことです。サイゼリヤでグラッパ飲んでる人は見たことがないけど、こんなものまで揃えてあるのかという品揃えのこだわりが見えます。ちなみに、イカの墨入りスパゲッティは少し辛いのに子どもとかもよく食べますね...。

これらは、およそ上から6:3:1になっており、この比率を意識して用意すれば、店としての品揃えの豊富さを示しつつ、死に筋の商品を増やさなくて済むそうです。(これ以外に「その他」を入れる分類もあるらしいですが)


この商品、メニューの品揃えとそれに伴う店側の動きは、採用における募集ポジションの掲載、人事の工数とよく似ています。

一つずつ説明していきます。


◼️採用における「ほっといても売れる商品」とは?

では、早速一つずつ説明していきましょう。

まず、ほっといても売れる商品ですが、その職種に置ける従事者も多く、特殊な専門性がなくともできるポジション、例えば営業や企画、事務等の職種を指します。経験がない人が憧れるポジションという意味にも近く、マーケティングとか、コンサルタントとかもこれに該当するでしょう。

こういう職種は人材の流動性も高いので、どの会社であっても一定数の応募がきます。そのため、母集団確保に躍起の会社は、ここに無駄に力を入れてしまうのですが、”楽に応募者が集まるから”食いついてくる求人媒体や人材紹介会社に積極的にお願いしないことです。

ほっといても応募が来るポジションなのですから、ここに注力してもらうのなら、その向きを変えてもらった方がいいです。


◼️採用における「店が売りたい商品」とは?

一方、店が売りたい商品とは、まさに今企業が必要としているポジションです。企業によっては急募だったり、どうしても専門家に来て欲しかったり、経験者を採用したい場合が主に該当します。

こういったポジションに対して、必要な人材を必要なタイミングに、かつ適切な金額で採用できるかが優秀な人事の分かれ目です。

今や候補者へのアプローチもDMからスカウトへと代わり、時間には限りがあります。ほっといても応募が来るポジションに自分の工数を割いていたら、いつまでたっても必要としているポジションが取れないでしょう。

人事の仕事は、営業やマーケティングに似ていますが、1名の応募者が何ポジションも埋めれるわけでも無いですし、難しいポジションはコンバージョンが悪いから...と言うのは通用しません。


◼️採用における「売れないけど無いと困る商品」とは?

売れないけど無いと困る商品とは、普段あまり募集しないものの、CXOクラスのポジションだったり、管理部門系のポジションを指します。それ以外だと、時間や業務内容が限られているアルバイトも該当します。

厳密に言えば、無いと困るかと言えばあまり困りません

しかし、初めて企業の募集ポジションを見たときに、自分の該当するポジションがないと知れば、次に再訪する可能性は著しく低いですし、自社のファン(*1)を作っていくためにはこういうポジションは必要です。

*1 Wantedlyでいうフォロワー。この数が多いと、応募も増え、上位に検索されやすくなる。数がすべてではないが、多くの方と接触するためある程度は必要。


◼️採用における「陳列」とは?

どういう陳列がその企業にとっていいのか?

「ほっといても売れる商品」を一番上に掲載したりせず、Webやスマホ向けには、「店が売りたい商品」を目立つ一番上に掲載すべきです。そして、「売れないけど無いと困る商品」含め、複数ポジション掲載することです。

そう言う意味では、1職種ずつ掲載する旧来型のリクナビNEXTマイナビ転職は、今のニーズから逸脱しており、そりゃ採用につながらないでしょう。いつまでたっても採用できないという人事の叫び声がよく聞こえてくるのは事実です。

また、Wantedly、Green、ビズリーチ等でスカウトメールを送ることができる契約をしているなら、注力すべきは「店が売りたい商品」。とはいえ、送ることができる通数にも限度があるので、経営陣と優先順位を定めた上で行っていく必要があります(経験が浅い人は、数ばかり追う人も多い)。

母集団形成が大事!と応募数ばかりを追って、Wantedlyにキラキラした写真で掲載したり、Twitterで意識高い言葉ばかり呟いても、採用へつながりません。

私は究極的には、母集団形成は不要と考えています。

具体的には、1名の募集なら、応募者は1-2名か、それにプラスアルファくらいでいいと思います。そして、もちろん企業側が採用したいポジションに関しては、転職してくる人にとってもメリットのあるストーリーをちゃんと作らないと、こちらの思いだけを一方的に伝えても意味がありません。


飲食業から学べることは、3分類を意識して募集しつつ、売りたい商品を売っていけるように戦略を練っていく必要があるということですね。

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