金の砂の波

 金色の砂粒が津波のように押し寄せ、魔獣のように人間たちを襲う。

「もう逃げ場がない。津波を止める方法はないの?」
「確か、あの津波を構成する砂粒はコイン。昔の人間がお金として他の物と交換したり、自分のお願いを他の人間に聞いてもらうために使っていた道具だ」

 お金はあくまで、人間同士のやりとりで使われるものだった。先人たちもお金で魔獣や津波を止めることはできず、時にお金はあらゆる事故や不幸を生む原因になった。

 最後に生き残った人間は一枚のコインを差し出し、砂粒の魔獣に必死で命乞いする。残念ながら、人間の作ったルールなど魔獣に通用するはずはなかった。

おわり

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