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恋愛と研究と矛盾

東京大学大学院医学系研究科チームが「日本成人における草食化(異性間交際及び交際への関心の有無)の傾向及び関連する因子について」発表した。

数年前まで『草食男子』が話題になっていた。少子化が進む日本は2060年までには人口が3分の1が減ると言われている。今現在、少子化問題は深刻化している。今回、研究チームが発表した内容は、恋愛へ興味が失っていることが、出生率の低下に寄与しているというものだった。

10代、20代、30代までの若年層の人達が、恋愛に興味が沸かないとう結果が出てはいるが、周りには、「恋愛したい」「彼氏がほしい」「結婚したい」と呟く友達が多くいる。私の周りに、そう呟く人が多いだけかもしれないが、友達の呟きを耳にしていると実際の所は研究結果と異なるのかと考える。

この研究を取り上げていたメディアでは、この研究結果についてコメントしていた。

「草食系が多いんですかね?」

「恋愛を諦めずに頑張ってほしいですね」

「きっといい出会いがありますよ」

などなど。

私の中に違和感が残るコメントを耳にした。

「草食系であるが為に恋愛に興味がない」という事は、諦めたということになるのだろうか。

現代の若年層の人達も、様々な出会いの形で恋愛をしていると感じる。それは私達が10代20代の頃とは違う方法でSNSにアプリと手段を駆使しながら出会いを繋いでいるように見える。そんな様子を見聞きすると、どの時代も相手を求めているのだと。

異性間同士、同性間同士の恋愛であれ、年齢や性別に関係なく誰かを求めている。今、恋愛に興味が沸かないとしたら、恋愛以上に「仕事が楽しい」とか、恋愛以上に「友達と過ごす時間が楽しい」とか、恋愛以上に「自分の時間を持つことが楽しい」とか。ただそれだけの事。

確かに、研究データに基づいて考えれば、日本の出生率の低さが少子化が深刻化しているのは否めないが、女性は生産性を上げる為に出産するわけではないし、全ての女性が母親業に適していて、育児や家事を好んでしているわけではないのだ。私自身3人の子を持つ親だが、母親業に向かないし、出世を夢見て仕事120%で働くことが大好きな人間。私のような人もいれば、もちろん「お母さん」を夢見ている女性や母親業が得意な女性もいる。

だが、草食男子が一時期ブームのようになった頃は「諦めずに」なんてことは言われていない気がする。むしろ、草食系がポジティブにメディアに取り上げられ、それが若年層の流行りだった印象がある。なのに、草食系女子が増加しているという現状になると「諦めずに頑張って」となる。

草食系男子が増えたころ、肉食系男子のようにガツガツ恋愛に積極的にいかなくなり、その後、草食系女子が増加する。これは、女性からしても「オス」としての魅力を感じない男性が増えたからこそ、女性は「オス」への興味が薄れていくのは仕方がない。そこに惹かれる魅力がないのだから。

動物の世界でのオスとメスの求愛行為では、クジャクは大きく羽を広げメスへ魅力を最大限アピールし、ペンギンは求愛ダンスや小石をメスにプレゼントしたりもする。もちろん「人間も動物と同じように」とまではさすがに考えないが、人間の本能だって動物のように魅力的なアピールをする「オス=男性」がいれば、「メス=女性」は魅力的な男性を独占したいと動くだろう。

競い合ってでも、独占したいと思わせるような相手=肉食系が少なくなれば、男性の草食化が進み、女性の草食化も必然的に多くなる。

女性が社会に出て、男性同様のキャリアを積み重ねることができる、この時代に、男女間の恋愛が薄れていくことが問題視されるより、同性間同士の恋愛、代理出産、夫婦別姓など、時代に沿った考えや価値観を持たなければ、選択肢も拡がらない。また、それらをサポートする体制が整うことで、一歩を踏み出すことができる人達も増えていくはずだ。


以前、『同性婚は生産性がない』とニュースになり批判されていたことがあった。その人は古き考えを口に出しただけ。問題は口に出さずに、同性間同士の恋愛すら受け入れられない人のほうだろう。

価値観は人それぞれで強制できるものではないが、同性間を認めることで、結婚して夫婦になる事ができ、養子や代理出産などで子供を持ち、家族となることだってできる。物事は簡単なことばかりではないが、『生産性』というならば認める理由になるのではないだろうか。

「みんな一緒」「女性は一歩引いて男性を立てる」「男性は外で稼ぐもの」

そんな決まり事のような考えも、多種多様な人がいる今の日本では、それぞれを尊重し固定概念を崩さなければ、少子化の深刻さは変わらないだろう。

互いに認め合う。それは、外見だとか性別にとらわれず、その人自身の生き方そのものを受け入れらる、そんなキャパシティーの広さを持ち合わせていたいものだ。

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