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福井県池田町の「都会風」「品定め」はSDGs的にもアウト

こんにちは。Kiwi PRの植田 聡子です。

例の7か条が話題の池田町。賛否ありますね。特に第4条、5条の「都会風」「品定め」が強烈なインパクトです。「品定め」って人や物の「優劣」を批評すること。それが、たとえ現実だとしても、役所がそれを肯定し、「広報」(=広く知らせる)するのは問題があります。

第1条 集落の一員であること、池田町民であることを自覚してくだ さい。
○総人口の少ない池田町ではありますが、私たちは 33 の集落において相互扶助を土台に安全で豊かな共同社会を目指しています。
第2条 参加、出役を求められる地域行事の多さとともに、都市にはなかった面倒さの存在を自覚し協力してください。
○池田町の風景や生活環境の保全、祭りなどの文化の保存は、集落毎に行われる共同作業や集落独自の活動によって支えられています。共同して暮らす場を守るためにも参加協力ください。
○草刈り機は必需品です、回を重ね使い込むことで技術上達が図れます。
○このことを「面倒だ」「うっとうしい」と思う方は、池田暮らしは難しいです。
第3条 集落は小さな共同社会であり、支え合いの多くの習慣があることを理解してください。
○生活の基盤は集落であり、長い年月に渡って様々な行事や集まりを通して暮らしを支えてきました。
第4条 今までの自己価値観を押し付けないこと。また都会暮らしを 地域に押し付けないよう心掛けてください。
○集落での生活は、ご近所などとの密な暮らしの日々があります。都市では見られなかったルールや仕組みもありますが、皆で折り合いを付けながら培ってきたものです。
○これまでの都市暮らしと違うからといって都会風を吹かさないよう心掛けてください。
第5条 プライバシーが無いと感じるお節介があること、また多くの人々の注目と品定めがなされていることを自覚してください。
○どのような地域でも、共同体の中に初顔の方が入ってくれば不安に感じるものであり「どんな人か、何をする人か、どうして池田に」と品定めされることは自然です。
○干渉、お節介と思われるかも知れませんが、仲間入りへの愛情表現とご理解ください。
第6条 集落や地域においての、濃い人間関係を積極的に楽しむ姿勢 を持ってください。
○静かでのどかな池田町ならではの面白さとして、ご近所や色々な出会いの中での会話を楽しんでください。
第7条 時として自然は脅威となることを自覚してください。特に大雪は暮らしに多大な影響を与えることから、ご近所の助け合いを心掛けてください。
○池田町は 2004 年の福井豪雨災害で大きな被害を受けて以来、集落防災隊長を設置し地域防災力を高める取り組みを推進しています。
○また、池田町には「雪で争うな、春になれば恨みだけが残る」という教えがあります。積雪時、大雪時での譲り合い、助け合いを心掛けてくだ さい。
https://www.town.ikeda.fukui.jp/pick/pickjukyo/p002780_d/fil/nanakajou.pdf

言いたいことがわからないわけではありません。「自助、共助、公助」と言われますが、小さな自治体ほど「公助」が弱く、「自助」に頼ることはやむを得ません。

ただ、今回の表現で問題となるのは、表現の根底に先日LGBTQに対する差別発言で辞任した首相補佐官と同じものがあるのではないでしょうか。自分と違う者に対する排他的な思想

そこで私は池田町がSDGsをどのように捉えているのか興味を持って、調べてみました。すると、SDGsマークを表記した上で、達成すべき主なゴールとして掲げていました。

3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
11 住み続けられるまちづくりを
13 気候変動に具体的な対策を
15 陸の豊かさも守ろう

SDGsの17の目標には具体的に多様性、ダイバーシティは掲げられていませんが、SDGsのベースに社会的包摂があることは明白です。17の目標に紐づけられた169のターゲットには当然ながら「文化多様性」「生物多様性」など「多様性」という言葉が頻出しています。

自分たちが主たる目標として17のうち6つの目標を掲げているからといって、そもそも多様性を拒否するような態度は「SDGs」の考え方根本を理解していないも同然と判断されてしまうでしょう。


福井県池田町ウェブサイトより抜粋
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/seiki/sdgs/sdgs-partner-list-dantai_d/fil/088.pdf

都内でSDGsバッジを胸につけているビジネスパーソンも決してSDGsを正しく理解しているとも思えません。私だってそのひとり。「持続可能な社会」を望んではいるけれど、色々な事情と折り合いをつけながら、時にSDGsが最優先にならないという現実は理解しています。

SDGsを達成する、しないではなく、まず排他的な思考から多様性を尊重へシフトしていくことが「持続可能な自治体」へ近づいていくと確信しています。


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