多視点小説は一人称の練習に最適(キャラ造形の勉強にもなります)
最近の小説では、1話ごとに主人公(視点)が切り替わるタイプのものも多いですが…
そういった多視点タイプの小説は、一人称の「幅」を広げるのに、非常に役立ちます。
たとえば同じ「一人称」でも、女性主人公の一人称「私」と、男性主人公の一人称「僕」とでは、書き方が変わってくると思いませんか?
1話ごとに主人公(視点)が変わっていけば、そんな一人称の「引き出し」を増やすことができるのです。
同じ一人称の「練習」なら、主人公の違う短編やSSを、たくさん書いていくという方法もありますが…
物語自体が変わってしまうと、設定を1から考え直さなければいけないため(そして作品の数だけ設定を考えなければならないため)、大変なのです。
その点、同じ物語の中で主人公(視点)だけを変えていくなら、設定は1つで済みます。
つまり、短編をたくさん書くより、ずっとラクなのです。
また、1話ごとに主人公が変わるということは「キャラクター(の内面)を描く」勉強にもなります。
主人公が変われば、性格も変わり、その心の内も変わってきます。
それを描いていくということは、自然と「キャラクターのバリエーションを増やす」「キャラクターの描き分けをする」練習になるのです。
なので、せっかく多視点小説を書くなら、それぞれの登場人物の性格は「全くのバラバラ」にした方が良いです。
その方が練習になりますし、読む側としても、変化があって面白いのです。
自分は「英雄群像ファンタジカ」というシリーズで、この「多視点小説」を試しています。
現在のところ、Type-TとType-Aの2種類あるのですが…
Type-Tは「勇者・聖女・魔法使い・戦士」という、冒険パーティーとしては「ありがち」な4人を、それぞれの視点から書いてみたもの…
Type-Aは「元勇者な父・元魔王な兄・元賢者な母・元魔王の片腕な飼い猫・次期勇者な妹」という「家族」を、それぞれの視点から描き、さらに三人称のプロローグを加えた構成になっています。
(ちなみにTとAは、それぞれ投稿している小説投稿サイトさんの頭文字です。)
最初に描いたType-Tは、実験的な側面が強過ぎて、ややエンタメ性が薄いと感じたので、Type-Aはもっとエンタメ性を追求したものにしています。
さらに、Type-Aでは「元賢者な母」パートで初めて、「です・ます調」の一人称に挑戦しました。
今までに挑んだことのない書き方というのは、いきなり長編小説でやると、かなり苦戦します。
なのでまずは、こういう実験的な習作で「少しだけ」チャレンジしてみると「ちょうど良い」のです。
ちなみに初めて「です・ます調」一人称に挑んでみて…「文体の穏やかさと、内面の腹黒さ(しかし結局は一途)のギャップがクセになるな…」と感じました。
おもしろかったので、機会があればまたチャレンジしてみたいです。
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