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作品集

46
ちょっと長めの作品を置いておきます。
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#ディストピア

ティファレト【六章】

六章 自己犠牲 コツコツ、という足音が響いた。ティファレトは私の方の方を見て「来た」と言った。
 私は期待の眼差しで家のドアをじっと見つめる。コンコン、というノックが響くのとほぼ同時に、期待を隠すような声で「どうぞ」と招いた。身なりの整った男性が入ってくる。外見上の年齢は私の死んだ父親くらいだと思うけれど、おそらく実年齢はティファレトとそう違いはないのだろう。
「はじめまして。ケセドと申します」

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ティファレト【四章】

四章 夢 生命の樹。ゲブラー。ケセド。暴力と優しさ。心臓。中枢。美の象徴。

 人は簡単に死ぬ。次から次へと。悲しみだけは胸に深く積もっていく。



 ティファレトは夢を見ている。
「僕はケセド。あなたの追い求める優しさの象徴」
「優しさ……私は、優しくなりたい」
「優しさを知るためには、厳しさを知らなくてはならない。私はゲブラー。ティファレト、お前はまだ、怒りを知らない」
「怒り……」
「本

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ティファレト【三章】

三章 自由の会
 家に仮面を被った数人の男が押し掛けてきたとき、私はティファレトと初めて出会った時のようにぼうっと突っ立っていた。
「誰?」
「ティファレトを殺す自由の会だ。お前とヤツが親しいという情報を手にした。我々は正面からヤツと戦って勝てるだけの戦力を持っていない。だから、お前を利用することにした。人質を取る自由というやつだ」
 私は、変な自由だなぁと思ってぷぷぷと笑った。
「何がおかしい?

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ティファレト【二章】

二章 学校
 学校に行くのは自由だ。なんでもかんでも自由だ。
 ミァト先生は自由主義者で、何があっても「自由」にこじつける。私はそれが嫌いだけど、それ以外の点では、いい先生だと思う。分からないことを質問すると、ちゃんと返してくれるし。自由の名のもとに無視してくる先生もいるらしいから、私の先生がミァト先生で良かったと思う。
「先生、おはようございます!」
「おはよう。レイア」
「先生、質問あるんです

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ティファレト【一章】

第一部 レイア

一章 出会い
 神様みたいなお姉さんが、お父さんとお母さんを食べていた。赤い血がぶしゃぶしゃ飛び散って、お姉さんの黄色い服を赤く染めていた。目をこすっても、光景は変わらない。映画かな、と思った。それか、お父さんとお母さんが、新しい遊びで遊んでるのかもしれないな、と思った。でも、どう見ても二人はもう「モノ」になってしまっている。つまり……生きていない。
「お姉さん」
「あ……」
 

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ティファレト【序章】

ティファレト【序章】

プロローグ 生きるためなら、殺すことも許される。私もそう思う。動物の肉を食べるのはもちろんのこと……より安くものを扱うために、弱い立場の人たちに厳しい労働を強いるのも、私たちは……



 彼女の話をしよう。彼女は人間とは少し違う生き物だ。遺伝子のつぎはぎとして生まれた彼女は、ある人々の理想を体現した存在であった。

 フランケンシュタインの話を具体的に知っている人がどれくらいいるだろうか。今私

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