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書評 比例区は悪魔と書くのだ人間ども 藤崎 翔  切なくて楽しくて哀愁がある作品たち・・・

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作者の藤崎さんは芸人です。
だからか、とても楽しい。発想がおもしろい。
コメディ短編集でした。

6つの短編がありましたが、一番楽しかったのは野球選手がわざと負ける話しです。
借金があり野球賭博に巻き込まれます。
負けようとすればするほど勝ちまくり
最後はめちゃぐちゃな投げ方で新魔球を・・・

心霊昨今という幽霊が人間の写真や映像の中に映り込み
心霊写真などになり怖がらせようと必死になる話しがいい
必死に頑張るのに報われない
もはや、幽霊という存在はエンタメなのであり
恐怖の対象ではないのだ

「三十年後の俺」という作品が一番のお気に入り、少しネタばれさせます。
自分に似たオッサンが庭にいた。
30年後の自分だという。
タイムマシーンに乗って来たらしい。
彼は未来の話しをし、一緒にゲームで楽しんで、そして帰っていくが本当は別れて暮らしていた父親なのだ。
そして、大人になった彼は結婚し離婚し子供と離れ離れとなる。
タイムマシーンが発明され、彼は父親と同じことをする。
少し滑稽で、哀しくて切なくて、でも、何か心に残る話しでした。
雰囲気がドラえもんの映画でのび太としずかちゃんが結婚する、あの作品と似ていた。
話しの芯に優しさを感じます。

2021 2/17













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